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蒼碧のつかい  作者: ひよよ
下ノ編
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拾ノ十



 キッセはネシャが用意してくれた道具と材料を使い巣台作りに取り掛かった。

 梯子はしごを壁に立てかけ設置する場所を決めていた時だ。保僚ほりょうがやれ右だ、左だ、もう少し下などいうのを聞いていたら、梯子がグラっと傾いた。


 ――まずい、倒れる。 そう思った瞬間

「危ない!」


 声と同時に大きな腕がキッセを抱えた。

 

「平気か? キッセ?」

「は、はい……」

 キッセが見上げると、そこには寧照ねいしょうがいた。


「ロホ、駄目じゃないか。キッセはまだ怪我が治っていないのだよ」

 保僚ほりょうからキッセと二人で巣台を設置すると聞いていた寧照ねいしょうが、心配して様子を見にきたのだ。


「そうなの? キッセ」

 心配そうな目で保僚ほりょうはキッセを見つめた。


「怪我はもう治っておりますから大丈夫ですよ!」

 

キッセは慌てながら再び梯子を上がると、寧照ねいしょうはくすりと笑い、キッセを軽々と梯子から下ろした。


「君たち二人じゃ、危ないな。どれ貸して御覧」

 そう言って自分が梯子に上がり取り付け始めた。


「若様、私がやります。怪我にさわったら……」

「僕の傷よりキッセ、君の方が重症だろう。さあ金槌を貸して、――ロホ、この辺りでいいかい?」

「うん。そこでいいよ。兄ちゃん」


 キッセがあんなに悪戦苦闘していたのに、寧照ねいしょうはあっさりと取り付けしまった。


「キッセ、どうかな?」

「は、はい……よろしいかと」

 寧照ねいしょうの問いにキッセは思わず上ずってしまった。


 その時、ドンドンと屋敷の裏門を叩く音がした。


「私、見てきます」

 そう言ってキッセは慌てて裏門の方へ駆けていった。


 心臓のが誰かに聞かれるのと思うぐらいに聞こえる。軽々とキッセを持ち上げた、寧照ねいしょうの力強い手の感触が残っていた。

 キッセは何度も大きく息をすると、しつこくドンドンと叩く、使用人の裏口の門を開けた。





「やあ!」

 突然の来客にキッセは目を見開いた。


「噂で、蒼国そうこく一の豪商が華族と再縁したと聞いけど、まさか君が出迎えてくれると思わなかったよ! いやー。キッセ、元気だったかい?」


 驚いて開いた口が閉じないキッセを気にせず、宙定ちゅうていは昨日まで会っていた親しい友人のように嬉しそうに話した。


「あ、あんた、なんでここに……」


 ニコニコしている宙定ちゅうていの後ろにもう一人姿が見えた。頭巾を深く被っているので顔は見えなかったが華奢な還獣クワンシュだ。

 少し離れたところに馬車が停まっている。簡素な馬車だがそれに乗ってここまでやってきたのだろう。


「本当は僕が来る予定ではなかったのだけど……。最近、この地区の警備が厳しくてね。——キッセなんか知っている?」


 会話がかみ合わないし、答えるのもシャクに障る。

 何も答えないキッセを目の前にし、宙定ちゅうていは首をかしげた。


「どうしたんだい、キッセ? 僕のこと忘れちゃったのかな? まあ、いいや。キミとの再会の楽しむ為にここにきたんじゃないしね」


 ――あいもかわらず。適当なやつだ


「それよりさ。この屋敷の旦那様に僕のこと取り次いでくれないかな。僕は君の主人と約束があってここにきたんだ」


 こいつには関わりたくないキッセは、とりあえずいったん取り次ぎに行こうと、扉を閉めかけた時

『ここはどこなの?』と、宙定ちゅうていの後ろいた頭巾の声がした。


 若い女の声だ。キッセはまた宙定ちゅうていが自分と同じように、どこからから誘拐してきたと思い、

『ここは策達様のお屋敷だよ』と、言ってバタンと扉を閉めた。


 キッセその何気ない一言に、今さっきまで澄ました顔をした宙定ちゅうていが目を見開いて驚いていることにキッセは一切気づいていなかった。




すこしの間、休みます。

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