第三話 いのち の おもみ
ステータスに健康の項目を追加しました(前話以前も)
人生で初めての命のやりとりが終わった後、俺は盛大に吐いた。
この手で命を奪う感触はこの先一生忘れることは出来ないだろう。
そしてこの感触が、この世界が夢でないという現実を自分に突き付けた。
「おえっ…漫画や小説だと人型じゃなきゃ余裕とかよく見るけど、そんなことないな…」
昔生きた魚を捌いた時も違和感があったが、それの比じゃないくらい気持ちが悪い。
手指の震えは止まらないし、身体に血の臭いが染み付いたような気もする。
胃の中はとうに空っぽなのにまだ吐き気が止まらない。
「しかしそれを差っ引いても異様な倦怠感だな。これが毎回続くとしたらとてもじゃないけど生きていけないぞ…」
なんかの状態異常にでもかかってるんじゃないかというレベルの体調不良だ。
状態異常ならステータス画面に出るはずだし、確認してみるか…
「ステータスオープン」
〜ステータス〜
名前:柳信晃
レベル:8 (180/800) ↑6
年齢:20
所属:無所属
職業:なし
称号:大物食い
状態:健康
体力:5/70 ↑60
気力:40/70 ↑60
妖力:-
力 :25(23+2) ↑18
頑強:19(16+3) ↑12
敏捷:14(13+1) ↑10
器用:18(17+1) ↑13
知力:19 ↑15
精神:14 ↑11
幸運:13 ↑10
忠誠:-
技術:剣術(太刀、小太刀、野太刀)、急所突き
新規称号:
称号:大物食い
備考:レベルが5以上高い敵を倒した証。自分よりレベルの高い敵と戦うときにレベル差に応じて全ステータスUp
称号:諦めない男
備考:絶体絶命の状況で諦めずに勝利を掴んだ証。精神+10。
称号:急成長
備考:一度のレベルアップで全ての項目が10以上上がった証。取得経験値×2
新規技術:
技術:急所突き
備考:急所を突いて敵を一撃で倒した証。クリティカルが出やすくなる。
ひえっ
さっきのオオカミの一撃が防御したのに5も食らってたのか!本当にギリギリだったんだな…
状態が健康だけどこの倦怠感っていうのはどうも体力が最大値に対して低いのも関係しているのかな。
いわゆる赤ゲージになると調子が悪くなる、と。
今まで気にせずにゲームをしていたけど、普通はそうだよなぁ。
称号については"急成長"と"諦めない男"の数値を見る限りではセットしているものしか反映されないっぽいな。
1レベル上がる毎に1.5〜3くらい各項目が上がることを考えると経験値UPをつけておくのが妥当だな。
ふぅ。検証はここまでにして移動して身体を休めないと。
この状況でまたオオカミに出会ったら今度こそマルカジリだ。
血の臭いも気になるし、川とか見つかるといいなぁ…
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
あの後少し歩いただけで水音がして、運良く無事に水場に辿り着いた俺は身体と服を洗い、一息つくことができた。
水場は滝で裏に洞窟もあり、限界だった俺はそこで気を失うように眠りについた。
一眠りすると体力も全回復しあの倦怠感はすっかりなくなった。
水も確保できたし、滝壺付近には魚もいて食料も手に入れられた。
これで当面生き延びることは出来そうだし、嬉しい誤算だが、魚を獲っても経験値が入るのだ!
岩の下に隠れているやつらを一網打尽にすると経験値と食料が入ってウッハウハである!
またレベルが上がった恩恵なのか、自分の倍近いサイズの岩も持ち上げられるようになり、足も速くなっている。
これで調子に乗った俺は付近の探索をし、ウサギなどの小動物を狩り、日々の食生活を豊かにしていったのだった。
え?命を奪う嫌悪感?
そんなものは食欲の前には無力でしたよ。
もう解体しても嫌悪は感じない。自分の糧となる命に感謝をしながら黙々とバラすのみです。
火はテレビでよく見る、木の棒を擦って摩擦で火種を作る方法で解決した。ホントは竹とかあるとより楽だったんだろうけど、ないものはしょうがない。
日本じゃ絶対出来なかったけど、今の俺なら出来る!ということでチャレンジしてみたら意外といけた。
焼き魚にしろ焼き肉にしろ、初めてタンパク質を焼いて食おうと思った人は天才だね!
そして現在のステータスがこちらです!
〜ステータス〜
名前:柳信晃
レベル:9 (46/900) ↑1
年齢:20
所属:無所属
職業:なし
称号:急成長
状態:健康
体力:80/80 ↑10
気力:80/80 ↑10
妖力:-
力 :30(26+4) ↑3
頑強:24(19+5) ↑3
敏捷:18(16+2) ↑3
器用:22(17+5) ↑2
知力:21 ↑2
精神:17 ↑3
幸運:16(15+1) ↑2
忠誠:-
技術:剣術(全般)、急所突き、投石、解体
〜装備〜
主武器:木の棒(攻撃力1+2)
副武器:石の小刀(攻撃力1+2)
頭:ウサギの首巻(頑強+1、敏捷+1)
胴:布の服(頑強+1)
腕:毛皮の手甲(頑強+1)
腰:織布の洋袴(頑強+1)
脚:皮の靴(頑強+1、敏捷+1)
装飾品1:腕時計
装飾品2:ウサギの後ろ脚(幸運+1)
技術名:剣術(全般)
効果 :剣術(小刀、小太刀、太刀、野太刀、大太刀)が統合された技術。刀に分類される武器を1つ装備する毎に攻撃力+1
取得特典:力+4、器用+3。
技術名:投石
効果 :石を投げた時に狙い通りの場所に当てやすくなる。投石の攻撃力+1
技術名:解体(小)
効果 :小動物をより綺麗に早く解体できるようになる。
取得特典:器用+1
武器名 :石の小刀
武器種 :小刀
攻撃力 :1
技術 :剣術(小刀) >熟練度 100/100 習熟
習熟特典:器用+1
武器名 :流木(大)
武器種 :大太刀
攻撃力 :3
技術 :剣術(大太刀) >熟練度 100/100 習熟
習熟特典:力+1
武器名 :石
武器種 :投擲
攻撃力 :1
技術 :投石 >熟練度 100/100 習熟
習熟特典:器用+1
石の小刀は石打漁をやっている最中にたまたま良い感じの割れ方をしたのでそのままナイフ代わりに使い込んでいる。
武器種大太刀はどうも最初の検証だと力が足りなかったようだ。
武器によって必要ステータス値があるのがわかったのはデカいな。
とはいえ体感ではもうかなり身体能力は高いので、これで装備できない武器が想像できない。
あれかな、オリハルコンとかヒヒイロカネとか特殊な材料の武器はもっと必要値高いのかな?今からワクワクするね!
石はサイズ次第。手で握れるサイズは投擲武器、それ以上はただの石、もしくは岩扱い。
石の小刀の検証している最中にただの石にスキルがついている時は笑っちゃったね!
兎の後脚は狩った獲物から作った。解体にも慣れてくると、捨てる部位の再利用や食べる以外の利用方法がないか考える余裕が出てきたので、RPGのアクセサリーの定番でもあることから作ってみたのだ。
そんなこんなでこの世界に来てから早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。
季節はそろそろ夏。
いつも通りに狩りに勤しもうとしていたところに、女性の悲鳴が聞こえてきた。
「結構近いぞ…?」
俺は木の棒を握りしめて声のする方に駆け出すのだった。
主人公はまだここが日本とも戦国時代とも気付いていません。
この世界にオリハルコンはないんやでぇ
次話でようやく人里に出ます