思ってたのとは違う聖女様
読みに来て下さって、ありがとうございます。
せいばあ、ついに、思い切ります!
今回は、神官長セオドア視点です。
神官長セオドア side
スタンピードはセイバー様によって収められ、その結果、何故かセイバー様は神獣カーバンクルと主従契約を結ばれた。
セイバー様曰く、カーバンクル様が主で、セイバー様が従である。カーバンクル様は、逆を主張されているが。
「古今東西、お猫様が主で、人が僕と決まっている」
と言うのが、セイバー様の意見だ。
無事に全ての魔獣を成敗したセイバー様を、皆は大喜びで迎えた。
「セイバー様!万歳」
アルテアの聖騎士達が、一斉に声を挙げて、セイバー様の名を叫んだ。
「聖バーミア様!セイバー様っ!」
グレナリア神殿の者達も、我も我もと、セイバー様の名を讃え出した。
これで、グレナリア神殿でもセイバー様の通称が知れ渡るだろう。
さて、そんなセイバー様も、流石に疲れたらしい。
ショータ様と涙の別れをした後は、カーバンクル様を抱いて、馬車の中で眠ってしまわれた。
お二人の別れのシーンは、一見すると恋人同士の別れのシーンだが、昨日の女神様との会合で知った、前世でセイバー様がショータ様の祖母であった事を思うと、祖母と孫の別れのシーンらしく見えた。
お二人の言うように、確かに、祖母と孫では、結婚出来ない。と言うか、したくないのが正解だろう。
私だって、祖母と結婚なんてしたくないし、祖母だって、したくないだろう。もうすでに亡くなっているが。
「それにしても、セイバー様はスゴいですね」
セイバー様の世話役として連れてきていたジョナサンが、興奮して目を輝かせた。
「あの、天から降る無数の細い光の槍。カーディナルを捕らえ、カーバンクル様を救った光の網」
最後のは、カーバンクル様に、セイバー様の神力が勝手に食べられてしまっただけだがな。
「こんなに小さくて可愛らしいのに、強くて優しくて。聖女様ってスゴいですね神官長様」
ジョナサンは、すっかり憧れの目でセイバー様を見ていた。
まあ、中身は70歳を越えた老女だが、見た目は10歳の可愛い美少女だからな。さもありなん。
さて、これからセイバー様とどのように接していけば良いのか。悩むところだな。
その日は眠ってしまったまま一向に目覚める気配のなかったセイバー様は、翌朝、まだ夜が明けきらぬ内から起き出し鍛練に参加していた。
「セイバー様、大丈夫ですか?」
「なーに。まだまだ若いもんには負けないよ。アッハッハッハ」
いや、貴女、前世はともかく、今は10歳ですからね。大丈夫……ですかね。
「せ、セイバー様!すいません、大丈夫ですか!?」
鍛練の間に心配になって見ていると、ジョナサンとの打ち合いが始まった途端に、セイバー様は眉間にジョナサンの棒を受け、吹っ飛んだ。
「セイバー様!」
私が慌てて駆け寄ると、セイバー様はゆっくりと起き上がり、頭を振り、抱き起こそうとしたジョナサンを制した。
「あ痛っ!大丈夫、大丈夫だから。ちょっと避け損ねただけ。大した事、ないから」
「でも、おでこが赤くなってます。診療室へ行きましょう。私が、お運びします。弟の責任は、私の責任ですから」
いや、ジェラルド。怪我をさせたのは、お前じゃなくてジョナサン……って、ちゃんと判ってたよな。
「いや、私の責任です。私が、セイバー様の可愛いおでこを傷つけてしまって。
おでこに傷が残ったら、どうしよう」
「慌てなくてもいいぞ、ジョナサン。弟の責任は私の責任。私が責任を持って、セイバー様と結婚したいと思います」
ちょっと待て、ジェラルド?
ほら、セイバー様も額に手を当てて混乱なさって。
「何を言うんだジェラルド。怪我をさせたのは私なんだから、私がセイバー様と結婚するんだよ?セイバー様、私と結婚してくれますよね?」
「セイバー様に怪我をさせてしまう様なジョナサンじゃなくて、私の方が、セイバー様に向いている。セイバー様、私と結婚しましょう」
セイバー様を挟んで双子達が、睨み合いを始めた。
論点が、ずれ始めている。
「何を言っているんだ。お前達は」
私が間に入るも、2人は睨み合いを止めない。
「ごめん。えっと、私、子供は、ちょっとムリかなぁ。年齢的に合わないわねぇ」
セイバー様が、恐る恐る小声で呟いた。
いや、セイバー様も子供ですからね。中身はかなり大人かも知れませんが。
「じ、じゃあ!僕と、僕となら結婚してくれる!?」
頭上が暗くなって、私達は声の主を見上げた。
ティム、お前もか。
「何言ってるんだ、ティム!お前は、私達よりも年下だろう!?か、身体は大きいけどさ」
「それに、セイバー様は、僕の尻尾と耳が大好きだよ。僕なら、大きいし、力が強いから、セイバー様を守れるよ」
いや、ティム。セイバー様は、お前より強いからな。
「私が!」
「私と!」
「僕が!」
セイバー様は、溜め息を吐いて、片手で額を押さえ、もう片方の手で、私にこっちに来るように合図し、徐に私の首に抱きついた。
「ごめんなさい、皆。
私、実は『枯れ専』なの!だから、セオドア様と結婚するわっ!!」
「「「枯れ専!?」」」
「そうよ。イケメンのおじいさんが好きなの。だから、諦めてね?」
セイバー様は、そう言うと私の頬にキスをし、私に立つように促した。
「さあ、セオドア様!診療室へ。愛の逃避行よっ」
その後、私にロリコン疑惑がかけられたのは、言うまでもない。
「ジェラルド、セイバー様は枯れ専?」
「ティム、セイバー様はイケメンのじいさんが、好きらしい」
「神官長様、イケメンなのか?ジェラルド」
「まあ、イケメンらしい。よく、神官長目当てで、老婦人達がいらっしゃる」
「流石、神官長様。格好いい」
「ティム、駄目だよ。いくらなんでも、セイバー様と神官長様じゃあ、歳が離れすぎてるよ」
「このままでは、神殿の世間体が。そうだな、ここは、やはり、セイバー様に歳の近い私達が、セイバー様の目を覚まさせるんだ」
「それって、諦めないって事?」
「敵は、セイバー様が大人になる頃には、更にお年を召している。私達は、格好いい大人だ。負ける気は、しないね」
せいばあ、ついに『枯れ専』宣言、入りましたっ!!




