これも罰?あれも罰?
読みに来て下さって、ありがとうございます。
虎の半獣人のティム。なりの大きい虎の子供だと思ってやって下さい。
悩んだセオドア様は、深く溜め息を吐き、私の頭を撫でた。
「ふむ。撫でると何だか心が落ち着きますね。
さて、ティム。最近は朝の鍛練をサボっていると聞いています。
先ずは、朝の鍛練に毎朝参加。鍛練内容は、鍛練の指導官と相談します。
次に、1ヶ月のトイレ清掃。汲み取り業者に教えて貰って、汲み取りも手伝いなさい。
当然、その後は毎回、身を清める事。最後に風呂に入ったのは、いつですか?獣人だからと言って、風呂嫌いは認めません。
女神像の製作も1ヶ月間禁止。聖バーミア様の物、神殿に関する木工作業のみ許可します。作業は日が暮れるまでとし、それ以降は、期間内は夕餉が終われば反省室に直行。
1ヶ月の刑の執行期間が終わっても、今までみたいに作業部屋でそのまま寝るのは禁止。自室のベッドで寝なさい。
最後に、今後、神殿内でのフードとマントの着用を禁止します」
「神官長、そんな……」
「トイレ掃除と反省室、女神像の製作禁止以外は、神殿では、普通の事です。むしろ、今まで免除されていたのが不思議です。
キチンとした生活を送り、皆とちゃんと交流しないから今回の様な事になったんですよ。子供だからと言って、甘えていては、いけません」
ティムは、益々、身体を縮めてシュンとなった。
半獣人とは言え、鼻が良い彼にとって、トイレの汲み取りは、きついよね。まあ、がんばれ。
「女神像を作る以外にも、女神様を信仰する術は、あります。たまには、きちんと女神様に向き合って祈ったらどうです?案外、答えていただけるかも、しれません。
それから、フードとマントは洗濯の為に没収です。あれ、いつ洗濯したんですか?」
セオドア様が正しい。不潔、駄目。不衛生は、心身ともに良くないからね。
「ティム、庇ってくれてありがとう。大丈夫よ、私は後宮には行かなくて済むらしいから。
でも、ティムは、とにかく、お風呂。それから、着替えだわ。その神官服も、いつから着替えてないの?病気になっちゃうわよ。
ティムがきれいになったら会いに行くから、一緒に女神様にお祈りしましょうね」
私は、ティムに微笑んだ。ショータが言うように、聖女様らしからぬヤンチャな子供の笑みかも知れないけれど。
目を泳がせつつ、ティムは首を竦めて私を見た。
これは、イエスのサイン?うん、勝手に、そう解釈しておこうか。
聖騎士達と、少し潔癖症気味のジェラルドによって、ティムは連れて行かれた。
最初の罰?に、虎の半獣人は、借りてきた猫の様に大人しくトボトボと足取り重く歩いて行った。
部屋を出る前にティムは、私とセオドア様をチラッと振り返り悲しそうにしたけれど、私達は心を鬼にして彼を睨み、首を横に振った。
半獣人にしろ、子供にしろ、躾は大事。
ここまで放置していたのは、神殿の長たるセオドア様のせいでもあるけどね。
「神殿に連れて来た当初は、心身ともに傷ついて怯え、どうしようもない状態だったんです。ですから、つい、好きな様にさせてしまって。反省してます」
はい、いい子、いい子。
私は、セオドア様を慰める様に、彼の腕を軽く手の平でパタパタ叩いた。
「育児、頑張りましょう。お手伝いしますね」
セオドア様は私を見て、再び大きく溜め息を吐き、何だか不思議なモノを見る様な目をした。
「セイバー様。本当に10歳なんですよね?まるで、育児のベテランっぽい母親の様ですよ」
ただの世話焼きばばあですが、何か?前世では、自分の子供に加え、孫まで育児しましたからねぇ。そんなもんですよ。
「せいばあ。2日目にして、化けの皮が剥がれたね。可愛い聖女様の仮面が、何処かに行っちゃってるよ?」
我が孫ながら、辛辣だよ。こんな可愛い聖女様に、なんて事を言うのやら。
「せいばあ、よもや、ティムをこき使おうなんて思ってないよね?」
「思っちゃいないよ。あんななりをしてても、12歳だよ。せいばあを見損なっちゃいけないよ。足元に細工されて怪我しそうになった事なんて、全然、、気にしてないからね、うんうん」
「梅の花の模様入り木製マグカップは?」
「いくらティムが器用で速く彫れても、大量生産するには、梅の花を一つ一つ彫っていると手間と時間が掛かりすぎる上に、コストがねぇ。
あぁ、そうだ。梅の花は焼き印にすれば、早く仕上がるよ。先ずは、デザインを描いてくれる人を探して、それから鍛冶職人を」
「聞いた私が莫迦だった」
どんどん計画が具体的になってきた、グレナリア神殿グッズ。私も、欲しいです。




