Ⅰ.真夜中の騒動
真夜中の1時過ぎ
普通なら夢の中で静かに寝ている時間だろう…
だがこの町では今騒々しい騒動の最中だった。
金属音や爆音が響き渡る。
今日も醜い争いをしているんだな
俺、天野悠斗は高台のビルの屋上から騒動を見物していた。
国立異能力特殊学園の生徒が異能犯罪組織の一つの基地を発見して調査をしているらしい。
勿論個人的ではなく正式な国の判断による命令のようだが、、
なんで人は争うのだろう…
意見が食い違えば喧嘩になる
自分の思い通りにならなければ力を行使しようとする
不都合なことは都合のいいことに書き換えようとする
醜い醜い醜い醜い
そんな事を思っている俺もまた同罪
嫌なことから逃げ出して
自分にできることさえ放棄する
与えられた定めをも捨て
こうやって傍観者として見学をしている。
今回の探索任務は小規模で済ましたかったのだろうか少女一人の単独のようだ
俺はその少女を知っていた。
いや、、俺じゃなくても異能犯罪に携わる者なら誰でも知っているだろう。
碧色の瞳にゆるふわな桃色のショートボブで身長が150cmにも満たない低身長。
それに相反して強調される胸部は1m近くはあるのではと思える程だ。
成績優秀で次期五天衆とも噂されている。
16歳で入学してたった一年で14000人いる生徒の中で上位100位にまで駆け上がったといわれ今もその順位が上がり続けていると…
そんな彼女だからこそ単独任務という危険な事も任せられたのだろう…
だが相手が悪そうだ
今回引き当てた組織はそこらへんにいるような小規模な組織ではなく大規模でいま最も危険視されている大規模な組織…しかもその中でも8つに分けられたグループの一つその副幹部クラスが相手だ
いくら神童といわれた彼女にも経験値が圧倒的に足りないし何より実戦は速すぎる
「見てらんねぇ」
気が付いたら俺の体は勝手に動いていた
こんな醜い争いに加担する気全くなかったはずなのにどうしてなんだろう…
自分でも分からなかった
「わりぃーな…俺も混ぜてくれないか?」
何恰好付けてるんだ…気持ち悪い
思わず自分にツッコミをいれたくなってしまった
「邪魔だ、お前もまとめてきえたいか?」
突然の乱入者に気を散らされて苛立ちがあるのかしかめっ面で乱入者天野の顔を睨みつけた。
それに対して何事も無かったかのように天野は余裕な素振りを見せて応えた。
「それ悪役の死亡フラグだよ」
挑発するように返したはいいが俺自身も実戦経験はなくこのクラスの相手は荷が重い
何より一般人に紛れていた人が突然、実は異能力者でしたーって公表するようなものだからなぁ
「日が昇る前に終わらせるよ」
挑発を重ねて口にした
相手は大きな斧が武器のようだ
異能者は魔法みたいに炎やらをポンポン出すだけではなく一人一つ決められた武器を顕現できる
だが俺にはその固有の武器がない
これはかなりの致命的な欠点でもある
炎や氷など魔法的なのも武器を通して発動できる
その武器を出せないとそもそも異能力を使えない
それってつまりお前一般人じゃね?ってなるが固有武器をもたない俺は代わりにある特殊能力が備わっている。
今は諸事情によりお披露目できないからただの一般人同様だが…
「さぁーて、出てきたは良いがこのクラスの相手どう対処しよう…」
無計画に現れたため自分の行動に後悔してしまった。