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第十四話:公爵の失脚、そして騎士団長の決意

 エミリアの自白を受けて、レオナルドは直ちにグロース公爵家への査察を命じた。地下室から発見された文書には、グロース公爵が王家の軍事機密を隣国に流していた証拠が記されていた。その衝撃的な内容に、レオナルドは激怒した。


 彼は、もはや権力争いなどどうでもよくなっていた。目の前にあるのは、一人の令嬢を陥れ、国を危機に晒そうとした悪行の数々だった。

 レオナルドは、即座にグロース公爵とエミリアの不正を暴き、公爵家を失脚させた。


 彼らが軽んじたセレスティーナの存在が、図らずも公爵家の悪事を暴くきっかけとなったのだ。


 一方、王都で巻き起こる騒動の噂は、辺境で旅を続けるセレスティーナたちの耳にも届いていた。


 「エミリア様とグロース公爵が失脚したそうです」


 ディランからの報告に、セレスティーナは静かに頷いた。

 彼女の心には、喜びも悲しみもなかった。ただ、平穏な、いつもの日常がそこにあるだけだった。


 彼女は、復讐に興味はなく、子供たちとの生活を続けることを望んでいた。この大切な家族と、愛と知識に満ちた日々を送ることが、彼女にとっての真の幸せだった。


 ディランもまた、王都の騒動を知り、自身の決意を固めていた。

 グロース公爵家が失脚し、王都の権力構造は大きく変わった。レオナルドから騎士団長への就任を促す連絡も入っていた。


 しかし、ディランは、王国の騎士団長になることよりも、もっと大切な使命があることを知っていた。

 彼は、セレスティーナの元へと歩み寄り、膝をついた。


 「セレスティーナ様、私は、レオナルド殿下からの騎士団長の申し出をお断りします。私は、あなたに改めて忠誠を誓います。あなたの騎士となることを決意しました」


 ディランの瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

 彼は、王国の騎士としてではなく、セレスティーナという一人の女性の、そして彼女が築いた家族の騎士となることを選んだのだ。


 セレスティーナは、そんな彼の真摯な眼差しを受け止め、静かに微笑んだ。



登場人物紹介(第十四話時点)


セレスティーナ・フォン・エトワール

侯爵令嬢。復讐には興味がなく、子供たちとの平穏な生活を望む。


ディラン

王国騎士団に所属する騎士。レオナルドの申し出を断り、セレスティーナの騎士となることを決意する。


レオナルド

第二王子。エミリアとグロース公爵の不正を暴き、彼らを失脚させる。


エミリア・フォン・グロース

自白によって、グロース公爵と共に失脚する。

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