第八話「Bye Bye Blackbird -飛鳥夏衣が立っている-」
銀館道道終――【皇帝】は本業のために他県へ行き、そこでも執行者をカネの力で下し、その帰りだった。
改札機の多い南田良駅。その改札口の向こう側で、かつて苦渋を味わわせ、引退にまで追い込んだはずの執行者が立っていた。
それを視界に入れつつ、五人のボディーガードとともに、床をカツカツ言わせながら悠々と歩いていく。
「【皇帝】、いかがなされますか」
「無論、再度潰す」
「はい」
適当な地点を見計らって、【皇帝】は立ち止まった。人通りの多い駅で、カツン、と革靴の音がやけに大きく響く。
そして吼えた。
その声は届いた場所に電流を走らせるかのようにジジジと震えさせ、駅にいる誰もを振り向かせるほどの迫力を纏っていた。
「【漆黒の訣別】か。貴様の無謀な挑戦を歓迎するぞ、『元』最強の執行者よ」
飛鳥夏衣がそこに立っている。
○
飛鳥は思った。駅とはなんて広いのだろう。
様々な人々の人生がほんの一片、ほんの一瞬交錯するこの場所で、再び改札を挟んで向かい合える確率とは本来どれくらいなのだろう。もしかしたら奇跡に近いのかもしれない。
その奇跡を何度も味わうために執行者は情報を集め、技を磨いてきた。
改札を通るとは、即ち、夢を追うこと。
またその夢に向かって走れることが、飛鳥にはたまらなく嬉しかった。
改札の向こう側には、かの大男が堂々たる風格を漂わせて地を踏みしめている。その口元を覆う布は駅の生温かい風で揺れて、白い服の銀色の装飾と合わせて芝居がかった雰囲気を放っていた。
対して飛鳥は涼しげな高校の夏制服姿だ。傷むことを知らない長い黒髪は風を受けて墨の川のように流れ、白く透き通るような肌と互いの美しさを高め合っている。深い黒の瞳を持つ目尻の上がった目で、再び、今度は崩れない決意を持って【皇帝】を睨みつける。
「貴様の無謀な挑戦を歓迎するぞ、『元』最強の執行者よ。よくもまあ、執行者としてあるまじき失態を犯したというのに、恥ずかしげもなくのこのこと現れたものだ。貴様は誇り無き負け犬だということを自覚しろ」
「……まだ言っているの? 呆れるわね」
「何?」
「そうね、わたしは負け犬。けれど、それでもあんたの前にもう一度立つわ。わたしは胸の中に一つの確信がある限り何度でもやり直す」
飛鳥は流れるように言葉を紡ぐ。
「そしてあんたの言っていることはひたすら空虚よ。執行者の誇りに基づいているかのような発言をしているのに、その本人はルールを破り、執行者や【駅員】を理解せず、誇りとは縁遠い。あんたの言葉には反吐が出るわ。相手をイラつかせるのが狙いなんでしょうけど、洒落にさせない。次に執行者の形を真似て小馬鹿にする態度を取ったら、殺すわよ」
【皇帝】の目が、スッと細くなる。
それは飛鳥の、怒りを通り越して殺意すら感じられる視線を受けてのものだった。
恨みを向けられるのに慣れているであろう【皇帝】は、少しも怯まない。口元が隠れていてわからないが、目が細まったのは恐らく、笑ったからだろう。
「いいだろう。貴様はもう強者の側であるようだ。かといって、私の玩具であることには変わりないがな。所詮執行者などただの愚者共に過ぎん。改札を通ることには鉄道会社に金を払う以上の意味などなく、よって、たかが改札を通るだけに本気を出すのは愚かだ。だからこそ玩具にし甲斐があるのだが」
飛鳥の目に、軽蔑の色が浮かぶ。
【皇帝】の本音は、あまりにも予想していた通りだったからだ。
一般人に改札の尊さを知れとは言わない。だが執行者の世界にそれなりに深く触れた上での感想がそれとは、落胆だ。
