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閑話2:忌み子たちの肖像

 ここは、辺境の忌み子の孤児院。

 この場所にたどり着いた子供たちは、皆、心に深い傷を負っていた。


 ルカ


 僕には、制御できない力があった。

 魔力が、感情のままに暴走してしまう。

 怒りや悲しみが込み上げると、周囲のものが吹き飛び、地面が揺れ、時には火花を散らすこともあった。

 人々は僕を恐れ、「忌み子」と呼んだ。


 誰も、僕に近づこうとしない。

 親でさえ、僕の力に怯え、僕を捨てた。

 僕は、自分の持つ力を憎んだ。

 この力がなければ、きっと僕は、愛されることができたのに。

 僕は、ただ、誰かに触れてほしかった。

 ただ、一人、暗い部屋の片隅で、魔力が暴走しないように、心を閉ざして生きていた。


 リリィ


 お腹が、いつも空っぽだった。

 病弱で、少し動くだけで息が切れる。


 貧しい家では、満足に食事も与えられず、私はいつもお腹を空かせていた。

 このままでは、きっと、病気で死んでしまう。

 そう分かっていても、何もできない。

 私の体は、どんどん痩せ細り、力は失われていく。

 誰も、私を助けてくれない。

 私は、ただ、誰かの温かい手が、温かい食事が、欲しかった。

 未来への希望を失い、死を待つだけの日々だった。


 ハンス


 僕は、貴族の屋敷で、使用人として働かされていた。

 でも、それは「使用人」という名の奴隷だった。

 気に入らないことがあると、すぐに暴力を振るわれる。


 僕は、毎日、毎日、彼らの理不尽な暴力に耐え続けた。

 心は、いつしか怒りと憎しみで満たされていった。

 いつか、この力で、僕を虐げた貴族たちを、全員叩き潰してやる。

 そう思うことでしか、僕は、僕の心を保つことができなかった。

 僕は、誰にも心を開かず、ただ、暴力という力だけを信じていた。


 三人は、それぞれの絶望を抱え、忌み子の孤児院へとたどり着いた。

 そこは、光も希望もない、ただの廃墟だった。

 しかし、彼らはまだ知らない。

 これから、彼らの前に、一人の悪役令嬢が現れることを。

 そして、その悪役令嬢が、彼らの人生に、光と希望をもたらしてくれることを。

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