第四話 ミルキとリシェル
私――レインは、ひとしきり落ち着いてから部屋へ戻った。人前で涙を見せるなんて、どうしてもしたくなかったから……。
部屋の扉を開けると、ミルキが紅茶を飲みながらくつろいでいた。出会ってからそれなりに時間は経つけど、この人にこういう趣味があるとは思わなかった。
「お、帰ってきたな。泣き虫さんよ」
「……消すよ?」
「それは勘弁。俺より年下のくせに、強がっちゃってまあ」
確かに私は年下だ。でも、こいつは助手だし……。
そんなちっぽけなプライドが、妙に邪魔をしてくる。下を向くと、ふわりと下ろした髪が顔にかかって、視界が真っ白になった。まるで意識を失ったときの感覚に似ていて、ちょっとだけ笑えてきた。くすくす笑っていると、前髪をそっとかき上げられた。
「何1人で笑ってんだよ。紅茶、冷めるぞ」
助手に怒られた。だって、ねぇ?
「ちょっと面白かったんだよ。私にだって感情はあるの」
「それを無表情で言われてもな……反応に困るわ」
「僕にも表情はあるよ」って言いたいけど、それすら嘘になりそうなくらい顔に出ていないんだろうな。そう思うと、ちょっと切なくなった。
席に戻ると、ミルキがお菓子まで添えてくれた。気が利くなんてレベルじゃない。なにこの元チンピラ、どうしてこんなに優しいの。よくわからなくなってきた。
「それにしてもさ、その髪、邪魔じゃないのか?」
「気になる? この髪は王家の証のひとつだから、バッサリ切るわけにはいかないの。あと、この魔法も……」
私は心の中で、ある魔術を発動させる。それは特別強力なわけでも、万能なわけでもない。けれど、ずっと使い続けている大切な形見――『氷晶魔術』の初級魔法。
「……情報屋やってたからわかるけど、それが失われた魔術か」
「よくわかるね。情報屋さんってそんなに便利なの?」
「便利というより、知識を蓄えるのが仕事みたいなもんだな。てか、俺が情報屋だったってことには突っ込まないんだ?」
「え? うん、知ってるから」
「知ってるって……」
実際そうなんだから仕方ない。私は何も言わずに、じっと目線でそう訴えた。
「……言いたいことはわかった。まあ、今後の依頼では手助けできると思うから、頼りたくなったら遠慮せず言えよ」
「じゃあキミは僕の専属情報屋だね。……僕の情報を漏らした瞬間、記憶を消すから」
「了解。殺されないだけマシか」
「それなら、首を飛ばしてあげる♡」
「やめてくれ、怖いんだよその笑顔」
どう返していいか分からなかったから、ちょっとふざけてみた。すごい顔されたけど……やりすぎたかな?
「……僕、対応間違えた?」
「おー、そうだな。人前ではやるなよ? 殺気で気絶するぞ」
「ミルキは大丈夫じゃん」
「俺は平気だ。けど、それ以外の人間には無理だろ」
そんなに殺気、出てたかな……。それとも、魔力が漏れてたんだろうか。よくわからないまま、私は紅茶をひと口。
そのまま、落ち着いた時間が流れる。ミルキを軽くいじりながら、私はのんびりとティーカップを傾けていた。
こんにちは!雨宮瑞月です!
気になってるかもしれないので情報を先出しします!
リシェルちゃんの一人称は僕or私です!これからの展開次第で一人称は増えていくかもしれませんけど基本的にはミルキの前では『僕』が多めになってしまうかもです!
こうやって信頼関係って結んでいくんですよねぇ……私的には殺されてほしくないのでその方向で今予定を組んでいます(笑)
ちなみに、ほぼ即興で書いたものを誤字訂正などバチバチに入れてあるので原作はひどいですよ!
って言い方もあれですけど、楽しんでもらえたらなと、私は思っています!
これからも白雪の亡霊を、雨宮瑞月をよろしくお願いします!
更新のペースには自信があります