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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
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力の暴発 前編

前後編

 悪夢の海に落ちた『オオスズメバチの巣』の構成員の存在を確認し、優は鎧化を解除した。

 倒れた従妹に手を伸ばし立たせ、傷がないかを確認する。

「大丈夫か? 平気か?」

「え、ええ。‥‥お兄ちゃんさっきの力‥‥あれ‥‥」

「ああ、手術のやつだよ」

「そっか‥‥」

 浮かない顔をした雪菜をみて笑みを向け頭を撫で付ける。

「なぁに辛気臭い顔してんだよ。俺は全然平気だって。この力のおかげで勝てたし呪いにも耐性ができた」

「でも、寿命を縮めてる」

「‥‥‥‥まあな」

 決してメリットだけの手術ではない。

 呪いを克服する上で施された手術で得た力は結局のところ寿命を削るという最悪のデメリットがついていた。

 だからこそ、アリスは猛烈に反対したと言っていたがこの方法しかなくってやむえなかったと最終戦前にあやまってくれていたことを優は思い出して苦笑いを浮かべた。

「そんな心配するなって。最初の時もそんなんだったけど結果として今もまだこうして生きてるわけだしそうすぐ死ぬような手術じゃない。俺はまだ生きてるから」

 雪菜はギュッと体に抱きつきどこにもいかないでとばかりに熱い抱擁を交わしあった。

「まったく、少し焼けますね」

「本当にそうっすよ」

「うらやましッスねー」

「めのまえでやるんじゃねぇエ」

「あついねーいえーい」

 集まっていた仲間たちがからかうようにこちらを見つめながら言い始め雪菜が顔面を真っ赤に染め上げ優を突き飛ばす。

「いつまでくっつかないで」

「いてぇ、くっついてきたのはそっちからだろ」

「なんかいった?」

 ものすごくアリス譲りの冷却視線をあび優は黙りこくった。

「なんでもねえよ」

 和やかに笑い合う環境。

 しかし、それは一瞬で崩れ去った。

「お兄ちゃん危ないっ!」

 突然、雪菜に突き飛ばされると同時に目の前が暗転した。

 視界を開けると雪菜が覆いかぶさるように倒れており、腹部から血をたれながしていた。

 右手を上げれば――

 べっとりと赤い液体が付着していた。

 血だ。

「雪菜?」

 おもわず揺すって声をかけた。

 返事がない。

「よくもやってくれましたわね。龍牙優!」

 暗黒の沼地、リーア・メルティシアは這い上がっておりどす黒い目をしながらコチラに歩み寄ってくる。

 すぐに仲間たちが優らの前に立ちはだかったが足場が何かに取られ次第に体全体が拘束される。

「魔力をさんざん使った体では私のダークロードは解けませんわよ」

 エリスたちは必死でもがくがその顔には疲労が浮かんでいた。

 さすがに先ほどの戦闘がリーアのいうとおりに応えていた。

「なんでうごけないんですかっ!」

 この場で戦闘力が優れてるのが一番な杏里とエリスさえも苦悩を浮かべていた。

「私は幻惑なんてものでしばれませんわよ。ほかの方々はともかくとしてね」

 リーアが近づく足音がひたすら耳に聴こえてくることはなかった。

 優の思考は雪菜のことでいっぱいだった。

 必死で雪菜に声をかけ治癒を施そうとするが腕がしびれと同時に動かなかった。

「なるほど、あなたも魔力が相当使い切ってしまわれたみたいですわね。最強の『掃除屋』の右腕もたいしたことないっていうことですわね」

「雪菜っ! 雪菜目を覚ましてくれっ!」

「健気な子ですわね。あなたを庇わなければ自分は助かっていたのにわざわざかばったばかりに傷ついて。聞きましたわよ。たしか、彼女はシートコールの時もそうだったとか。操られてしまったんでしたっけ?」

 ピンポイントでその言葉だけが優の耳に入ってくる。

 恐怖と自分に対する怒りが煮えたぎり体の中にある何かが暴れまくる。

「うぐぐ‥‥ぁああ‥‥ぅうああ」

「考えれば彼女がこんな目に遭うのはあなたのせいではないんですかしら?」

 なにかの糸が切れ優がその瞬間に爆発するように火炎を放出するのだった。

前編終了です。

短い話ですがこれで終了です。

次回は掲載未定ですが内容としては戦闘オンリーで行きます。

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