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セイバーじゃありません!恋する乙女の『せいばあ』です!!  作者: Hatsuenya


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お父様は、許しませんよ!

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 大聖女様のタイプは、ワイルド系のイケメンです。



 どう見ても齢10歳の天使の様に可愛い子供にしか見えない神官長が、自分の事を若造呼ばわりしたのにビックリしたのか、父上は素っ頓狂な顔になった。

 お母様好みの渋いイケメンが台無しだわねぇ。


「あー、見た目は子供だが、口調とオーラがいけ好かないグレナリア神殿のじじいにそっくりなんだが」


 父上は、眉間を揉みながら目を瞑った。


 そう言えば、父上は、人のオーラが見えるのだったわ。この能力のせいで、人の嘘や誤魔化し、魔術で姿を変えていても見破られてしまうのだ。

 私も、しょっちゅう誤魔化しては父上に叱られていた被害者の1人だ。いや、誤魔化す方が悪いと言うのは、わかってるけどね。


 成る程、だから、父上が出っ張って来たのか。敵が、まだグリバードや誰かに変身している場合を鑑みて。


「ほほう、相変わらず便利な能力だな。じゃあ、ちゃんと私が誰だか判るだろうが。まあ、今回闘った相手が相手だけに、確かにお前が出て来るのが順当だな」


「それもあるが、他の件もあって、ここには私が出向いた」


 父上は、ソファーに前のめりに座り直し、真剣な顔でセオドア様を睨み付けた。


「女神様のお話によると、『来世でも添い遂げたい』と申し出たそうではないか。うちの娘を嫁に欲しいとは、いい度胸だ」


 えっ!?きゃーっ!そ、そんな事をセオドア様が?

 え?まさかの、両思い。やだぁ、照れるじゃないの。


「正しくは、『来世でもお仕えしたい』だ。

 死んで女神様の元へ行ったのと勘違いしてな、死んでしまったが来世もセイバー様に仕えたいからさっさと輪廻に戻してくれと、女神様にお願いしたのだ」


 え、何だ。でも、でも、スゴく嬉しいっ。今世だけでなく、来世もセオドア様と一緒かぁ。考えただけでも、嬉しすぎる。

 まあ、欲を言うなら、いい仲になりたいけどねぇ。まあ、こればっかりは相手がどう思ってるかも、あるからさ。しょうがない。


 セオドア様は、顔を赤らめて父上から目を剃らした。

 自分が死んだと勘違いしたのが恥ずかしかったのか、それとも女神様にそんな事をお願いしたのが恥ずかしかったのか。出来れば後者だと嬉しいんだけど、それは、ムリよねぇ。


「アルテアでは、それは聖女に対するプロポーズに該当する」


 睨んだままの父上は、ボソッと、そう言った。

 ああ、確かにそうだったわ。お母様が惚気てそう言ってたわねぇ。


「セオドア様。大聖女様からお聞きした事があるんですが、父上からのプロポーズの言葉は『貴女に私の一生を捧げるだけでは足りない。来世でも貴方にお仕えしたい。それ程、貴女をお慕いしています』だったそうです」


 道理で父上の機嫌が悪い筈だわ。そして、今、それに輪をかけて機嫌が悪くなったわねぇ。

 顔に手を当てて、セオドア様は天を仰いだ。


「ああ、ややこしい。確かに私は今世でも来世でもセイバー様にお仕えしたいですよ。でも、結婚云々は話は別です。

 確かに、セイバー様は可愛いですが、考えても見てください。私は70歳を過ぎているんですよ。釣り合いませんし、考えた事もありません」


「うちの可愛い末娘のバーミアに、何か不満が?

 それに、今のじじいなら、どう見ても釣り合いがとれる歳だろうが。身も心もな。

 とにかく、表へ出ろ。貴様になぞ、娘は渡さん」


「久しぶりに、手合わせをしたいなら、受けて立ってやろう若造」


 ギロリと父上がセオドア様を睨み、剣に手を掛けた。

 

 あー、始まったよ。父上は、娘を嫁に出す度にこれをやらなきゃ気が済まないらしい。



 結果は、残念ながら、セオドア様の惨敗だった。まあ、当然と言えば当然。


「くそ!大人気ないぞ、若造。

 ああ、リーチが、身長が、筋肉が、足りなさ過ぎる。くそぅ、筋肉の育て直しか……」


 くずおれるセオドア様を前に、父上は腰に手を当て、ふんぞり返って高らかに笑った。

 まぁ、父上には、私でも敵いませんから。無理ですよ。


「次は、私達です」


 ジョナサンがいつも鍛練に使う棒を、ジェラルドが木剣を持って父上の前に立った。

 おや、2人共、やる気満々だわ。無謀だけれど、セオドア様の敵討ちとは、スゴいじゃない。


「貴様らは、何だ。じじいの報復か?」


「「いや、セイバー様の求婚者だ。いざ、尋常に勝負!お義父上」」


 流石、双子。声までしっかり揃って。って、それ所じゃなかったわ。


「中々、モテるじゃないかバーミア。よし。相手になってやろう。他には、居ないのか?束になってかかって来い」


 絶好調の父上は、剣を仕舞った。子供になったセオドア様には真剣で勝負していたのは、確かに大人気ないわよねぇ。


 何処からともなく、ティムがしなやかな動きで現れた。


「貴方に勝てば、セイバー様が手に入るの?じゃあ、僕も、挑戦する」


 尻尾がユラリと揺れる。ティムは、半獣人の狩猟本能がそうさせるのか、何故だか嬉しそうだ。


「よし、まとめて、かかって来い!いっちょ、揉んでやろう」


 かかってきたジェラルドの木剣を右手に掴み、左手には付き出されたジョナサンの棒を握って、父上は2人同時にポーンと放り投げた。

 その隙に父上のお腹に拳を叩き込もうとしたティムを膝で蹴りあげ、吹き飛ばした。


 流石の父上も、セオドア様相手と違い、3人には手加減をしている。子供には甘いのだ。


「よし、全員、今日から特訓だ。私から一本取れた者をバーミアの婚約者候補にしてやろう」


 そう言えば、うちのどうしようもない亭主も、娘を嫁に出す時に『一発殴らせろ』って、相手に言ってたっけ。


 何処の世界でも、男親ってのは、変わらないもんなんだねぇ。







「セイバー様を嫁に欲しいと言うのではないが、私も稽古をつけてくれないか。頼む」


「あー?私の1番嫌いな奴の若い頃にそっくりだが、オーラは全然違うな。よし、気に入った。お前も、私から一本とって、バーミアの婚約者候補になれ」


「いや、父上、エイブレム様は、私を嫁に欲しいって言ってないから」


「エイブレムか。婿候補の中では一番筋が良いぞ。はっはっはっは」


「いや、だから、エイブレム様は関係ないからって、父上!……はぁ。相変わらず、興奮したら、人の言う事を聞いてないよね」





 アルテア聖騎士団団長。部下に稽古をつけるのが、好きです。


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