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セイバーじゃありません!恋する乙女の『せいばあ』です!!《第一部 完》  作者: Hatsuenya


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グレナリア神殿の常識(妥協無し)

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、セオドアの視点になります。



        神官長セオドア side



 確かに私は、以前から皆に『妥協は許すな。やるなら、とことんやれ』と言ってきた。

 だが、今回のこれは、流石に、やり過ぎじゃないか?


「今回の祈りの時間は、聖女バーミア様と新生神官長の御披露目となります」


 ジェラルドが、分厚い書類の束を片手に繰りながら、私とセイバー様に指示を出した。


「神官全員が、女神様の像の前の道を開けて両側に分かれて並び、副神官長様が今回の事件についての大まかな所を話します。

 その後、神官長が中央の信者用の扉から中央の檀上まで、レースのベールを着けたセイバー様をエスコートして下さい。その後、神官長がセイバー様を紹介し、セイバー様にニッコリと微笑んでもらって、その後に神官長のありがたいお話の時間となります。

 出来れば、天から祝福の花が降ってくる何て言う奇跡があれば宜しいのてすが」


 その途端に、私の頭の中に女神様の言葉が響いた。


「OK、だそうだ」


「はあっ!?」


「降らして頂けるらしい。女神様が、そう仰っている」


 ジェラルドがビックリしているが、それは私も同様だ。

 女神様は、セイバー様をいたくお気に入りの様で、セイバー様の事となると、張り切ってご参加なさる。


『だって、楽しいじゃない?』


 今だって、そうだ。まあ、セイバー様の考えや行動は、確かに、私の考えの斜め上を行くモノでビックリさせられる。


 楽しい?ああ、確かに楽しいな。静かだった世界が色付き、踊り出しているかの様に見える。


 初めて私が神殿に来た時、咲き誇る梅の花の街道を美しいと思った。静かに、ただ馬車の音と馬の嘶きだけが響いていた。

 前の神官長様は穏やかな方で、神殿には年配の神官が多く、これ程、人は多くなかった。

 あの頃の私は第二王子と言う立場もあり、大人達の勢力争いに巻き込まれ、殺されかけ、傷付き、疲れ果てていた。

 前神官長様は、穏やかながらも、人を守る事には妥協を許さない方で、私を導き、鍛え上げ、私を新しい神官長として育て上げた。


 やがて、戦乱の時を迎え、今の皇帝が現れ、私は彼と共に闘いに赴き、次いで、今度は彼と袂を分かつことになった。

 皇帝が聖女を手に入れる為にアルテアへ攻め行ったからだ。国の為とは言え、アルテアの聖女様と同じく女神様の声を聞き、女神様を慕う我らは、皇帝の命令とは言えアルテアに攻め入る事には断固反対をし、戦線に加わる事をボイコットした。

 我らが戦線に加わることがなかった為に士気が下がり、やがて、我が国と、神聖国アルテア・魔術大国ソーサリナ・魔界の三国同盟は協定を結んだ。


 戦乱が落ち着いた後には、皇帝の後宮から、母親や祖父母達の争いに巻き込まれた子供達が次々と神殿にやって来た。

 私達は、親達の代わりに、彼らを慈しみ、導き、鍛えて育て上げた。


 どの時も、私はただ淡々と物事に当たり、人生を過ごして来た。


 これだけ波乱万丈に生きて来たのに、今程、人生が色付いた事は、なかったな。


 ピンクの髪と黄緑のペリドットの瞳を持つ、目の前の少女は、クルクルと私の周りを跳ね回り、私を巻き込み、共に私の人生を踊らせた。

 これは比喩ではあるが、正に、私達は共に闘い、夢を語り、物事に向かって突き進んだ。


 静かだった梅の並木は、鮮やかに美しく咲き誇り、梅の香が強く漂い、少女は私を誘った。


『生きよ』と。



------------



「これだと、何だか、結婚式みたいですねぇ。……いえ、私の聖女としてのお披露目と、セオドア様の新しい姿のお披露目だって事は、ちゃんと判ってますよ。大丈夫です。

 それに、私もこの歳ですから、茶飲み友達で全然問題ないと言うか。

 あ、すいません。セオドア様が、余りにも素敵過ぎて、つい、可笑しな事を口走ってしまいました」


 赤くなって、もじもじしているセイバーは、とても可愛らしい。

 だが、この歳って何なんだ。前世はともかく、貴女は、今世では、まだ10歳なんですからね。


「貴女こそ、今日は特にお美しいですよ。いつも、貴女の周りだけが私には色鮮やかに色付いて見えます。貴女が立っているその場所だけが、香り立ち、光が踊っている様に感じます。

 さあ、手をお取りください。私と共に参りましょう。貴女の神殿へ。

 私と共に、この神殿を、皆を守り、導いて下さい」


 胸元にグレナリア神殿の紋章が入った白い聖女の正装のドレスに身を包み、レースのベールと花冠を頭に飾り、セイバー様--美しき聖女バーミア様は、私の手を取り、私のエスコートで祈りの間に入った。


 私達は、信者達や神官達に歓喜の声をもって迎えられ、正面に立つ女神様の像に、空から降りしきる光と花によって歓迎された。


『あなた方に、私からの祝福を。2人のこれからの人生に幸あらん事を』


 光と花の風は、私とセイバー様の周りをクルクルと回り、やがて天へと登って行った。





「セイバー様の正装姿、素敵よねえ。もう、これでもかと言うくらいに気合い入れて着飾らせたんだから」


「本当に、お似合いでございます。特に凛々しく可愛いセオドア坊っちゃまの隣に立たれると、際立って美しく見えます」


「今までに見た事のないくらい、お坊っちゃまもスゴくお幸せそうで……え~っと、これは、結婚式では、ないんですよね?マティア様」


「その筈なんだけど、どう見ても、可愛らしい小さなカップルが皆に祝福されて結婚するみたいな雰囲気よね~あはははは」





 後一話で、第一部を終了します。その後は、少しお休みを頂いて、この話の裏で動いている、話の中でもちょこっと出てきた1人のお姫様のお話を書いて行きたいです。



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