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推しに全ぶっぱ!  作者: カナリオ
第1章 『リマ、推しをプロデュースする』
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第2話「これはわがまま?いいえ……」

  私は自宅に戻るなり、迷うことなく一番奥の部屋の大きな扉を開けた。


「──お父様。お願いがあるの」


「ん? なに〜? お小遣い? ドレス? それとも馬?」


  父・御影宗一郎みかげ そういちろうは眼鏡をクイッと上げてこちらを見る。小柄で、ぽってりとした可愛いおじさん──にしか見えないけれど、世界的大企業・Pomme(ポム)のトップ。普段はのほほんとしているが、本気になれば一国の経済さえ動かせる人物。


「ちがうの。お願いしたいのは、ある……アイドルグループへの出資」


「……アイドル?」


  父の目が少しだけ鋭くなる。


「名前もまだ詳しくは知らない。事務所のことも、何も分からないの。でも……ステージを見てしまって。たまたま。彼のパフォーマンスを目にしただけで、脳が痺れるみたいに動けなくなって。……もう、目が離せなかった」


「ほう」


「有名でもないし、まだ荒削り。でも、絶対に光るの。あの子は……これから、誰よりも輝く」


  ぎゅっと手を握りしめた。まっすぐに父を見つめる。届いてほしい。


「Pommeが支えれば、きっと大きな舞台に立てるようになる。才能を、埋もれさせたくないの」


  父はぽってりとした手を顎に添え、「ふむふむ」と唸りながら考え込む。


「……一番気になってる子は、センターの男の子。”りつき”っていう名前らしくて。……うまく言えないんだけど、彼をこのままにしておきたくないの。今動かないと、きっと彼はいつか消えてしまう。…それだけは絶対にダメ!」


  言った。言えることは全部。しばらく沈黙が続いた後、彼は破顔した。


「……リマがそこまで言うなら、パパお金出しちゃおうかな〜〜〜!」


「──本当に?!」


  やっと息ができた気がした。


「うんうん、リマがここまで熱くなるなんて珍しいし。そもそも出資したいなんて、初めてじゃない?」


  父はさっそく秘書に連絡を入れ始めた。彼の本気は、スピードでわかる。1時間も経たないうちに、小さな芸能事務所との交渉がスタートし、Pomme社の力が動き出した。

  部屋を出て、胸元を押さえる。まだドキドキが止まらなかった。彼と出会ってしまった、その時からずっと──



  私は御影莉茉(みかげ りま)。どこにでもいる女の子…

  なんかじゃない。私の言葉ひとつで、企業が動き、国さえ揺れる。そして今、彼がその渦の中に入った。

 ──これは、始まりの物語。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


ぜひ感想やブクマで推してくださると嬉しいです( ; ; )


Pommeはフランス語で”りんご”という意味なんですが、お察しの通りApple社を意識して名付けました。

つまりリマは、スーパーお金持ちです♡

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