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セイバーじゃありません!恋する乙女の『せいばあ』です!!  作者: Hatsuenya


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神殿は、逆ハーレムでした

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 いよいよ、神殿に到着です。



 白亜の神殿の前の道の両脇に、ズラリと並んだ神官達。


「セイバー様をお迎えに行った第一聖騎士部隊、第一神官部隊以外は、全て、こちらにご挨拶に来ております」


 セオドア様が、馬車を先ず降り、私を抱き上げて下ろしてくれた。役得だわね。

 続いて、慌てた様に、ショータが馬車から飛び降りた。


「私まで抱き上げられたら、困るからな」


 怪訝な顔をしていた私に、ショータが言った。ふと、横を見ると、セオドア様が両手を差し出しかけ、ショックを受けた様な顔をしていた。

 いや、駄目でしょう。他国の王子を抱っこして馬車から降ろすのは。

 セオドア様は、本当に、子供好きらしい。


「聖女バーミア様。ようこそ、グレナリア神殿へ」


 全員が、声を揃えて、大音量の挨拶をしてくれた。


「凄いですね」


 思わず、私の口から言葉がこぼれ落ちた。

 何故か、セオドア様までビックリしており、呆けていた。


「一体、何があったんだ!?」


 全員が正装で、一糸乱れず片膝を付き、私が彼らの間を一歩進むごとに、一言ずつ自己紹介をした。


「副神官長、エディアスです」


「神官長補佐官長グレンです」


「事務長マックスです」


「料理長トレンドです」


 右に左に一人ずつ名乗ってお辞儀をしてくれるのは、いいけどね。こんなに沢山の人の名前、覚えれませんよ!?


 私以上に困惑気味の表情で、セオドア様は私の手を取り、隣を歩いてくれていた。

 普段から、こんなに規律正しく一糸乱れない生活をしてるんだろうか。私、ここで、やっていけるのかね。


 最後に、2人の少年が、私を出迎えてくれた。


「聖女様のお世話係になりますジョナサンと」


「ジェラルドです。どうぞ、お見知りおきを」


 13歳か14歳位だろうか。私よりも少し大きな双子の少年達は、まだまだ愛らしい笑顔を私に向けてお辞儀をした。

 どちらも明るいオレンジ色に近い茶色の髪で、緑の目をしている。フワフワと癖のある髪で、くったくない笑顔の方がジョナサンで、真っ直ぐの癖のない髪で少し格好をつけた笑顔の方がジェラルドね。


 そして、はたと気付いた。男しか、いない。



 これが、噂の逆ハーレムって奴ですか!?



「セイバー様、アルテア国第一王子殿下、中へどうぞ」


 ジェラルドの先導で応接室に入った私は、ジェラルドに手を引かれて、ソファーに座った。


「神官長、ちょっと聞きたいのだが、女性の神官は、いないのだろうか」


「我が国には、居りません。光の神力を持って生まれる者が、我が国には、何故か、男しか居りません」


 ショータの問いに、セオドア様が答えると、ショータがブツブツと小声で呟いた。


「そう言えば、そんな設定が」


 設定、設定ね。ゲームを作った人が、そう言う設定にしたのね。


「ご安心下さい。まもなく実家から、侍女とメイドが参ります。流石に、ここに年若い侍女を連れて来る訳にはいきませんので、古参の者で申し訳ありませんが、信頼のおける者達です」


 間もなく、お茶のカートを押した痩せた老女と、少々でっぷりとした老女が、ジョナサンと共に現れた。


「お茶を入れている侍女がアリナです。メイドのマルサは、今から聖バーミア様のお荷物を部屋に片付けに行かせます。どちらも天涯孤独ですので、誰かを人質に取られる心配もありません」


 皇帝に脅される、と言うことか。


「せいばあ。皇帝は、聖女に執着している。たとえ、10歳と言えども、気を付けた方がいい」


 ショータは、今夜はアルテアから連れてきた聖騎士達と共に、神殿に泊まり、明朝、セオドア様と共に皇宮に向かう事になった。


 夕食は、神官の皆と一緒に食堂で。王子のショータも、特別ではない。

 むしろ、何故か私にだけ、シチューの人参が花型だったり、星型だったりした。特別扱いだわね。


「皆と一緒で、申し訳ない。セイバー様は、苦手な食べ物は、ありませんか?」


「セオドア様、私は聖女です。神殿で生まれ育ちました。ここと同じ様に、神官達と寝食を共にし、女神様に祈り、聖騎士と共に魔獣と戦ってきました。ご心配は、無用です。

 ですが、辛いものは苦手なの。大きくなったら、食べれるかも知れないけれど」


 これから、毎日3食、このイケメンと、まったりとお話をしながら食事をするのだ。他にどんな贅沢があると言うんだろう。


 



「一体、皆、どうしたっていうんだ?何故、あんな出迎えを?」


「だって、聖女様だよ?ジェラルドと副神官長様が考えて皆で練習したんだよ。凄かったでしょう?」


「やりすぎじゃないか。セイバー様がビックリしておられたぞ」


「リハーサルまで、やったんだよ。私が聖女様の役でシーツを纏って、歩いてきて、皆が、一人ずつ挨拶をして、タイミングをはかって」


「本物の聖女様は、ジョナサンの聖女様の代役なんて、目じゃなかったな。ピンクの髪にペリドットの瞳。サクランボ色の唇。まるで人形の様に可愛らしくて」


「うん。皆、アルテアの王子の事、見えてなかったよね」


「え?居たっけ?」





 今日から、せいばあの神殿での生活が始まりました。そして、すっかり忘れられた王子。一応、貴賓室に泊めてもらえた様です。よかったね。

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