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エースストライカー  作者: 柿井優嬉


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7/7

中学⑦

 !

 うすうす「そうなるのではないか」と思っていたが、実際にその言葉を聞いて、俺は頭を鈍器で殴られたような感覚になった。

「ちょっと待ってください! どうして野島ではなくて工藤なんですか!」

 俺と仲が良い羽村という男が、立ち上がって不満をあらわにした。

「早見中との試合でのプレーとか、工藤もすごくいい選手なのはもちろんわかっています。でも、野島はもっと前からずっと結果を出し続けて、工藤よりも得点をあげています。スタメンを外されるのは納得できません」

 羽村のそばにいる奴が、監督かつ先生に対して刃向かっているゆえに「おい、やめとけよ」と止めて、羽村が腰を下ろしていた椅子に座らせた。

 四十代の富田先生は紳士的な人で、いつも、そして今日もそうだった、冷静さを維持して、口を開いた。

「確かに野島も悪くはない。しかし工藤は、自らの得点だけでなく、激しく動き回って他のメンバーによる攻撃をアシストするなど、チーム全体をより活性化させ、強くしている。それはみんなもわかっていると思うが?」

 その通りだ。富田先生は、俺たちに話しているが、学生時代にずっとサッカーをやっていた高いレベルの経験者で、サッカーを熟知しているし、この判断が、工藤の努力が立派だからというのではなく、勝利の確率を上げるためのまともなものであることは、今の説明がなくても、部員全員が理解していたはずだ。俺のために抗議の声をあげてくれた羽村も、本当のところは。

 要するに、教育者として普段の練習態度も評価に加味する富田先生だけれども、今回の先発メンバーはきちんと実力で選んだのであり、俺は工藤よりも力が劣るとはっきりさせられたわけだ。


 それ以降も、仲間の誰かが「なにも大会の直前でレギュラーから外すことねえよな」と言って慰めてくれたりした記憶はあるが、あまり覚えていない。

 前は工藤が担っていた、後半途中からの出場によるプレー中も、ぼんやりした状態で、ろくな動きしていなかったに違いない。

「野島! 何をやってるんだ!」

 常に落ち着いていて、普段めったに怒ることのない富田先生が、そう声を荒らげたときがあったくらいなんだから。

 何やってんだよ、俺——。

 ショックを受けたのはしょうがないにしても、ガキじゃあるまいし、みんなの前では大丈夫だって顔で普通に振る舞えって。みっともない——。

 入部してからずっと、たったの一秒も、試合に出られない奴だっているんだぞ。それなのに——。

 心の中でどれだけ自分を鼓舞しても駄目だった。毎日逃げずに部室に足を運ぶので精一杯だったのだ。

 そんな日々が続いて、三年生の通常のタイミングで部活を引退すると、俺はサッカーをやめた。


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