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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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世界の真実

「こんなのは間違いだ! 政治の悪を正すために自分らが世界を支配する。そんなの間違ってるだろう!」

「間違ってはいないんだよ! 俺たちじゃないとこれはいけない!」

「なんの根拠があってそうする! お前らにそんな権利はない! 無害の民を傷つけけてるお前らに!」 

「何を言うんだかなぁ! 無害の民? 笑わすんじゃねえぞ『掃除屋』の右腕さん。平和にこの世界の真実も知らずに魔法供給を請け負ってる民、そして、生活をしてる民が無害? そんなわけねえんだ!」

 地下で激しく拳と剣が交錯していた。

 金属の火花が散って暗がりに明かりを照らす。

 赤い閃光のラインが糸を引いて移動をしていた。

 さながら一瞬は発光虫かなんかだと思うわれるだろうが耳をすませばそれがふたりの人物が緊迫した状態で戦ってるのだとわかるだろう。

「どういうことだ? 世界の真実だと? 政治が裏ルートで闇実験を行ってた以外に何かあるのか?」

 優は辺りを見回しながら。

 そこには様々な廃棄処分されただろう医薬施設があった。

 目の前のその実験の産物である彼女――ウィンナ・グローズまたの名をライラ・ミシリア。

「知らねえなら教えてやるよ。この世界の魔力供給装置。あんな強大な魔力を誇る装置が本当に存在したと思ってたのか?」

「なに? どういう意味だ?」

「昔、この世界は多数の世界と連携を結んだ。それは突如として日本の山に出現したゲートが発端さ」

 この世界で誰もが知ってる理屈だった。

 そう、世界の歴史の基礎といってもいい。

「最初こそ世界では異世界の住人との争いが起きた。まあ、領土戦争ってやつだった。けど、次第にそれは終戦した。同盟ってやつを結んでな」

「そうだ。その同盟で互の技術提供を行い合うことで終戦した」

「まあ、それが一般的な教養知識さ。実際はちがう」

「なに?」

「この世界で亜人による未だに犯罪が続くのはなぜだかわかるか?」

「それはその亜人がただ、頭のおかしな奴らなだけだろう」

 交錯していたウィンナが突然の強烈な一撃を見舞い優を吹き飛ばした。

「けっ! のんきな考えだなぁ。頭のおかしな奴らの行い? 本当にそう思ってるなら亜人の罪を罰する政府の裏組織の右腕なんてやめちまえ」

 どういうことだ?

 彼女の異変に違和感を感じ優は妙な胸騒ぎが始まる。

「同盟なんて表向きされてねんだよ。実際は表向きは技術提供の交わしあいで戦争を終結させたが結果としてはちがう。互いにまだ世界で戦争はずっと続いてるんだ」

「どういう意味だ?」

「まだわかんねえのか? この世界の亜人犯罪そのものは戦争の一端なんだよ。すべては亜人たちが情報を盗もうとする傍らで暴れてるに過ぎない。そして、異世界に戻って情報を提供する。けど、ある時期から異世界のゲートはこの世界の政府が取り仕切る結果となった。結果として亜人たちは彼ら、この世界の政府の監視下にも置かれた。この世界にいる純正の亜人つまり、異世界で生まれこっちの世界に来た亜人は本当に望んでここにいると思ってたのか? ちがう。『居るしかなくなったんだ』」

「っ! まさか、政府が人権を無視して亜人をこの世界に隔離したとでも言うのか? だって、ゲートは普通に政府に申請書をすればいつでも帰れるとなってるはずだ!」

「純正亜人はちがう。通常的に金でどうにかできるとはなってるが実際はそうじゃねえんだ。一度この世界にくれば帰れなくなる。無論、帰りたくない亜人も多くはいるがたいてい一度くらいは世界に帰りたい亜人は多くいるさ。そりゃぁ、隔離されてればストレスでおかしくなる。犯罪だって犯すさ」

 信じられない真実を突きつけられ混乱を来す。

 このことを源蔵は隠していたのか。

 オヤジも。

 じゃあ、アリスもなのか。

 そんな思考が駆け巡り誰も信用ができなくなり出す。

「人間もどうようにあっちに行けば同じ処遇を受けてるんだぜ。知らなかったろ? 互いに互いで情報を多く集めてから帰ろうとしてるのが現政府の真実さ。ちなみにあの魔力供給装置は異世界の何百人もの戦士の血を媒介にしたものだ。非合法実験も傍らで異世界人を拉致して秘匿で行ってた。俺のオヤジもそうさ。亜人の母親を異世界から拉致し、その卵子と自分の遺伝子を交配させ人工的にあたしを作り出した。政府の陰謀でな。俺らがあの時――『横浜テロ襲撃爆破事件』を起こしたのは政府に反抗しその傍らで横浜の地下に埋まるひとつの魔力供給装置の破壊が目的だった」

