001・あぁ、隊長様よ…(記録員のナレーションと隊員達の落書き)
隊長は、誰よりも大きくて強靭な肉体を持ち、誰よりも強く逞しい精神を持ち、そして誰よりも男らしくて…死ぬほど怖い顔と声を持っている。『初めてお会いした時は魂抜けたと思いました!今でもいきなり会うとかなり怖いです!!いきなりじゃなくても怖『…お前、ちょっと黙れ』あっすみませっ…!』
本人は普通に景色を眺めて道を尋ねようとしただけなのに、凶悪な見た目と地を這うような悍ましく低い声のせいで、子供は泣き叫び、人々は青褪めるか卒倒する。『そういや、たまに自首してくる奴とかいるよなー』『そうそう。仕事がはかどるよねー』
だが、話してみれば素ですっとぼけた事をのたまい、部下を家族のように育て、誰かが任務などで傷付けば、誰よりも心配し、時に叱り、時に励まし、時に敵を討ち、時に怒る。『隊長!一生ついて行きます!!』『そりゃいーけど、ほどほどにしとけよー?』
小さい頃にご両親を亡くし、今までずっと一人で生きてきたから、家事から仕事まで超万能。もう超人。たまに手料理をご馳走してくれる。『これがめっちゃくちゃ美味しい♪おすそわけしあわせ〜』『…隊長の料理…美味い…最高…♪』
これは、恐ろしい見た目とは裏腹に中身はどこかズレた天然で、周囲からは誤解だらけの優しい隊長と、そんな彼を日々こめかみと目頭を押さえつつも、心の底から慕う隊員達の物語――。