005・【副隊長視点】隊長との出会い?うーん…肝試し?(副隊長その2リーデル)アンタ何やってんですかぁぁ!!(隊員一同)
ん?オレと隊長との出会い?うーん…隊長に挑む肝試し大会かな?
え?隊長相手に何してんだって?いやいや不敬とかじゃないよ。だって、その時は隊長は隊長じゃなくて、オレもまだ副隊長なんかじゃない、ただ一介の学生だった頃にまで遡るんだから。
春は終わり夏が来る、新入生もだいぶ学校に慣れる頃、オレのいた学校内にはとある噂が広まった。
今年入学した新入生なのに、学校中で誰も敵わないほど、強くて怖い鬼がいるんだって。
で、何がきっかけだったのかは知らないんだけど、流行ったんだよ…その鬼が持つ宝を奪えた者こそ勇者っていう、くっだらない度胸試しがさ。
オレはそんなのには興味無かったんだけど、なんか面白そうだったから物見がてら鬼とやらを見に行ったんだよね。
そしたら怖いのなんのって!鬼やら実は魔物やら殺戮者なんて噂は伊達じゃなかったね!挑戦しようとしてた奴らなんてみーんな青褪めて固まっててさぁ!オレは内心もう大笑い。あいつ本当にオレより年下?てか新入生だって?嘘でしょ!年齢詐称してんじゃないの?んで、あんなのから食料強奪?あははは、無理無理無理!逆に喰われたりして?…なーんて笑った笑った。
まぁ、そんな考えなんてすーぐに打ち砕かれたんだけど。
その後も隊長に挑む勇者(笑)はちらほらいたんだけどね、隊長も嫌だったのか人気の無い場所を転々として弁当を食べるようになってさ。隊長が見当たらないから、この挑戦もだんだんとブームが去って行ったよ。
しばらく後、オレはたまたま裏庭で隊長が弁当を食べている所に遭遇してね。
隊長は普通に弁当を食べてたんだけど…たかられてんの。
いやいや生徒にじゃないよ?動物に。野性の鳥から野良猫、野犬、謎の生物まで本っ当にたくさんの動物にね。
オレはどうやって追い払うのかなーって楽しみに物影から見てたんだ。まさか殺したりはしないよな?ってさ。
けど…甘かったよ。隊長は、弁当から動物にあげちゃいけないものだけ抜いて、あとはぜーんぶ明け渡しちゃったんだ。
しかも、弁当が食べ尽くされた後も動物が逃げないの。軽くだけど手で払ったりしてんのに小鳥一羽逃げなくってさぁ。むしろその手にまで群がってたし。
…オレは噴いたね。だって噴くだろう?可愛いもの似合わないんだもん。むっつりしながら飛び付く犬やら猫を受け流す姿、面白過ぎるんだもん。犬猫受け流してる間も、小鳥が全身に纏わり付いてんだもん。頭つつかれても眉一つ動かさないんだもん。さすがに目をつつかれそうになったら首振ってたけど。
で、その時隊長はぴくりともしなかったんだけど、動物は驚いたんだろうね。大慌てで走り去っていったよ。
あー悪いことしたなー、って思って固まってたら、いつの間にか隊長が目の前にいてね。あ、オレ今日死ぬかも、とか考えてたら、
「すまない。助かった」
…てさ。もうぽっかーんだよ。後日聞いたら、いつも追い払おうにも何しても逃げなくて、どうすればいいのか分からないから追い払えなかったんだって。弁当も、あげるつもりは無いのにいつも奪われるから諦めて駄目な物だけ先に食べてたんだって。馬鹿だねー。
その後助けてくれたお礼にって、午後の鍛練後に小腹空くからって持ってきてたらしいパイを半分貰っちゃって。恐る恐る食べてみたらこれがもう最高で!!ハマったね。
次の日、思いきってどこで売ってんの?って聞きに行ったら、自作だって言われてまた驚いて。気に入ったんならってまた分けてくれてさ。もちろん喜んで貰ったよ。その後も動物を追い払いがてらちょくちょく貰いに行ったんだ。
え?どうやって貰ったのかって?普通に言ったよ、ちょっとちょーだいってね。あっさりくれたし。ま、さすがにずっとタダで貰うのは悪いから、毎回何かしらの食料と交換してもらってたんだけどさ。
ま、そんな事がきっかけで、隊長と出会ったんだよ。
それからちょっと間も抜けるけど、付き合いはもうかれこれ10年以上になる。腐れ縁だね。
戦争、自警団、防衛戦、第六団隊設立、戦う日々、終戦…いろいろあったなぁ。本当に。
まあ、そんなこんなで最終的に救国までしてしまった無茶苦茶な英雄様に、終戦後の人生なにするの?と聞いて『実質中退で学歴ないから、荷運びでもして働くかな』と真顔で返され大笑いするのは、また別のお話。
さて。次は何して隊長で遊ぼうか。
そういえば、この間ちょっと笑ったら、また相手が悲鳴を上げて気絶したって、諦め半分でひっそり落ち込んでたんだっけ。…隊長、アンタほんとに飽きない奴だよ。
よしっ、じゃあまずは相手を気絶させない笑顔を習得させるとこから始めようかな。
そんで、合コンにリベンジさせよう。今度は何やらかしてくれるかな?
うん、楽しみだ。
【リーデル】…第六団隊、副隊長その2。
隊長が選んだ(というより、隊長の数少ない知り合いの中に他に副隊長やれそうなのがいなかった。実質一択)副隊長なので、隊長は彼だけ副隊長と呼ぶ。その他は名前に副長付き。
整った甘い顔立ちに軽いノリのかなり取っ付きやすい優男だが、お腹は真っ黒で何気に酷い奴。メンタル強し。遊ぶの大好き。
緊急時以外は上下関係の薄い第六団隊を気に入っていて、隊員にタメ口されても怒らない。むしろ気楽さに喜ぶ。
長い付き合いなので隊長の扱いはお手のもの。でも飼い主かと思いきや、餌付けされてんのはコイツの方である。
隊長の作るパイが大好物。特に香草パイ。次はフルーツパイ。ジャムも好き。あぁ秋が待ち遠しい。(お裾分けのお裾分けを貰えるから)
ちなみに、隊長を敬っていないわけではなく、むしろ戦争時の活躍を誰よりも近くで知っているので、本当は一番の敬意を持っている。…が、長い付き合いなので、出来の悪い弟のような、からかいがいのある親友のような感覚も強いだけ。公式の場ではしっかりフォローします。