表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/37

第八話:嵐の予兆と、訪れる影

 エミリアは、ユリウスがセレスティーナに何か貴重なものを渡したという情報を手に入れた後、早速その情報を利用して卑劣な計画を実行に移した。彼女は、セレスティーナがレオナルドに送ったかのように見せかけた、偽造した手紙を作成した。


 その手紙には、子供たちの才能を利用して力をつけ、王家への復讐を企んでいるという、嘘の計画が詳細に記されていた。


 手紙を受け取ったレオナルドは、怒りに震え、疑念を確信に変えてしまった。


 「…やはり、私の優しさを、愚かだと嘲笑っていたのだな!」


 彼は、セレスティーナを権力争いから守ろうとした自身の行動が、彼女に復讐の機会を与えてしまったのだと信じ込んでしまった。


 「騎士団長を呼び出せ! セレスティーナを捕らえるよう、命じる!」


 エミリアの思惑通り、レオナルドはセレスティーナを捕らえるよう命令を下した。


 同じ頃、大商人エルネストは、王都の貴族や商人の間で、孤児院の噂を意図的に広めていた。


 「辺境の孤児院にいる『忌み子』たちが、とんでもない才能を持っているらしい」


 「あの子供たちが育てた薬草は、王都のどの薬草よりも品質が良いそうだ」


 「彼らは、この国の未来を担う逸材となるだろう」


 エルネストは、セレスティーナと子供たちが、王都にとって有益な存在であることをアピールし、王都の貴族や商人たちの関心を引くことに成功した。彼の真の狙いは、子供たちの才能を王都に知らしめることで、王家が彼らに手出ししにくくすることだった。


 レオナルドの命令を聞いたディランは、不信感を抱いた。


 「…殿下は、セレスティーナ様を保護するために追放したはず。それがなぜ、今になって捕らえるなどと……」


 ディランは、レオナルドの命令の裏に、エミリアの陰謀が潜んでいることを直感した。彼は、レオナルドの命令に背き、孤児院の様子を独自に監視することを決意する。


 夜の帳が下りた頃、ディランは孤児院の森の中に身を潜めていた。すると、複数の人影が孤児院に近づいていくのが見えた。

 彼らは、王都の暗部で活動する人間たちだった。彼らは音もなく孤児院の裏口に忍び寄る。


 「…やはり、エミリアが差し向けた者たちか」


 ディランは、彼らがセレスティーナと子供たちを襲うつもりだと確信した。彼は、剣に手をかけ、いつでも動けるように身構えた。


 嵐の予兆が、静かに、そして確実に、孤児院に迫っていた。



登場人物紹介(第八話時点)


セレスティーナ・フォン・エトワール

侯爵令嬢。王都で広まる嘘の噂に、その身が危険に晒され始める。


ディラン

王国騎士団に所属する騎士。レオナルドの命令に不信感を抱き、孤児院の様子を独自に監視する。


レオナルド

第二王子。エミリアが偽造した手紙を信じ込み、セレスティーナを捕らえるよう命じる。


エミリア・フォン・グロース

セレスティーナを陥れるため、偽造した手紙をレオナルドに送りつけ、彼を扇動する。


エルネスト

大商人。王都にセレスティーナと子供たちの噂を広め、彼らの存在を王都にとって有益なものだとアピールする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