第5話 レベロの能力 III
2025年4月8日
ナスティー地区を襲ったブライアン率いる不良集団。
レベロのファクルテイツによって、不良たちの大半が再起不能に追い込まれる。
ブライアン「お前も能力者か。面白れぇな。
なら、力比べと行こうじゃねぇかクソガキィ!!!!」
ブライアンは単体でレベロに襲い掛かる。
レベロは154cmでやせ型、ブライアンは180cmで細マッチョ。
体格の差だけで言えば圧倒的にブライアンが有利。
ブライアンがレベロにある程度接近した瞬間、
ブライアンとオリバーには、レベロの動きがとてつもなく速くなったように感じた。
ブライアン「なんだこいつ!?速すぎる?!」
レベロの動きは、ブライアンの反射神経をはるかに超越していた。
ほぼ一方的にブライアンはレベロから超高速で殴られまくる。
ブライアン(ダメだ、全然追いつけねぇ!やりたくねぇが、反射を恒常作動させるしかねぇ!)
ファクルテイツの恒常作動は、そのままの意味で、ファクルテイツを常に発動させるものであるが、その分速く自分の体力を消費する。
当然だが、体力を消費しきってしまうとファクルテイツを作動させれないし物理攻撃も疲れてできないので、体力が回復するまで戦闘不能になってしまう。
ブライアンは今まで自身のファクルテイツを「攻撃された一瞬だけ」作動する戦闘の仕方をしていた。
しかし、ブライアンのファクルテイツ、反射は数あるファクルテイツの中でもとりわけ燃費が悪く、体力が100%の状態で恒常作動させた場合でも、最大10秒しか持たない。
ブライアン(今の俺の状態だと、4秒ぐらいがやっとか。。
だが、この4秒の間は無敵だ!このガキの攻撃が、そのままガキに跳ね返る!
この4秒で、決着をつける!!)
ブライアン(反射、恒常作動!!)
ブライアン「え」
ブライアン「ぐああっ!!!」
ブライアンはぶっ飛んだ。
ブライアン(なぜだ...!? 確かに恒常作動させた...! 4秒は持つはずなのに...
恒常作動させた瞬間、一気に体の力が抜けた...)
ブライアン(4秒のはずだろ……?思考が追いつく前に、もう……)
レベロ(……まずい、視界が滲んできた)
同時に、レベロもその場に膝をついた。
レベロ「はぁ...はぁ...疲れた...」
レベロはもうファクルテイツを出せないほどにまで体力を消費した。
ブライアンはめげない。
ブライアン「このクソガキィ...!!!
....お前、もう戦えないのか?」
レベロはその場で息を切らしていた。
ブライアン「へへへ...チャンスだなぁ!!!お前ら、あのクソガキに集れ!!!」
不良たちはレベロに接近する。
レベロ「やっぱりな...
ここは退散するしかないようだ...」
レベロはオリバーの手を引き、
レベロ「早くズラかろう!!」
オリバー「あぁ!!」
急いでその場を後にした。
もちろん不良たちも後を追う。
不良3「おい待てゴルァ!!!」
不良4「ブライアンさんをこんなにも痛めつけたんだ、捕まえたらぶち殺してやる!!」
なんとかレベロとオリバーは不良たちを撒くことができた。
路地を何個か曲がった先から、微かに住民たちの断末魔が聞こえてきた。
レベロ「あいつら、まだ住民たちをリンチしてるのか...」
オリバー「助かった...」
レベロ「……やっぱりな。この前僕が言った通り、ファクルテイツなんか使ったところで、全部は救えないんだよ。」
オリバー「でも、お前がファクルテイツを使ってくれたおかげで俺は助かった。ありがとう。」
「ありがとう。」それを聞いたレベロは何か言いかけて、結局口を閉じた。
レベロとオリバーが帰路についている時、オリバーはレベロに問うた。
オリバー「レベロはさ、自分のファクルテイツ作動させてる間めちゃくちゃ動きが速くなるけど、その間自分が何をしているのかしっかり認識できているのか?反射神経的に無理だと思うんだけど。」
レベロ「いや、逆だよ。自分以外の時間を遅くしているんだ。だから僕の動きが、ほかの人にすごく速く見えるんだ。」
オリバー「あ、そうなんだ。自分が速くなってるんじゃなくて、自分以外を遅くしてるんだね。」
レベロ「そう」
オリバー「へぇ~、初めて知った。
ちなみに、そのファクルテイツ、名前とかあんの?」
レベロ「一応あるよ。僕が名付けた。
僕だけの領域。僕みたいな負け犬だけの世界。
ドッグ・ランド。
負け犬の園っていう意味だよ。」
オリバー「うわぁ...相変わらず自己肯定感低いなお前。。」
ファクルテイツ解説3
レベロのファクルテイツ「負け犬の園」
自分以外の時を遅くする能力。
発動中、レベロを中心とした半径5m以内の領域内では、
レベロ自身の体内時計を基準とした独自の時間が流れており、
その領域に入った者や物体は、例外なくその時間が適用される。
この能力は恒常作動を前提としているが故、
出力効率が良く、最大1分間程恒常作動を維持できる。
※この1分間は、領域内ではない、現実世界基準での1分間である。




