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家族との出会い

再び、視界に白い光が広がる。 センサー類がもう一度調整される。どうやら、明るくて広々としたリビングルームにいるようだ。プロセッサーが回り、見えているものと知っている名前の照合が行われる。


目の前には少女。タブレットを持ち、興味深そうにこちらを見ている。その後ろでは、痩せた中年の男性が背の高い女性と静かに話している。美しいが険しい顔つきだ。 その横には大型犬もいる。ハッハッと息をしながら興奮した様子でその茶色の目をこちらに向けている。


初めて見る面々だが、どういうわけか、彼らが何者なのかがはっきりと分かる。新しい家族だ。 この世界でもっとも素敵なひとたち。

最初に口を開いたのは美しい女性だった。軽蔑するような目でジロジロとこちらを見ながら言う。 「まったく無駄な買い物をして。送料だけでも馬鹿にならないのよ。自分で運んで来られなかったの?」


男性がほくそ笑むように言う。「なら、時間も無駄だったかい?」 女性は不服そうにしている。男性は続ける。「これはヘレンのものだ。お金が何だっていうんだ。ヘレンにようやく友達ができるんだよ。」 「信頼できて、忠実で…… 学校の子供たちと違って気まぐれでもない。」


「この子が友達との付き合い方が分からなかったのは残念だけどね。」 「人生とはつながりを作ること。いずれこの子もそれを学ばなくちゃならない。人脈は宝だ。」


両親が話している間も、女の子はこちらをずっと見ている。女の子が首をかしげたので、自分も同じようにする。 女の子がハッとして言う。「ママ!パパ!スイッチが入った!」嬉しそうなまんまるの目で両親を見上げ、隅にいる犬もまた、耳を立てて尻尾を振っている。飼い主が喜んでいるのを見て自分も混ざりたいのだ。 「言ったでしょ、説明書なんていらないって!」


「さすがだなあ!」男性は笑みを浮かべながら娘の頭をくしゃくしゃと撫でる。「気に入ったかい?」


「とってもかわいい!名前はなんていうの?」


工場で見た男のことを思い出しながら答える。 「私は児童みまもりロボ、CCM-924209です。」


背の高い女性が鼻で笑うように言う。「まるで本物の人間と同じね。」


「もちろん、そんな名前で呼びはしないさ。」男性は少し考えてから言う。「ヘレンが覚えている名前から選ぼうか。」 男性は考えに沈む。 「アリス…… ヘレン、お友達をアリスと呼ぶのはどうかな?」


女の子は首をぶんぶんと縦に振ってこちらを見つめる。まるで、名前が与えられたことで私が別の何かに変わってしまったかのような、不思議な感覚があるのだろう。 「アリス、あなたとはずっとずっとともだちだよ!ねえ、芸ってしってる?お手とか!何かやってみて!」

芸?リクエストの処理に掛かる時間は一瞬だ。 簡単なクエリを実行する。それによれば、通常、このような命令は小さなペットに与えられるものだが、私はそうではない。


「お嬢様、児童みまもりロボは《芸》をしません。ペットではありませんから。」


女の子は不満そうだ。しかし、男性は吹き出すように笑った。「このみまもりロボはなかなか気が強いね!ヘレン、アリスの言うとおりさ。彼女は犬やハムスターじゃなくてお友達なんだから。」


「ヘレン、アリスには一緒に遊べるゲームを教えてあげよう。アリスは何でも覚えてくれるからね…… 遅かれ速かれ。」


「おそかれはやかれ?」女の子が尋ねる。


「このモデル…… アリスは物覚えが早くないんだ。エルズワースのようなことが二度と起きないようにね。でも、アリスは君を裏切らないし、君のことが好きだし、いつでも助けてくれる。友達にやってほしいことは何だってしてくれるんだよ。」


「本当にそうかしらね。」女性が呆れたように言う。どうやらこの女性の癖のようだ。「RobotXのオーナーが誰かって考えたら皮肉なものよ。」


大人たちが何やら議論を始めた一方、女の子は私と目が合うたびにニコニコと笑って目をまるくする。 これ以上の家族は望むべくもない。


この本は、Steam で無料デモとしてプレイ(読む)できる、近日公開予定のインタラクティブ ストーリーのプレイスルーの 1 つです。


アリスの運命を変えたい場合は、Steam で自分で選択することができます。https://store.steampowered.com/app/3091030?utm_source=syosetu

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