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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
105/123

会場爆破 前編

 会場全体に広がる爆煙の嵐。

 その光景を見つめ、優は前方に倒れたリーアの首を掴み上げた。

「おい、これはどうなってる! 今すぐ爆発を止めろ!」

「し、知りませんわ! ワタクシもこのことは聞かされてません!」

「嘘ついてんじゃねえ!」

「嘘は申していませんわよ!」

 激しく狼狽した彼女は全力で否定した。

 あたりは血の雨が降っている。

 爆破に巻き込まれた観客の血だろう。

 安全に政府や警備の人間が避難誘導を行ってはいるが爆破のせいで騒ぎは悪化する一方で上手く誘導ができていない。

 悲惨な光景に歯噛みし、優は審判に目を向ける。

「審判! このドームを解除してくれ!」

「なっ! 危険です! 爆発の影響を受けかねません!」

 当たり前の審判の応対に優は怒り、ナイフを審判に向ける。

「いいから解除しろ。俺は『国家政府』の一員だ」

「はい? な、何を言って‥‥」

 懐から手帳を取り出した。

 それは一般人に『掃除屋』である証の証明書。

 それを提示した。

 彼は驚いたようにいそいそとフィールドから消え、防護壁ドームを消しに向かう。

 いくら『掃除屋』が国家の裏政府組織でも『掃除屋』の名前は大会の関係者であれば知っている。

 なぜなら、大会の護衛組織として関わってるのだから。

「おい、リーア・メルティシア。お前は俺と来てもらうぞ」

 リーアに告げた時だった。

 後方から一斉の魔法射撃が飛んでくる。

 飛び退いたが回避先に回りこむようにウィンナ・グローズが拳を構えていた。

「いつ、あらわれっ――」

「イグナム!」

 強烈な拳打が溝をえぐり優は吹き飛ばされた。

「あぐふっ‥‥」

「床で這いつくばってるんだぜ」

「ぐぞがぁ‥‥」

 リーアに肩を貸して颯爽とその場から逃げていくリーアとウィンナ。

 優がこの会場に入ってきた出入り口に数人の影が見えていた。

 彼女たちの味方の救援であった。

「くそっ」

 防護壁ドームがたみんぐ悪く消え、頭上から瓦礫が落ちてきた。

「しま――」

「シュート!」

 頭上の瓦礫は突如、遠くから飛来した光の球体が粉砕をした。

 優の前に二つの影が降り立つ。

「優さん‥‥」

「優平気ですかー?」

 目の前に来たのは宇佐鳶友美とリーナ・久遠・フェルト。

 テロ対策係室の秘密部署の『特別任務対象部』通称『特部』の二人だった。

「‥‥今すぐ‥‥この場から‥‥避難しましょう」

「爆破人間が徘徊してますのでー」

「爆破‥‥人間?」

 優はその妙な言葉に首をかしげる。

「はいですー。『オオスズメバチの巣』がえげつないことに人の中に爆破物をいれたまさに爆弾人間を使ってこの会場を爆破させてるんですー」

「っ!」

「‥‥私たちも‥‥政府は‥‥そのことに気づかずに爆破を避けることができませんでした‥‥」

「まさか、人間型の爆弾魔であるとは。てっきり機械型だけと思ってましたからねー」

「‥‥アリスは?」

「アリスさんは『オオスズメバチの巣』の潜伏先に先ほど乗り込んだという情報が入ってますがそれ以降通信ができてませんよー」

 優は貸してもらっている二人の肩から身動きをして一人で歩き始める。

「‥‥優さん! ‥‥その体で一人で‥‥動く‥‥危険ですぅ」

「‥‥わかってるがアリスが危ない」

「なら、私たちも同行しますー」

「うん」

 ふたりの気遣いはありがたかったが――

「いや、これは掃除屋の問題だ。特部は特部の仕事で爆破の差し押さえに尽力をしてくれ。こっちはどうにかする、どうせエリスあたりも動いてるはずさ」

 優は二人の静止を振り切って足に力を込め観客席側にジャンプをした。

 そのまま力いっぱいに人の群れを避け駆け出していったのだった。


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