プロローグ
・ファンタジーか?って問われれば微妙です。
・流血シーンがあるところがあります。
・恋愛もあります。
どうか楽しんで読んでください。
「今回は俺の勝ちだね」
「そうね」
あるマンションのある一室で男女が2人、テーブルに向かい合って話していた。
「君に勝ったのは久しぶりだなぁ」
「ずっと負けてたもんね。」
「でも今回は勝ったから。で、次はどんなゲームをする?」
「…うーん、そろそろ“依頼”が来てもいい頃だけどまだ来ないからね。どうする?」
「じゃあ警察が持っている情報を全てネットに流すのは?それで先に流せた方の勝ち。」
「めんどくさいなー」
「俺はいいと思うんだけどなぁ、でも深夜が怒るかな?」
「私は知らない、それにもうゲームするのも飽きたしね」
「あはは、シロはやっぱり飽き性だ」
時計の針はもう0時を回っている。
白い髪の女と黒い髪の男は今だに楽しそうに話し合っている。
白い髪の女は金色の目をしていて、サイドに結んだ長いくせっ毛の髪は腰まである。
黒い髪の男は左に眼帯をしており右目は朱い、髪は外に向かって少しはねている。
2人とも顔は整っているのだが、一般人より狂っているところがある。
「…陽、」
ここで白い髪の女が男を呼んだ、どうやら黒い髪の男は陽というらしい。
「なに?シロ」
女は髪の色と同じ名前のシロ。
「クスクス、どうやら依頼が来たようだよ。」
「へえーやっとだ。」
と、その直後…ピロリン♪という機械音が聞こえてきた。
陽は人差し指を立て、何かを呼ぶように指を動かした。
その瞬間、開けっ放しの扉からビュンッと、サイコロ型のモノがとんできた。
それは綺麗にテーブルに置かれ、
『依頼が届きました。』
機械音声が聞こえてきた。
『依頼人は85004。
依頼の内容はビーストを潰すこと。
報酬は5000万とあなた方が知りたがっていること。』
そして言葉を発しながら画像を表示した。
画像に写っているのは85004と見られる人、
狐のお面を被っていて髪はダークブラウン。
それ以外は載っていない。
『5月10日に香月という店で待っている、夜の11時〜12時に来なかったら依頼のことはなしとする。待ち合わせもその時間帯とする、
だそうです。依頼は以上』
ここでサイコロ型のそれは光らなくなり、声も止んだ。
「どうする?シロ」
「やるに決まってるじゃん、この依頼受けたよ」
シロはその綺麗な瞳を歪めとても愉快そうに笑った。
「そういえばビーストって裏側だけど、そこを潰すと表企業の城山も潰れるんじゃなかったけ?あそこは凄く深くまで繋がってるから」
「うん、でもいいよ。あそこはちょっと目障りだったからね」
シロはクスクスとまた笑い、陽も目を細めて笑った。
朝日が窓から差し込み歪んだ2人をキラキラと照らす。
ああ、もう朝だ。
その時、ガタガタッと扉の方から音が聞こえてきた。
「…もう来たみたい。」
「あーあ、もうちょっとシロと二人きりになりたかったなぁ」
「ふっ、女タラシが良く言うね」
私は「やっぱりシロには敵わないなぁ」と言う陽を笑いながら見つめた。
陽はずっと柔らかい笑みを浮かべて私を見てくるが、今だにその優しい目を向けられるのには慣れない。
ガチャリ、
そんな音をたて扉が開いた。
「あっ、みんなおはよー」
部屋に入って来たのは3人、
私はその3人を笑いながら迎えた。
「…はよ、」
金髪で高校生の彼はあくびをしながら部屋に入り、
「ごきげんよう」
真っ赤なツインテールの彼女は上品に笑う。
「おはようございます」
眼鏡の爽やかな彼は入って来た瞬間、挨拶をしながら陽に向かって国語辞典を投げていた。
金髪の彼は由紀
ツインテールの彼女はリアン
爽やか眼鏡は深夜
これで揃った。
「久しぶりだね、Aliceが揃うのは」
私はそう言って笑った。
それに
「ああ!まあ、ちょっと忙しくてな!!」
「ふふふ、わたくしはシロに会うために毎日来ましたわ。」
「そうですね、揃ったのは確か2、3週間前くらいだった気がします。」
私は嬉しくなって目を見開いたあとにまた柔らかく微笑んだ。
純粋に、楽しくなりそうだと思った。
また前みたいに一緒にいられるのだと。
由紀は親のことで、
深夜は海外へ、
陽も私とのゲームで海外へ。
今日、全員帰ってきたのだ。
私達の居場所に、
ああ、本当にこれからどうなるのだろう。
誰が死んで、誰が喜び、誰が悲しみ、誰が何の役を演じるのだろう。
また、一つの物語が始まるのだ。