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セイバーじゃありません!恋する乙女の『せいばあ』です!!  作者: Hatsuenya


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忘れじの君

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、セオドア神官長の視点です。



        神官長セオドア side



 花が咲き乱れる野原で、白いガーデンテーブルを前にチェアに座り、女神様が上機嫌で微笑んでいた。


「セオドアちゃん。ご苦労様。よく頑張ったわね~。ほら、ここに、お座りなさいな」


「……はい。何とか、なりましたよね?セイバー様は、皆は無事でしょうか」


「んー、皆は、ちょっと元気がないかな。でも、大丈夫じゃない?」


 まあ、女神様の認識は、いつも適当だからな。こんなもんか。だが、皆は無事だろう。そして、セイバー様も。ここに来ていないのだから、きっと、大丈夫だ。


「約60年、神殿にて女神様にお仕えして参りました。色々な事がありましたが、最後には聖女であるセイバー様をお迎えして、楽しく過ごせました事、お礼申し上げます。

 70歳以上も生きてまいりましたし、最後には魔人と対決してセイバー様や皆を守り、人としては大往生かと思われます」


「70年なんて、ほんの一瞬だわよ、セオドアちゃん」


「女神様におきましては、そうかも知れません。ですが、人の身においては……ああ、そうですね。今思えば、一瞬だったのかも知れませんね。セイバー様との想い出が、一番、色濃く思い出せます。

 心残りと言えば、あの方と出会ってからの日々が短かった事でしょうか。でも、今も全てが色鮮やかに私の胸の中に思い出せます」


 女神様が、ころころと笑った。何処からともなく梅の花の香りが、辺りを漂う。

 ああ、グレナリア神殿では、梅の花の香りが漂っていたなぁ。初めて梅の花を見たセイバー様の笑顔が、はしゃぎっぷりが、目に浮かぶ。


「楽しそうね、セオドアちゃん」


「はい。セイバー様との想い出は、どれも楽しくて。

 女神様。

 もし、叶いますなら、来世もあの方にお仕えしとうございます。

 出来れば、早々に輪廻の輪に組み込んでいただき、すぐにでも。あ、何でしたら、生まれてすぐにグレナリア神殿の前に捨ててもらっても構いません」


 今度は、女神様はお腹を抱えて、大声で笑い出した。


 何も、そんなに笑わなくても、いいじゃないか。それ程、私は、セイバー様にお会いしたいだけです。


「わかったわ。じゃあ、来世も、セオドアちゃんは、せいばあちゃんと一緒に生きて行ける様にしてあげる。私としては一瞬。貴方にとっては、まだまだ先の事だけど」


 相変わらず、女神様の言う事は、よく判らない。


「セオドアちゃん、私も頑張ったのよ?貴方の手を見てご覧なさい」


 私の手は、小さかった。


 ???


「もう、からかうの飽きちゃった。せいばあちゃんに、『美味しいお茶とお菓子、期待してるわよ』って、言っておいて頂戴な。

 本当に、貴方に余分な加護を授けといて良かったわ。珠も、いい仕事してくれたわ。


 じゃあ、またね~」





 頭が暑くて重かった。

 身体も暑くて重かった。


 目を開けてみたが、何も見えない。真っ暗……。

 何だ、これ?


 左手で顔の上に手を当てると、むにゅっとした弾力のある毛の生えたモノが顔の上に乗っかっていた。


「た、ま様?」


 退けて私の上に掲げてみると、グンニャリした珠様が脱力して、眠っていた。

 まるで、金色の猫の様だ。重い。


「うー、セオドア様。忘れちゃ、イヤだ。忘れちゃ、ダメ」


 そして、身体を少し起こすと、私の布団の上にカエルの様に突っ伏したセイバー様が見えた。


 風邪を引くぞ。誰か、セイバー様に毛布ぐらい掛けて差し上げれば良かったのに。

 私は、ベッドの側にあった椅子の背に掛けてあった膝掛けを、セイバー様にお掛けしようと、手を伸ばした。


 手を……。


「何だ!これは」


 小さい。手が、小さくて、皺がない。節榑だっても、いない。ジョナサンやジェラルドと言うより、まるで。


「……セ、セオドア、様」


 私の上に寝ていたセイバー様が、目を擦りながら起き上がった。


 目線が近い。え?可愛い。


「セオドア様!気が付いたんですね」


「はい。セイバー様」


 セイバー様は、私の上に乗っかったまま、私の両手を自分の両手で包み込んで、破顔した。

 あ、手、同じ、大きさ!?


「はい!せいばあです!私の事、覚えてます?」


「はい、勿論ですとも。梅の花が好きで、猫が好きで、ティムの頭を拭いて嫌がられてました」


 私から目を反らし、セイバー様は、少し口を尖らせて、ちょっと膨れっ面になった。


「いや、そこは忘れてくれても、結構です」


 あはは。本当に、可愛いなぁ。セイバー様は。

 私は、じっとセイバー様の顔を見た。あれ?ちょっと違うな。何だか、いつもより幼い気がする。


「セイバー様、その、何かいつもより、お小さい気が」


 嫌そうな顔をしたセイバー様は、可愛いが、確かにいつもより幼い気がする。


「セオドア様程じゃないですけれど、バッタにちょっと、最後の最後に1年分くらい年を持って行かれちゃって」


 バッタの魔人が最後にセイバー様に向かって吐いた黒い液体は、バッタの体内より出た奴の分身らしく、ジェラルドの得意の清浄魔法でも消えず、カーバンクルの分離魔法によって無理やりセイバー様から引き剥がされた。

 その際に、歳を1年食べられたらしい。


 1年で済んで良かった。


「今は、副神官長様が薬品作りに使う瓶に入れて保管しています」


 因みに、私の上にセイバー様が乗っていたのは、私に回復魔法をかけていたから、だそうだ。珠様は、その補助で私の額の上に乗っかっていたらしい。


「だって、私、不器用なんですよ」


 そう言って、せいばあ様は可愛らしく顔を赤らめた。




「セオドア様、とにかく目が覚めて良かったです!」


「ちょっ、ちょっと、セイバー様。いきなり抱きつかないで下さい。身体が小さくなったので、受け止めれない。うわぁー」


「サイズが同じくらいなので、押し倒せます。へへっ。やった~!」





 せいばあは、いつでも押せ押せの積極的な行動派。

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