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第五話 レインの依頼

 私が“リシェル=アルメリア”であることを明かしてから、もう二週間ほどが過ぎていた。ミルキは今、情報屋としての仕事に出ている。だから――今のうちにお風呂に入っておこうかな。

 いつもは、彼がいるタイミングに合わせて入るようにしていたけど、今日くらいは先に入ったって別に減るもんじゃない。早くしないと――。

「ただいまー、ミルキが帰ったぞ」

「……ほらーっ!!!!」

 玄関の声に思わず叫んだ。ちょうど、湯に浸かろうとしたその瞬間。毎回、どうしてこんなにタイミングが悪いんだろう。

「な、なに怒ってるんだよ……って、ああ、今から風呂か」

「入ろうとしたら、ちょうど帰ってくるとか……ほんともう……!」

 呆れて睨みつけると、ミルキはばつの悪そうな顔で視線を逸らした。

「さっさと入ってこい。風呂上がったら、依頼の話がある」

「……依頼?」

「ああ、暗殺の依頼だ。レイン直属の情報屋って名前を出さなきゃ、話も通らなかった」

「そりゃ、そうでしょ……。分かった、すぐ入ってくる」

 浴室へ向かう途中、胸の奥が不思議と高鳴っていた。

 久しぶりの“仕事”だから? それとも、あの子たち――私の武器が、また活躍できるから?

 理由は分からないけど、自然と口元が緩んでしまう。

「ふふ……ふへへ……」

「リシェル、怖い」

「……ごめん、レインです」

「レイン、怖い」

 二回刺された。けど、しょうがないよね。たぶん、顔がにやけてたんだと思う。

 湯船に浸かりながら、ふと考える。

 この体、私はあえて“成長”を止めている。……けど、少しくらい成長させた方がいいのかな。

「ねぇ、ミルキー」

 ……返事はない。別のことしてるのかも。そう思っていたら、扉の向こうからノック音がした。

「あ、ねぇミルキ。私の体のことなんだけど、成長止めてるの。だから少し伸ばしたほうがいいかなって思ってて……どう思う?」

 しばしの沈黙のあと、くぐもった声が返ってきた。

「俺には魔術はわからん。だから自分で決めな。でも、成長はさせたほうがいいと思うぞ」

「ふーん……そんなに私のこと“チビ”だと思ってるんだ」

「実際チビだしな。止めてるならなおさらチビだ」

 チビチビうるさい……! 反論できないのが悔しい。

「じゃあ、そんなチビをバカにするなら! 今回の依頼、ついてきてもらうからね!」

「は? ……って、出てくんな、服着ろ!!」

 反射的にドアを開けて、ミルキをぶん殴っていた。うん、ごめん。それと、貧相な体を見せてごめん。

 でもさ……なんかムカつくんだよね。

「いいじゃんもう、めんどくさい……。貧相な体で悪かったねっ!!」

「そのわりには腹筋バキバキだけどな」

「“女の子らしくない”って言いたいの? 言っていいことと悪いことがあるのだよ、キミ?」

「わかったから、それを構えるな」

 構えたフロストネイルをミルキの額に軽く打ちつけてやった。

 ……しかし、服を着るのもなんだか面倒だ。

「まぁ、それより服を着ろ。持ってきてるから」

「おっ、気が利く〜、ありがと」

 渡されたのは、いつも着ているワンピース。……ちゃんと分かってるじゃん、助手のくせに。髪は魔法で乾かせるから、そこはもう気にしない。

「ちょっとは髪、乾かしてから出てきなよ。風邪ひくぞ」

「私の魔術は風邪菌なんて瞬殺で死滅するので、かかりませ〜ん♪」

「……何その便利な魔法」

「ふふん、王家相伝の魔術なのだ!」

「なんかキャラ変わってて怖いんだけど」

「ん、じゃあ依頼の詳細教えて」

 ちょっとだけ傷ついた。暗殺者として、キャラづくりは大事なのに。口には出さず、じとっとした視線でミルキをにらむ。

「……不満か? でも依頼料は、相場の10倍だぞ」

「……別のことで不満だったけど、それは満足。もらえるもんは、もらっておく」

 それが“私”のスタイル。……ただ、なんだか嫌な予感がするのは、気のせいだろうか。

「ちなみに依頼書は?」

「持ってきてる。契約はまだしてないけど、読んどけ」

「うん、パッと読んだけど――これ、何人?」

「十人」

 ……荷物、多くなるじゃん。でもまぁ、この世から“消して”しまうなら関係ないか。

「了解。じゃあ、後で私の部屋に来て。出発するから」

「契約しなくていいのか?」

「ん? 契約してなくても、逃げたら消すだけでしょ?」

「……怖えな、俺の助手……」

 そう思ってもらえるなら十分。暗殺者は、人前でその本性を見せることはない。だから、こうして誰かに見せておかないと――それが正しいのか、間違ってるのか、自分でも分からなくなってしまう。


こんにちは!雨宮瑞月です!

タイトル負けしてる内容ですよね、私もそうおもっております。申し訳ないです。

ここから少しだけ路線変更入っていきます!レインの性格書いてて面白くて好きですやっぱり、この子普段無表情なんですよ?(笑)

無表情で「ふふん、」とか言われたら笑う自信しかないです(笑)


これからも可愛いレイン、雨宮瑞月をお願いします!

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