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プロローグ
最初からは、熱くなかったこの世界。
今は冬だった。
それなのに。空は黒く、灰が舞っていて、
熱い、いや熱すぎる。
今では見渡す限り、動物はいないし、
海もない。
自然の水は無いが浄水場に残っている
水がある。だが、それも持って1ヶ月という
ところだろう。
こうなってからもう何週間たったのだろう。
辛い。それしか思わない。
こうなったのは、
全てあいつのせいだ、
あいつさえいなければ。
あの魔法使いさえいなければ。
いや、魔法使いと呼ぶには迫力が
足りなかった。 俺の知っている魔法使いは
怪物だって倒せる。 だがやつのあれは、
一発じゃ、人を殺せない。
こうなったのだってあいつ一人の力じゃない。あいつと同じぐらいの強さのやつが
10人ぐらいいたのを覚えている。
許さない。許さない。許さない。
もう目の前で人が死ぬのは嫌だ。