「『改札を通ることにはお金をきちんと払う以上の意味はない』そうね、一般人はそれでいい。けれどあんたは一般人ですらないわ。あんたは改札機とICカードを汚し、善良な【駅員】の心を殺した。あんたは人としての道すら踏み外したのよ。ましてや執行者として負け犬になることだってできない。あんたは負け犬以下。ただのクズよ」
「そうか。ならばご教授願いたいものだ。執行者が改札を通るために戦う意味とは?」
飛鳥は目を閉じる。瞼の裏で繰り広げられる、改札との思い出の数々。そのどれもが優しく厳しい読み取り音に彩られていた。バカなことに全力を尽くす、それが楽しく誇らしいのさと師は言った。バカだからこそ命を懸ける。命を懸けるからこそ楽しい。どんなことでも、真剣にならなければ見えない景色がある。彼らにとって改札を通ることはただの駅への出入りではない。遊びでもない。だったら一体何なのか? とっくに答えは出ていた。飛鳥は紛れもなく【執行者】なのだから。
「――あんたになんか、理解できないわ」
「飛鳥先輩」
隣で、将が呼びかけてくる。
「高橋くん、あなたは破門よ」
「え?」
飛鳥は微笑んだ。普段は無表情の自分がよくこれほど自然に笑えたな、という微笑だった。
「あなたは新しい自分の個性を見つけた。もうわたしという師がいなくても戦っていける。……今から最後のレクチャーをするわ。見ていなさい」
顔を輝かせる将を見つめ、今からすることはあなたから教わったものでもあるのだけれど、と心の中で呟く。
改札の方へ視線を戻すと、ポケットから一枚の乗車券を取り出した。銀色のICカード。飛鳥と血と汗が染み込んだ、大切なものだ。
そして今度は――「 」――を取り出す。
思う。
【皇帝】を相手に無念に散っていった執行者たちのことを。
『何だって? 嬢ちゃんが……あの【漆黒の訣別】がオレたちを社会的に頼る? そんな魔術のようなことがあるのか?』 『ひひひ』
『ええ。【ラッシュアワーの魔術師】、そして【奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの乗車券です】。その怪我……【皇帝】にやられたのね。少しは同情するわ。けれどもう少し働いて欲しいの。あなたたちは誇りに欠けるとはいえ、確かな技術を持っている。頼らせてくれるかしら』
『うーん、そうだなあ。あの録音を社会的に消してくれるなら考えなくもないぜ?』 『ひゃひゃ』
『もう改札を穢すような真似をしないと誓うなら、見逃してあげる。どうかしら』
魔術師とスリは顔を見合わせると、にやりと笑って頷いた。
『おい! 【漆黒の訣別】! この前はわしを無視しおって、幻滅したぞい! おぬしなら【皇帝】に負けても誇りを失わぬかと思っておったのに……む? その眼差し。なにかあったようじゃな』
『【三代目戒殺鬼】。あなたの最古参としての技術と信念。それを見込んで頼みがあるのです』
『ほう。おぬしがわしを頼りにする日なぞ死ぬまで来ないかと思っておったよ。なんじゃ? そこにいる小僧と出会って変わったようじゃな?』
『はい。わたしは高橋くんのおかげで強くなれたし、これからも執行者としての精神を磨いていきます』
『はっは、よかろう。わしとおぬしの差がまた開いてしまうのは寂しいがの』
戒殺鬼はあごを撫でて悪戯っぽく笑った。
マッスルポーズ・ダブルバイセップスフロント。
『ええ、そうよ。【ちょっと音速で通りますよ】。あなたのその筋肉からしか教われないことがある。今日はそれを確かめに来たの』
マッスルポーズ・サイドチェスト。
『そうね。確かにわたしは見た目は貧弱。それでも改札の前では強くなれるわ』
マッスルポーズ・アブドミナルアンドサイ。
『そのことを心配していたのね。もう大丈夫よ。わたしは弟子のおかげで這い上がることができた』
