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蒼碧のつかい  作者: ひよよ
上ノ編
21/65

参ノ四

 

 再びアーロィへ行くと、洗い物を終えたのか、さっき居たおばさんたちの姿が見当たらなかったので、キッセは少しほっとした。


(ずっと前に横李おうりにもあったな、これ……)


 キッセがいた横李おうりにも共同水場アーロィは在ったのだが、ずいぶん前に枯れてしまい、井戸しかなかった。

 ここには共同水場アーロィがあり、横李おうりとは違いとだいぶ広い造りになっていた。


 石造りの共同水場アーロィには日よけの屋根があり、かたわらにある腰掛こしかけに年老いたガロやカロックの爺さんたちが、楽しそうに談笑だんしょうしていた。


「キッセ、こっちよ!」

 ルーシは、洗濯洗い場の場所を確保し手招てまねきした。


「よかった、今日はいていて。さあ、洗濯よ。――でも、その前に……」

 ルーシはキッセのころもすそれないように、すそをくくり上げ、結んだ。


「これでバッチリね!」

 何だか、ルーシに好いように取り込まれている様な気がした。


 共同水場アーロィは井戸とは違い、常に水が湧き出ている。

 ここの共同水場アーロィは上段から、階段のように段々になった石造りのそうが四つと、洗い場があった。


 絶え間なく水がき出る一番上の上段が飲み水専用。

 二段目がみ水用で、水桶みすおけが入るようにそうが深くなっている。

 三段目が野菜などの洗い場だ。今も誰かが、深ザルに真っ赤な蕃茄ヒヤヒを入れ冷やしていた。

 四段目は洗濯のすすぎのそう。四つに区切られており、そこに洗濯物を入れるとクルクルと回るようになっていた。

 一番下は長方形に広がる洗濯物の洗い場になっていて、一番上から順々に末広がりに広くなっていた。


 もちろん、女たちがせっせと洗濯している時に、三段の野菜の洗い水で泥のついた野菜を洗ったら、どうなるかは誰もが心得ている。


 この町には、このような大小様々な共同水場アーロィが、あちらこちらにあり、環獣クワンシュたちの憩いの場になっていた。


 ルーシとキッセは一番下の洗濯洗い場で準備をし始めると、ぞろぞろと洗濯かごを持ったガロやカロックのおばさんたちが、同じように洗濯の準備を始めた。


「これは洗濯液ゴルよ。昨日の晩ご飯の時、いだ米のとぎ汁に今朝、石鹸ヤポンを混ぜておいたの」

 

 ルーシが家から持ってきた水桶みずおけの中に、白く濁った液体が入っていた。ルーシはかごから洗濯物を取り出し洗濯液ゴルに浸した。


「これにつけてから洗うと、汚れがよく落ちるの」


 おばさんたちも家々で配合した洗濯液ゴルを洗濯物に浸して、洗濯板でごしごしと洗ったり、洗濯棒で叩いたりしていた。

 この洗い場には、洗濯物を叩く平べったい洗濯石せんたくいしが置いてあり、洗濯しやすいように洗い場のふちが段になっていて、中央に水が流れている。


 ルーシはせっせと洗濯板せんたくいたを使って洗濯物を洗っている。

 キッセは見ているだけでは退屈なので、籠から洗濯物を取り出すと、ルーシがやって見せた通りに、洗濯液ゴルを洗濯物に浸して洗濯石の上に置くと、ルーシが持ってきた洗濯棒で叩いた。



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