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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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優VSユリハネ1

「解放しろ? 状況を見て言ってるのデスノ? ならばお笑い種デスワネ」

 ユリハネが腕をふるい、優の前にふたりの少女が立ちはだかった。

 シャーリーとアイシャである。

「そうだぜ、優。あんたは積んでる」

 背後にはウィンナがおり、彼女が優の背をとっている。

「ウィンナ、彼を連れてきたんデスノネ」

「ああ。偶然にも同じ場所に遭遇してな。案内を頼まれたんで連れてきたぜ。よかっただろう?」

「ええ。ですが、彼は暴れないという保証はないデショウ?」

「ああ。だって、俺は暴れさせるつもりだ」

「ウィンナ、あなたはやはりわたしを殺すつもりデスノネ」

「ふんっ、俺はユリハネあんたが嫌いだった。だから、死ね。俺はリーア様につくんでな」

 優の背後からそっと彼女が離れたのが戦闘の合図となった。

 二人の操られた少女たちが優に殺到する。

 だが、彼女たちの手が届くことはなかった。

 彼女たちは優の目の前で倒れていき優は二人の間を駆け抜け、ユリハネに迫っていく。

「軽い魔力の電流を流して気絶をさせたんデスノネ。なんて早業デスノ!」

「あんたも同じ目に合わさせてやる」

 優の電流を帯びた手が迫る。ユリハネはその腕を取り押さえた。

「っ!」

「――――デスカラってどうということはありませんけど私には」

 取られた腕が柔道の背負投よろしくの要領で優は中空に押し上げられ投げ飛ばされる。

 壁に激突する寸前に魔法で衝撃を吸収し受け身を取るように魔力を放出したがそのスキを突きユリハネが魔球を打ち込んだ。

 闇色の魔球が爆ぜ優を飲み込む。

 煙幕が上がり、雪菜とアリスが優の名を呼び叫んだ。

「あははは! やはり、政府の暗殺組織の右腕などその程度で――――」

 ユリハネは頬を掠めた一筋の閃光によって硬直した。

 口開いたまま煙幕の中を見つめる。

 風が渦を巻き、その中に龍の造形をした緑色の鎧をまとった男が宙に浮かんでいた。

 足場に竜巻が渦を巻き彼を浮かせていた。

 見れば彼の周りを渦が大きく巻いている。

風竜血鬼ハピュルスヴァンパイア形態」

 そっと囁く優が地上に降り立ち、ユリハネをひと睨みして腕を振るう風擊が一閃。ユリハネを吹き飛ばし壁に埋もれさせる。

「がはぁ」

 脳が揺さぶられ肺が痛めつけられたことで血がこみ上げ吐血する。

 壁から抜きでて詠唱を唱え闇の槍を数千本放つ。

 透けえーとでもするかのように軽やかな動きで槍の猛攻を回避しいていく優。

 次第に迫ってくる彼に焦りを覚え別の魔法を詠唱する。

「地より闇の兵士を召喚す! シャドーパペット」

 地がどんよりとどす黒い沼があらわれそこから人の形や犬のような形をした顔のない軟体人形が現れる。

「始末なさい!」

 人形たちが優を取り囲む。

「風の守りよ! 防風結界」

 優を中心に大きな爆風が巻き起こり人形を吹き飛ばす。

「計算済みデスワ!」

 ユリハネはこれは予想済みだった。

 優がユリハネのその発言に気づいたのは人形が吹き飛ばされた直後だった。

 吹き飛ぶと同時に粉々になってく人形がだんだんと全部が融合していく。

「TRANSFORM!」

 融合の球体がオーラを撒き散らし発光する。

 閃光弾のようになり、優の目を焼き付けた。

 しまったと思った瞬間優の胸元に激痛が走り血が口からこぼれ落ちる。

「これは‥‥」

「風の魔力はスピードや攻撃に叩けていても防御に叩けてまセンワ。そして、私のこの攻撃は風に特化した闇の魔法攻撃。その台風の防壁ではむだな行為デスワ」

 ユリハネの人形の融合体から突き出たのは一本の鞭のように鋭く尖った黒い軟体の針。

「台風はすなわち台風の目に向かって渦を巻く。この技は一瞬の隙を生み出し、風の波に乗って台風の目に突き進んだんデスワ」

 丁寧な解説で優を見下すようにした愉悦を交える。

「くおっ‥‥」

 体中からの脱力で膝をつき血反を吐撒き散らす。

「さあ、ワタクシとともに来ることを承諾するなら殺さずに生かしてあげマスワ。彼女とともにね」

 ユリハネの視線の先は泣き崩れ倒れる雪菜の姿。

「雪菜は連れてかせない」

「あなたまだそんな事を言うんデスノネ。ずいぶんとごうじょうな男デスワネ」

 ユリハネが頭上に手を掲げる。

 黒の剣がユリハネの手に生まれ彼の頭に鋒が置かれる。

 剣が光を帯び鋒から何かが放たれようとしていた。

「抵抗しまスノネ。なら、殺すしかアリマセンワ」

 優はふらつくままに腕を振り上げて風をもう一度生み出しかまいたちのようにユリハネを切り裂いた。

「ちっ! やってくれましタワネ!」

 吹き飛ばされたユリハネはたち、鋒から光線を放った。

 優は避けることが叶わず光線に飲み込まれるのだった。

 二人の女性の叫びがその場にこだました。

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