マッスルポーズ・モストマスキュラー。
『※また俺の読書を邪魔にしに来たのか、バイバイブラックバードとやら』
『【必然】。あなたも【皇帝】に敗れたのでしょう? なにか知っていることはないのか聞きに来たの。あなたならたとえ情熱がなくとも――』
『※エンペラー……あいつか! ※あの糞野郎、汚ねえ手で改札を汚しやがったんだ! ※※あんなやつもエグゼキューショナーなのだとしたら、てめえらなんか滅んじまえ!※※※』
『そこまで声を荒げて……あなたは情熱を持っていないのかと……』
『※違うね! 俺は確かにエグゼキューショナーなんかどうでもいい。ただ俺は改札機という機械が大好きなだけさ。改札に切符を投入したりICカードをかざす時の快感、一つの動きが引き金となり全ての処理を一瞬で終わらせるのを感じる時の快感は、まるで指の一振りで世界を動かす神にも等しき偉業を成し遂げたかのようで、最高なのさ。あの糞野郎はそんな素晴らしい改札機を、改造して低俗なものにまで貶めたんだ。くそっ……俺はエグゼキューショナーとやらじゃねえから、あいつを倒すこともできやしねえ……ッ!※※※※※』
『……わかったわ』
飛鳥は【必然】の骨ばった手を両手できゅっと握った。
『わたしに任せて』
『※どういうことだ? ※……そうか、聞いたことがある。※おまえは無敗の、最強のエグゼキューショナー。おまえなら……』
【必然】は怒りの表情を懇願の色で染めて、飛鳥の両肩に手を置き、頭を下げて吐くように言った。
『頼む……エンペラーとやらをぶっ倒してくれ……。改札の美しさを取り戻してくれ……ッ!』
飛鳥は確固たる決意のもとに頷き、言った――
――ええ、必ず!!
その時だった。
改札との距離は互いに同じになり、
飛鳥が走り出すより先に、【皇帝】は――飛鳥を倒したときのようにICカードを十数メートル遠くからかざしていた。
七つの改札機から電子音が鳴り響く。
飛鳥はその場から動けない。
【通行許可争奪戦】、飛鳥のリベンジマッチは、終わった。
「ククク……フフハハハハハハッ! 雑魚め。仁王立ちして威勢のよさをアピールしてもどうにもならなかったな、【漆黒の訣別】! なに、おまえの作戦は読めていた」
【皇帝】が巨体を揺らして笑う。
「ICカードにチャージできる金額は20000円までだ。そして私が他県の某駅からこの駅まで来ると一度に2890円取られる。普通に改札を通ればそれだけの運賃で済むが、私の技で七つの改札機に同時に読み取らせると合計で20230円。チャージ金額の合計を超えている。それによって読み取りエラーになるのを狙ったのだろうが、残念だったな」
ICカードをしまう。変造されたそのカードは、邪悪な光を発していた。
「私のICカードはオートチャージできる。誰でもできることだ。それくらいの可能性も考慮できない雑魚は――」 「雑魚はあんたよ」
凛とした声が駅に響き渡る。
まるで衝撃波によるもののように、淀んだ空気が巻き上がり澄み渡る。
叫んだのは飛鳥だった。
「驕りが目を霞ませたようね。改札をよく見てみなさい」
【皇帝】は眉をぴくりとさせる。
もう一度改札を見る。
【皇帝】は口元をひくつかせる。
再度、改札をよく見る。
【皇帝】は目を泳がせる。
最後と決めて改札を見る。
【皇帝】は鼻の穴を膨らませ、怒鳴った。
「どういう……どういうことだこれはあっ!!」
改札機の【皇帝】側の読み取り部は、光を失っていた。
七つの改札機が読み取ったのは、【皇帝】のICカードではない。
飛鳥が投げた七枚のICカードだった。
