プロローグ
しばらく在宅勤務が続きそうと言うことで、時間ができたので初投稿になります。
ストーリーの落とし方は決めているのでよろしくお願い致します。
一陣の風が吹き抜ける。
まるでこの熱を周りに早く伝えんとするかのように。
「まさかこの齢でこれほどまでに魂の震える戦いが出来ようとは夢にも思わなんだ」
正対する老人は、老いと病に侵されたた身体ではあるものの、未だ衰えることのない覇気を纏っている。
「天下人となってこの国の全てを手にしてるのだから、いい加減落ち着いたらいかがかな?今にも倒れそうで見ていて冷や冷やする」
「ははは、男はいくつになっても強者に挑むことが夢であってな」
ゴホッゴホッと咳き込みながらも目だけは爛々とし、こちらを睨みつける。まるでこの期を逃さんとするように。
「それに武人の最期の頼みであるからな。お主も無碍にはせんだろう?」
そう。この老人はもう長くない。歴史とは違い部下の反逆で自刃することはなかったが、老いにはどうすることもできない。
「まったく…あとで奥方に恨まれる俺の気持ちにもなれ」
「それについては心配無用じゃ。お主も知っておろうに。お主に挑むと伝えたら、「妾が行くまで常世で語りを考えておくように」とさ」
「相変わらずだな」
思わず苦笑してしまう。仮にも天下統一を成し遂げた夫に対する物言いではない。まぁそれがこの男と長年連れ添った妻の人柄でもあり、良いところでもあった。
彼女なら夫の語りが下手だった場合、生き返ってもう一度仕切り直してこい!と言ってもおかしくない。
「さて、そろそろいいであろう?この熱が冷めんうちに始めようか。儂の冥土の土産になるような戦いをな」
そう言うと老人の覇気が一層強くなり、空気が張り詰める。
立会人である老人の息子や家臣の面々が息を呑むのがわかる。
老いたとはいえ、群雄割拠の戦国時代を駆け抜け、誰もなし得なかった日ノ本統一を果たした男だ。
その覇気だけで歴戦の武将を黙らすくらい訳ない。
これから俺は親友の頼みで親友と命の取り合い、いや親友の命を刈り取る。
この戦いが世に認められることはないだろう。家臣の中には納得をしていない者もいるだろう。
だが関係ない。これはあいつの最期の頼み。そこに余人の入る余地などない。
覚悟を決めて刀を構える俺を見て、老人は満足そうに頷き、人生最後の名乗りを上げる
「天下人、織田三郎信長…」
「古今無双、柳藤十郎信晃…」
「「いざ尋常に参る!」」
ところで時代背景的に側室や衆道が出てきて然るべきなのですが、その場合ハーレムやBLタグは必要なのでしょうか…
おいおい考えます。