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ドッグ・ランド  作者: いつき
第1章 ナスティー地区にて
5/9

第3話 レベロの能力

2025年4月8日


この日のナスティー地区は、いつもとほんの少しだけ違った。


ナスティー地区の入り口から、場違いな大人数の笑い声が響く。

その笑い声はゆっくりと大きくなり、やがて声の主が姿を現す。


声の主はナスティー地区の外から来た人間たちだった。

服が新しいし、靴も汚れていない。判断材料はそれだけで十分だった。

ピアスや、人によっては舌ピアスをしていた。

そして、ほとんどの人がバットなどの、なにかしらの武器を持っていた。

誰もがその姿を見て一瞬で悟った。彼らは不良集団だった。


ブライアン「おい、見ろよ。下級国民どもがうじゃうじゃ沸いてやがる」

不良1「そうだなw 遊び場にはちょうどいいじゃねぇかww」


ブライアン率いる不良たちはズカズカとナスティー地区内へ入っていく。


最初に目をつけられたのは、ナスティー地区入り口付近の路地に住んでいたおじさんだった。


おじさん「な、なんだお前らは?」

不良1「よぉおじさん。ちょいと遊びに付き合ってくれよぉ」

おじさん「え?」

ドゴッ!!!

おじさん「グヴォア!!!」


不良はおじさんの有無を言わさずおじさんにバットをフルスイングで直撃させた。


不良1「こっちもストレス溜まってんだよ。すこしくらいいいだろぉ?」


何発も何発も直撃させる。


おじさんは動けなくなっていた。しゃべれなくなっていた。

しかし死んではいなそうだった。瀕死だった。



この一方的なおじさんリンチを機に、大人数の不良たちが次々とナスティー地区の人々をボコボコにしていく。


不良2「おい!逃げんなよ下級共!!!」


理由は単純だった。不良たちの単なるストレス発散だ。



ナスティー地区の路地は悲鳴で満たされる。


とても厄介なのは、その不良たちの中にファクルテイツを持っている者もいるということだ。

その不良は自身のファクルテイツを悪用して住民たちに攻撃をしていた。


「もうやめろ!!」

そこに、一人の男がやってくる。

オリバーだった。


ブライアン「誰だお前。ヒーロー気取りか?」

オリバー「ヒーロー気取りで何が悪い。お前らを止めに来た。」


オリバーは手に持った石を真上にあげ、

 オリバー「自己重力(セルフ・グラヴィティ)!!」

自分のファクルテイツで不良たちに飛ばした。


しかし、


ブライアン「なるほどねぇ」


ブライアン「反射(リフレクト)


不良たちに石が当たったと思いきや、その石は同じ速度でオリバーのもとへ返ってきた。


オリバー「グハッ..!!!」


ブライアン「残念だったなぁ。お前のファクルテイツは俺のファクルテイツとどうやら相性が悪いようだ。」


オリバー「お前も.....持っていたのか.....」


ブライアン「そうだよぉ?すげぇだろ?」


オリバーはもう一度落ちていた石と自己重力(セルフ・グラヴィティ)を使って不良たちに攻撃を仕掛けるが、結果は同じ。


ブライアン「お前のファクルテイツは俺に効かねぇんだよ。わかんない?」


オリバーがその場に倒れる。

不良たちはオリバーに接近し、さっきのおじさんのときのようにリンチを始める。


オリバーはもはやなす術もなく、不良たちからただ暴行を受け続けていた。

ファクルテイツ解説2


ブライアンのファクルテイツ「反射(リフレクト)

 相手からの物理攻撃を、任意の角度にねじまげる能力。

 殴りなら作用する力の角度を変えたり、

 飛び道具なら飛んできたきたものの角度を変えることができる。

 しかし、このファクルテイツは燃費が悪く、恒常作動させるとすぐにバタンキューしてしまうので、

 ブライアンは攻撃された一瞬だけ作動させるようにしている。

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