行間3
「いぃや、むしろその空白の三時間半の方が気になるわ!」
思わず、といった感じで『影』が口を挿んできた。
「朝はつけてたはずの腕時計がなんでなくなってるのか、とか?」
「おぉう? そんなの最初からしてたか?」
おそらく、首でも傾げているのであろう『影』は、そんなところを気にしてはいなかったらしい。
まあ。
「腕時計含め、その三時間の話をするのはやめておくよ」
「えぇえ、じゃあ今の学校に着いた時の話、別にいらなくないか?」
「ああ、今のは回収する気のない伏線を仄めかせてみただけだよ」
「おぉい! オレがオマエの話を聞く機会なんて、今しかないんだぜ? これじゃあ永遠の謎じゃねぇか」
淋しいことを言ってくれるなぁ。それも仕方のない事だけれども。
「せいぜい永遠にヤキモキしてくれよ。どうせそのうち忘れちまうんだろうけどな」
「いぃや、オマエの話の面白さ次第では、忘れないかもしれないぜ?」
面倒くさい中学生の様な話の煽り方をされた。
「じゃあさ、僕がその三時間ちょいの間に逢ったヒトに、もしかしたら君が会うことがあるかもしれないから、そんな幸運があったら、そして君が覚えていたら、その時聴いてくれよ」