「うそだろ‥‥」

「うそじゃねえ。今回もそうだ。『オオスズメバチの巣』は全員が全員一つの目的がある。ゲートの開通。この世界のゲートを開き、この世界にいる亜人をあっちに返すことそして、あっちの世界にいるこの世界の住人を返すことが目的さ」

「まさか、そのために供給装置をハックしたのか」

「ハックとか人聞き悪いな。返してもらったんだ。あれはもともと亜人側のもんだ。おかげで現在ゲートは開いてる。そのために街で暴れてると見せかけ亜人を集め返してるわけさ」

「どうして、大会を爆破させたのも供給装置を奪うためであり政府には表向き世界侵略の行動だと見せかけるためか」

「ああ、でもあの男源蔵はそう思ってないだろうな」

「だったらなぜ、アリスや九条を殺す!」

「あいつらは邪魔な存在だ。未来にはな。政府の犬になりすぎてる」

「なら、お前らが行った人間爆弾はなんだ!」

「あれはあいつらが自ら行った作戦だ。ゲートを開通し亜人を元の世界に代えさせてあげるために。もともともあいつらは身寄りをなくした亜人さ。過去の戦争で親や兄弟を失い生きる価値を見失った戦士たちなんだ」

 次から次へと語られる真実。

 彼女が一切嘘を言ってるようには感じられなかった。

 普通は疑うことばかりだが優には直感が嘘ではないと語っていた。

「民が無害じゃないのはこれでわかったろ。この世界の住人は平気で亜人のちを使っていたのさ。じっさいこの世界で生まれた住人には裁きを行ってるさなかだぜ。閉じ込められた住人は徹底的に返してるけどな」

「どうして真実を俺に話す?」

「あん? それは上の命令だ。てめぇは利用価値があるとかなんとか」

「上だと? それは誰だ?」

「そいつは教えられねえよ。そうそう『シートコール』の野郎はすまねえな。あれはこっちの責任なんだ。本来あいつが金の面で人を操ってたのも情報をあつめてゲートを開通しようとしてたんだがまあ独断的な支配世界を本当に作ろうとした。こっちの不手際だ。ちなみに『シートコール』の傘下たちは一部しか知らなかったはずだぜこの真実はな。『シートコール』はわざわざこの世界で組織を作り出した愚か者さ。あんたのところにいる元傘下たちは真実を知らないはずだ。俺たち『オオスズメバチの巣』は異世界からの組織とちがくてな」

「‥‥‥‥おまえらの目的がわかった。なら、なんで源蔵を狙おうとしない?」

「源蔵は狙ってるさ。だが、まだあいつには苦しんでもらうってかんじらしいぜ。まずはこの世界に閉じ込められた亜人たちの救出が先なんだと」

「まるで、他人事だな」

「聞いた話だからな」

「上の命令でか」

「まあな」

 優は武器をおろし、一息ついてから言った。

「それでも、この世界の民は殺させるわけにはいかない。上に伝えろ! 今すぐ暴動を中止しろと! ゲートの開通なら他の方法だってあるはずだ!」

「ちっ! わからねえやつが。だいたい今は無理だ。通信ができねえんだ。あんたのせいでリーアが暴走しちまったからな。本来のリーアの計画が狂うってんだぜ」

「リーアの計画? なんだそれは?」

「それは語ることはできねえ。語るはずねえ。地上ではいつどこでこの世界の真実を知る政府が見てるかわからねえから上手く動けずに至ってのに今度はこれかよクソ。地下に閉じ込められるのはゴメンだぜ」

 自問自答をしながら何やら渋った表情で毒づいた。

 真実とは別にリーアらにはなにか別の思惑が見える。

 どちらにしても――

 政府が関わってるとすれば自分ら政府によって作られた秘匿組織の人間にその計画を知ってる奴はいるはずであり彼女も下手に地上で動けないようであったみたいである。

「おい、何処へ行く気だ!」

 ウィンナが優を無視し奥へ。

「あんたには関係ねえ」

 そのときだった。

 大きな地震が引き起こる。

「なんだ?」

「ちっ! こりゃあボスが戦ってるな」

「ボス? ユリハネ・メルティシアか!」

「てめぇの仲間は怒らせちゃいけない相手をおこらしてることを自覚しろってんだぜ!」

「何処へ行く!」

「秘密だ!」

 ウィンナのあとを優は急ぎ追いかけて行くしか現状は考えられず、そのまま彼女の後を必死に追いかけていったのであった。

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