琴凪の物語。
『先輩だぁぁぁつ!カッコ良いぃ!』
『先輩おはようございます!』
『いつ見ても最ッ高!』
登校中。黄色い歓声が、私の周りで飛び交う。
正式には、私の隣にいる、この『野中瞬』の物なのだが。
コイツ、野中瞬は、まぁイケメンで。
スポーツ万能で頭がよく、おまけにしっかりしてて、
生徒会長を務めている、高校三年生。
「ハハハ、あたしとは大違い。」
「琴凪?なんか言った?」
あたしはまぁ駿の幼馴染で、家が隣同士だから、
登下校は一緒に行っている。
まぁ、周りの女子がうざいもんで。
私は3年生だから、1,2年は何も言わないけど、問題は同学年。
「幼馴染だからって調子のんな」とか
「特別だとか思ってんじゃねぇよ。」とか
皆同じような言葉を並べては、私に言ってくる。
瞬と私は幼馴染だから、名前で呼ぶのは当然でしょーが。
「消えろ」だの「✕ね」だのなんだの
私が消えたって駿はあんたたちのものになるわけ?
選ぶのは駿なんだから。
まったく、馬鹿馬鹿しい。
「じゃーな、琴凪。」
「うん、またね、駿。」
クラスが違ってよかったことは、隣の席にならないってこと。
クラスが違って悪かったことは、
女子が、あたしにしつこいこと。
ま、あたしはそんなのぜんっぜんきにしないし。
本気にしたほうが負けだし。
・・・でもさ。
皆私の外見を貶すわけじゃなくて、
あたしと駿の関係を侮辱してくるわけ。
それはさ、瞬がモテるから、仕方のないことなんだけど・・・。
やっぱ・・・ほら、傷つくじゃん。
だってあたし、
瞬の事がー・・・。