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国家秘密組織と特待生  作者: ryuu
後章 共生学園『魔法競技ランク戦大会』――――魔法騒動テロ組織襲撃事件
101/123

覇者決定戦 最終戦 龍牙優VSリーア・メルティシア 前編

新規版『国家秘密組織と特待生』第101部目です。

 午後1時半。

 ついに大会の修復作業は終わり第3戦目の開始のファンファーレが鳴り出す。

 観客層動員数は満員御礼。

 多くの政府関係者および一般関係者が見守りつつ、フィールド内に第3戦目の出場選手が登場した。

 実況者の説明が入り観客は期待感に満ちた歓声で出場選手を出迎えた。

 出場選手である唯一の男龍牙優は目の前を見据えて殺意を飛ばす。

 その殺意を受け止めるかのように笑みをこぼすリーア・メルティシア。

「ついにここまできましたわ」

「そりゃぁ、よかったな。計画も無事完了しそうか?」

「ええ。あなたの敗北は目に見えてますし。傷が治りませんのでしょう?」

 リーアは『オオスズメバチの巣』の一人だということを隠したりせず明かすかのように言う。

 優は乾いた笑いをあげながら、腰に携えた銃に手をかける。

「ノーコメントだ。そもそも、俺の敗北が本当に目に見えてるのはこの試合を行えばわかること。それに計画は破談するさ」

「あはは、ほざいてればいいですわ。どうやろうとあなたはワタクシに勝てませんし敗北しますわ」

 審判の号令がかかり優は会場を全体的に見回した。

 警備が多く徘徊し慌ただしい喧騒が観客の熱気に交え伺える。

 優は観客の中にやはり存在しないアリスを捉えると同時に精一杯の魔力を体にみなぎらせた。

『それでは、これより覇者決定戦、最終戦龍牙優選手VSリーア・メルティシア選手の試合を始めます。―――それでは試合開始!』

 号令と同時に二人は踏み込むのであった。


 ******


 数時間ほど前――

 優はエリスと雪菜の搬送された病室に向かっていた。

 自分考えを伝えるためにアリスの場所に行くにはアリスは二人の場所にいるのではないかという推測があったからだ。

 案の定、病室に着くとアリスがふたりのそばにいてなにやら深刻な面持ちで話をしていた。

「では、伊豪さんは?」

「現在、可能システム管理室長の報告だとそうなってるわね」

 何の話がなされてるかはわからないがこちらの存在に気づいてないことを察した優は訪問のアピールをするために開けた病室の戸をノックした。

 そして、緊張の糸が解かれたかのように3人が優の訪問に気づいた。

「お兄ちゃん!」

「ユウ」

 雪菜とエリスに「おつかれさん」と声をかけアリスを見た。

「どうしたんだ?」

「えっと‥‥優、あなた試合は?」

「試合を見てないのか?」

「監視任務に当たっててね。敵が大きく動き出したみたいなのよ」

「なんだって? 本当かよ」

「本当よ。可能システム管理室長からの情報よ。マジックボックスに侵入を許したって通達だからね」

「なんだと? あそこに警備を配置してたはずだろ?」

 マジックボックス。世界の根幹の一部ともいわれる魔力供給貯蔵精密機械。

 世界の政府が管轄する貴重な機械の一つでその保管はこの大会の地下に保管されている。

 そのためにこの会場で試合を行うのにはかなりの抵抗があった。

 保管場所の地下には優秀な警備たちがいたはずであるが話の中で優は警備たちが殺されたと言う事を聞くまでもなく悟った。

「SWATやテロ対策室などが動いて対処に回ってるのよ。それに会場に爆弾設置もされ始めているわ」

「爆弾だと?」

「ええ。ほぼ半数近くは『掃除屋』とSWAT、テロ対策室の連携で除去できたわ」

「そういうことか。試合中にそんなことが。じゃあ、雪菜の試合で大会が大きな爆発を起こして現在修復中で試合が午後から開始なのも知らないのか」

「そ、そうなってるのね」

 アリスが息を吐き出す。

「それなら、安心して爆弾お完全撤去ができそうね。でもリミットは午後までということよね。くっ」

 親指を噛み締め実に悔しそうな表情だった。

