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蒼碧のつかい  作者: ひよよ
下ノ編
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拾ノ八

「キッセ!」

 保僚ほりょうがキッセを見つけると、いきよいよく駆け寄り抱きついた。

「どこに行ってたのさ。早く、早く!」

「はいはい、坊ちゃん。そんなにせかさないでください」

 寧照の実弟、保僚ほりょう。キッセよりひとまわり小さく、狐に似たガロだった。

「キッセが僕との約束、忘れたと思って屋敷中探したんだよ」

 小さな手でキッセの手をぎゅっと握った。

「坊ちゃんとの約束はちゃんと覚えてますよ」

 深い黒緑の毛色がつやつやとしていた。

 この屋敷には、ガロがキッセとネシャ保僚ほりょうだけだ。そのせいもあって寧照の弟の保僚ほりょうはキッセに懐いていた。

 保僚ほりょうにせかされながらキッセは一緒に庭へと向かった。


 市井しせいにある大店の店頭の軒にはメツバの巣があった。

 メツバとは春から初夏にかけて飛来する渡り鳥で、民家になどの軒下に巣を構える。

 多く卵を産み、雛を育てるので子宝に恵まれると言われ、人の出入りが多いところに巣を構えるので商売繁盛の証と縁起の良い鳥だ。

 それとメツバの巣は泥と枯れ草を唾液で固めて作るのだが、不思議なことに出来上がった巣は青や緑色の色をする。巣の青色が濃ければ濃いほど商家では喜ばれていた。

 保僚ほりょうはこのメツバが大好きで毎年、店にやってくるのを楽しみにしていた。けれど華族となり、この屋敷に越してから滅多なことが無い限り、華族地区から出ることが許されない身分になって以来、保僚ほりょうは元気がなかった。


 保僚ほりょうもメツバを呼ぼうと巣台を作ろうとしたが、屋敷に鳥の巣など作られたら、糞で汚れると咲萄しょうとうが嫌がったので、作ることができなかった。

 がっかりしていた保僚ほりょうを見てキッセは庭師のネシャの小屋に巣台を作ることを提案した。

 奥方様の咲萄しょうとう嫌がるのを知っていて、使用人が勝手に巣台を作ることはできないので、寧照から策達さくたつ聞いてもらった。元気のない保僚ほりょうを心配していた策達も、咲萄しょうとうが近寄らないネシャの小屋ならいいだろうと、許可が下りたので晴れてメツバの巣台を作ることになった。






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