「左から一番目の改札機の読み取り部に乗っているカードは、わたしのものよ。そして二番目に乗っているカードは【必然】から借りた物。今わたしが使った、彼の手先の器用さが実現する『カードを山なりに投げて着地させることでICカードを読み取らせる技』は習得に時間を要したわ」
淡々と喋る飛鳥に対して、【皇帝】は目を回しそうになっている。
「三番目は【三代目戒殺鬼】の物。乗車券を投げる技術に関しては他の追随を許さないあの方の技術も、真似するのは簡単ではなかったわ。八枚の切符を同時に投げることの出来るあの方と比べれば、七枚しか投げられなかったわたしなどまだまだでしょうね。四番目は【ちょっと音速で通りますよ】の物。あんたに気づかれないように音速に迫る目にも留まらぬ速さでICカードを投げると腕が砕けそうになるわ」
ボディーガードが【皇帝】を気遣う。それを【皇帝】は殴って黙らせる。
「五番目は【ラッシュアワーの魔術師】の物。彼の、スリを成功させるために相手の視線を他のところに誘導させる『ミスディレクション』は素晴らしかったわ。こうしてあなたの目も欺いて、わたしがカードを投げたことを悟らせなかったのだもの。わたしが“銀河鉄道の昏”の構えをしなかったことでわたしの存在感が薄れたというのもあるけれど。六番目は【奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの乗車券です】の物。これはまあ、割愛するとして、最後の七番目のカードは――」
飛鳥は隣で勝利の変てこ踊りをする将を見て、少し呆れて、それでも愛しげに見る。
「――わたしの弟子、高橋将の物。わたしをこの道に引き戻してくれた、大切な人の物よ」
将の手をとる。そして引っ張り、飛鳥と将は、改札を通り抜けた。
改札のこちら側に来た二人を見て、【皇帝】は叫んで唾を撒き散らす。
「み……認められるか! こんなもの……この私を何だと思って、」 「ああそうだ、【皇帝】――銀館道道終。二つ名で呼ぶ価値のないゴミ。あんた、執行者のルールを知っているわよね?」
飛鳥は周囲を見渡す。
「『通行許可争奪戦が終わったら、動ける場合は歩みを止めずに速やかに別の改札を通って去らねばならない』。あんたは普段からルールなど守らないクズでしょうけど、今ルールを破れば、ここに集まってもらった執行者たちが黙ってはいないのではないかしら」
【惑わしの蝶々】【天網改改疎にして漏らさず】【あの日の約束をオレは忘れない】など、二十人以上の執行者がここに集まり、道道終に嫌悪の視線を向けていた。
「ああ、でも別の改札といったら――」
そして飛鳥は、思いっきりサディスティックな表情を浮かべて言い放つ。
かつてこの男に受けた屈辱と、敗れていった執行者たちの無念と、排斥されていった善良な【駅員】たちの悔しさ。
それら全てを総結集し、ぶつける一言だった。
「――一方通行の改札しかなかったわね……!」
「くっ……クク……いいだろう。ここでは多勢に無勢。だが私には元より執行者の誇りなどないから何ら痛痒を感じない。今はその改札を通って帰ってやる。しかし!」
道道終はできるだけ堂々とする振りをしながら一方通行の改札へ向かう。
「待っていろ、【漆黒の訣別】……今に貴様を拷問に等しい罰で、」
ピー――――――
電子音が鳴った。
道道終が通ろうとした改札機からだ。
それは残額が足りないことを示す電子音。
そんなはずはない、と道道終はICカードを見直す。
定期券としての印字が消え、代わりにそこの名前欄に書かれていたのは――
“ザマアミロ クズ”
【奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの乗車券です】のスリとそれを応用したICカード入れ替えの技術と、【ラッシュアワーの魔術師】の魔術的視線誘導と、【ちょっと音速で通りますよ】の信念と、【三代目戒殺鬼】の舞う切符の美しさと、【必然】の――『情熱』と。
