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蒼碧のつかい  作者: ひよよ
上ノ編
29/65

肆ノ五

 

「二人してどこに行ってたの!」

 

 ルーシの怒り声で出迎えられた。

 キッセとビィビは帰宅と同時に、長い耳をピンと立てたルーシにこっぴどく叱られた。


 ペルが怒っているルーシの肩をさすりながら言った。

「ルーシは心配してキッセのこと一日中、探していたのよ」


 ビィビが、チラりとルーシを見て

「オイらのことは、探してくれなかったのかい?」

 キッっと、ルーシはビィビを睨みつけた。


「ルーシ、ごめん……」

 まさかこんなにルーシに心配をかけていると思わなかったキッセは素直に謝った。


「ねっ、大丈夫って言ったでしょ」

 ペルがルーシの肩をポンポンと軽く叩いたあと、キッセに近づき同じように肩をポンポンと軽く叩いた。

「でも、どこかに出かける時は、必ず誰かに言わなくてはダメよ。子どもだけでは危険な場所もあるから」

「わかった……」と、キッセはうなずいた。


 それでもなかなか腹の虫が治まらないルーシは、キッセとビィビに向かって言い放った。

「二人共、罰として晩御飯の後片づけをしてもらうからね!」

「やりぃ!」

 これには今晩、洗い物当番だったアジルが喜んだ。



 晩御飯は芋と雑穀を一緒に炊いたホカホカなご飯と、小さな雑魚を煮たものに、青菜の塩漬物だった。皆、席につくと「いただきます」と言って食べた。


 少ししてお腹が落ち着くとペルが箸を置き、静かに話し始めた。

「キッセ、あなたを道端で見つけた時は驚いたわ……」



 ことの始めは、ヴェルクが引き受けた仕事だった。

 それは江汐こうしほから東に位置する町、霖燈りんとうへ積み荷を運ぶ仕事だ。


 蒼国そうこくの東側はほとんどが山間部で、所々に小さな集落や町が点在している。

 その中で蒼国そうこくのもっと東に位置する町、霖燈りんとう

 一年通して水温が低い上質な水と、着色に使用する植物が豊富に生える霖燈りんとうは、古くから染物と反物が盛んで、腕の良い織物や染物の職人が多くいる。

 霖燈りんとうはそのいろの豊富さに、別名、美彩びさいの町とも呼ばれていた。


 ヴェルクは染物に使う灰や糸などの材料や、霖燈りんとうへ用事がある環獣クワンシュを運ぶ仕事を時々請け負っていた。

 いつもならアジルが同行するのだが、この時アジルには賃金の好い仕事が舞い込んだため、代わりにペルが同行することになった。



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