↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼碧のつかい  作者: ひよよ
上ノ編
21/71

参ノ四

 

 再びアーロィへ行くと、洗い物を終えたのか、さっき居たおばさんたちの姿が見当たらなかったので、キッセは少しほっとした。


(ずっと前に横李《おうり》にもあったな、これ……)


 キッセがいた横李《おうり》にも共同水場《アーロィ》は在ったのだが、ずいぶん前に枯れてしまい、井戸しかなかった。

 ここには共同水場《アーロィ》があり、横李《おうり》とは違いとだいぶ広い造りになっていた。


 石造りの共同水場《アーロィ》には日よけの屋根があり、傍《かたわ》らにある腰掛《こしか》けに年老いたガロやカロックの爺さんたちが、楽しそうに談笑《だんしょう》していた。


「キッセ、こっちよ!」

 ルーシは、洗濯洗い場の場所を確保し手招《てまね》きした。


「よかった、今日は空《す》いていて。さあ、洗濯よ。――でも、その前に……」

 ルーシはキッセの衣《ころも》の裾《すそ》が濡《ぬ》れないように、裾《すそ》をくくり上げ、結んだ。


「これでバッチリね!」

 何だか、ルーシに好いように取り込まれている様な気がした。


 共同水場《アーロィ》は井戸とは違い、常に水が湧き出ている。

 ここの共同水場《アーロィ》は上段から、階段のように段々になった石造りの槽《そう》が四つと、洗い場があった。


 絶え間なく水が湧《わ》き出る一番上の上段が飲み水専用。

 二段目が汲《く》み水用で、水桶《みすおけ》が入るように漕《そう》が深くなっている。

 三段目が野菜などの洗い場だ。今も誰かが、深ザルに真っ赤な蕃茄《ヒヤヒ》を入れ冷やしていた。

 四段目は洗濯のすすぎの漕《そう》。四つに区切られており、そこに洗濯物を入れるとクルクルと回るようになっていた。

 一番下は長方形に広がる洗濯物の洗い場になっていて、一番上から順々に末広がりに広くなっていた。


 もちろん、女たちがせっせと洗濯している時に、三段の野菜の洗い水で泥のついた野菜を洗ったら、どうなるかは誰もが心得ている。


 この町には、このような大小様々な共同水場《アーロィ》が、あちらこちらにあり、環獣《クワンシュ》たちの憩いの場になっていた。


 ルーシとキッセは一番下の洗濯洗い場で準備をし始めると、ぞろぞろと洗濯かごを持ったガロやカロックのおばさんたちが、同じように洗濯の準備を始めた。


「これは洗濯液《ゴル》よ。昨日の晩ご飯の時、研《と》いだ米のとぎ汁に今朝、石鹸《ヤポン》を混ぜておいたの」

 

 ルーシが家から持ってきた水桶《みずおけ》の中に、白く濁った液体が入っていた。ルーシは籠《かご》から洗濯物を取り出し洗濯液《ゴル》に浸した。


「これにつけてから洗うと、汚れがよく落ちるの」


 おばさんたちも家々で配合した洗濯液《ゴル》を洗濯物に浸して、洗濯板でごしごしと洗ったり、洗濯棒で叩いたりしていた。

 この洗い場には、洗濯物を叩く平べったい洗濯石《せんたくいし》が置いてあり、洗濯しやすいように洗い場のふちが段になっていて、中央に水が流れている。


 ルーシはせっせと洗濯板《せんたくいた》を使って洗濯物を洗っている。

 キッセは見ているだけでは退屈なので、籠から洗濯物を取り出すと、ルーシがやって見せた通りに、洗濯液《ゴル》を洗濯物に浸して洗濯石の上に置くと、ルーシが持ってきた洗濯棒で叩いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。