第十七話:王都への帰還、そして王子の決意
子供たちの決意を受け入れ、セレスティーナと子供たち、そしてディランは、王都へと帰還した。
王都の人々は、彼女たちの帰還を熱狂的に迎えた。病を治し、貧しい人々を救った「聖女」の帰還に、街中が歓喜に沸いていた。
セレスティーナと子供たちは、英雄のように扱われ、王宮の門へと案内された。
謁見の間で、セレスティーナを待っていたのは、レオナルドだった。
彼は、以前のような高慢な表情ではなく、後悔と苦悩に満ちた顔で、セレスティーナの前に跪いた。
「セレスティーナ…! 君を追放したことを、心から謝罪する。私を許してくれ」
レオナルドは、セレスティーナの無実を確信し、過去の過ちを深く後悔していた。
「…どうか、私と再び婚約して、この王家の伴侶となってくれないか。君は、この国に必要な存在だ」
彼は、権力欲からではなく、心からセレスティーナを必要とし、再婚を申し出た。
しかし、セレスティーナは、静かに、そして冷たくレオナルドを見つめた。
彼女は、彼が自分を追放した真の理由を知っている。だが、その理由は、彼女を信じてくれなかったことへの言い訳にはならなかった。
セレスティーナは、冷徹な悪役令嬢の顔に戻り、レオナルドに告げた。
「レオナルド殿下、ご冗談も大概になさって。一度捨てた男に、再び従うとでも?お可哀そうに、貴方には、この国の未来を憂うことしかできないようね」
彼女の言葉は、レオナルドの心を深く抉った。
セレスティーナは、彼を完全に「見限った」ことを、はっきりと示したのだ。
彼女の返答は、復讐を望んでいないこと、そして、彼らが真に価値あるものを失ってしまったことを突きつける、痛烈な一撃だった。
登場人物紹介(第十七話時点)
セレスティーナ・フォン・エトワール
侯爵令嬢。子供たちと共に王都へ帰還し、レオナルドの再婚の申し出を断る。
レオナルド
第二王子。セレスティーナに過去の過ちを謝罪し、再婚を申し出るが、拒絶される。
ディラン
セレスティーナの騎士。彼女と共に王都へ帰還する。
子供たち
ルカ、リリィ、ハンス。セレスティーナと共に王都へ帰還する。