「雪菜、お前話してなかったのか?」

「話すもなにも私意識が朦朧としてたしそんなことに会場がなってたこと知らなかった」

「なるほど。そりゃぁ、しゃーないな」

 状況は悪くなる一方。

 優はその状況を打開する策の一つを伝えに来たことを思い出した。

「ああ、そうだ。アリス。今回の試合で打開する作戦がひとつ見つけたぞ」

「っ! それって本当!?」

「ああ。引き分けに持ち込むんだ」

 そう言った途端。アリスが大きくため息をつき優の腹を殴りつける。

「うぐぐっ‥‥‥なにしやがんだ」

「そんなのとっくに見破ってるわよ。引き分けに最後の試合を持ち越すことで力量が同等である存在をアピールすれば世界の最強者が世界を乗っ取るアピールの論理は崩壊するって考えでしょ。けど、そのアピールが崩壊しても世界の最強者は存在するのよ」

「ど、どういうことだよ?」

「オオスズメバチの巣のボスは過去の大会の覇者、ユリハネ・メルティシアってのがわかってるのよ。この大会を引き分けにしアピール減はできても最強者の世界を征服した最悪であるという状況を崩壊することは無理。現にSWAT隊長の伊豪は彼女と交戦でもしたのか交信が途絶してるわ」

「伊豪さんがやられたっていうのかっ!?」

「わからないけど、通信が途絶えたということはそういうことかもしれないわ」

 警察の特殊急襲部隊はそれなりの猛者が集う優秀な戦闘隊員のあつまり。

 現代でそれを担うものたちは優秀だといえる。

 しかも、その隊長の伊豪はいうまでもなくそれなりの強さがある。

 『シートコール戦』でもかなりの成果を見せた優秀な人。

「ユリハネ・メルティシアという存在は異常な強さよ。それに今回の大会はその妹が覇者になる可能性はある。けど、この大会であくまで妹にまで勝たせるわけにはいかないしなにより敵を勝たせるわけには行かない。その上では引き分けに持ち込むことはあたりまえなのよ。あなたは気づいてなかったわけ?」

「わるい」

「とっくに考えに至ってるものかと思ったけど私も過大評価しすぎたみたいね。まあ、いいわ。まず試合は引き分けでお願いね」

「わかってるがじゃあ、どうするんだ?」

「どうするもなにも真っ先に対処するべきは爆弾処理よ。最終戦開始までには爆弾を完全に撤去するわ。そのあとは――」

 アリスはそう言ってベットに横たわるふたりを見た。

「私とユキナが暗殺を阻止すべく九条美代学園長および佐藤林道大会運営委員会長の護衛につきます。狂音院長からもすぐに動いて大丈夫だと言付かりましたので」

「そうか。そっちはまかせた」

「彼女たちは名目上表彰式には出ないように手配済みよ。それから、任せたと言うけどあなたも似たような任務よ。試合決着後あなたは敵のすぐ近くにいるわけでしょ。だから――」

「彼女たちを見張っておけか。わかってるさ」

「まあ、そのために引き分けは必須よ。いいわね?」

「ああ」

 そう言って優はうなづいた。



 *******


 優は数時間前の出来事ぉ思い出しながら必死で引き分けに持ち込む攻防戦を続けた。

 しかし、なかなかの力量を持つ相手に対しては難しい。

 リーアの横合いからの凪ぎを優は身をそらしかわし、蹴りを放つ。

 蹴りが彼女が飛び退くことで回避され隙が生じる。

 細剣の鋒から放たれた魔球が優に砲撃。

 優は吹き飛ばされたがどうにか持ち直すように受け身を取る。

 受身を取ってすぐ追い打ちが迫る。

 頭上からリーアが連続刺突を繰り出す。

 防壁を張り巡らしリーアの刺突を防ぐと同時にリーアの腹にゴム弾を数発打ち込んだ。

 肺から息を漏らしたように苦悶の息を吐きすて、リーアがバランスを崩しそのまま地面へ落下し転がった。

 優は銃口を彼女の額に打ち付けた。

「さあ、どうする?」

「それはこちらのセリフですわね」

 突然だった。

 銃が砕け、砕けた銃の中から膨大な闇が溢れ出した。

「これは‥‥っ!?」

「アビスワールドへようこそですわ!」

 優は闇の世界へ誘われるのだった。





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