それらの技術を短期間で習得する、いわば『模倣能力』が自分の中に眠っているのに気づけたのは他でもなく、将のお陰で人を頼ることを知ったからだ。
その二つ名持ちたちと、まだ二つ名もない高橋将の信頼、更に全ての執行者の思いを乗せて放った、【漆黒の訣別】の新境地。
【蒼穹の共鳴】
「き……貴様らああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
飛鳥は飛び掛ってくる道道終を古武術で地に這い蹲らせる。将が呼んでおいた“まともな”警察がそれを見て駆けてきて暴れる道道終を取り押さえた。
ボディーガードも逃げ出し、道道終に味方はいなくなった。
【皇帝】は完全に敗北した。
彼はICカード変造や警察の買収の罪に問われ、起訴されるだろう。
全てを失い、執行者の負け犬としてですらなく、人生の負け犬として暮らしていくのだ。
靴を舐めさせる側の人間が、辛酸を嘗める側になる時が来たのだ。
最初こそ暴れていた彼は、手錠をかけられてからは大人しくなり、瞳に絶望を映しながら連行されていった。
駅は執行者たちの雄叫びに満たされ、駅自身が喜んでいるかのようにズズンと震えた。
その中心には飛鳥と将。彼女は静かに微笑み、彼ははしゃいでなぜか土下座したり逆立ちしたりと忙しい。【ラッシュアワーの魔術師】が飛鳥と肩を組もうとしてきて撃退されていたり、【ちょっと音速で通りますよ】が胴上げを始めようとしたりしている。
それを少し離れたところから見つめる、二人の人影。長身痩躯の男と、白髪交じりの老人。
「まったく、ワイワイ無駄に大騒ぎしおって……。このような時でも駅へ迷惑をかけず礼儀を持ち、祝福や感謝はアイコンタクトにとどめて淡白に去っていくのが執行者のあるべき姿じゃろうに……」
「まあまあ、いいじゃないですか。師匠こそウズウズしてるのでは?」
「【駅長】、いや【改神の一撃】。おぬしか? 銀館道道終により悪に染められた警察をまともな組織に戻したのは?」
質問には答えず、逆に質問を返す老人、【三代目戒殺鬼】。
問われた長身痩躯の男、【改神の一撃】は、騒ぐ執行者たちを見つめたまま、ふっと笑う。
「俺は蹂躙される同志たちを見るのがつらかった。だからできる範囲で行動したかった。そして、【駅長】という様々な面でかなりの権力を持つ役職の俺にはたまたま警察への影響力があった。それだけです」
「はっは、おぬしが第二の銀館道道終にならぬか心配じゃの」
「もうあんな奴は現れませんよ。俺の元弟子、飛鳥夏衣がいる限りね。あいつは卑怯な手を使う相手を、正面から打ち倒してみせた。あれを見せられちゃ、銀館のようなクズがまだいたとしても立ち向かう気になれませんよ」
「そういうわけじゃから警察を元に戻すだけにとどめたのじゃな? 【漆黒の訣別】が銀館道道終を倒すことを信じて?」
「最初に会った時から、あいつは内に何か凄まじいものを秘めているような気がしていたんです。それに賭けました」
「おぬしも凄まじいじゃろうに」 「とんでもない。俺では銀館に勝てるかどうか五分五分でした。銀館に気づかれずにICカードを投げられるのは飛鳥だけだ」
執行者たちの宴を見つめながら、呟く。
「共鳴することを知った飛鳥夏衣だからこそ……勝てたんですよ」
胴上げされる飛鳥の、幸せの青い鳥が舞い降りたかのような笑顔を見て、【改神の一撃】は口元を綻ばす。
「な、楽しいだろ? 夏衣」
この瞬間は伝説となり、執行者たちの間で語り継がれることとなる。
そして数日後――
次回、最終話「Station」




