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無限に続いた転生世界  作者: 立谷蒼
転生開始編
8/9

第7話 不平等

カヤムドが斬撃を放つ。

俺が奥の手を使おうとした時、ようやく、ジニムが復活し、驚きの声を上げた。まあ、驚くよね。


(どうしたの!?)


(どうしたって…見ての通り、戦ってるんだけど)


(いや、それは分かるけど……避けて!!)


俺はそれを聞いて、なんとか、攻撃を避けることができた。やはり、ジニムの魔力感知は、俺のそれより、性能が高い。ジニムは今、異空間にいるが、魔力で俺と感覚を共有することが可能である。


どうやら、魔力は十分に回復したようだ。


(ルリス、アイツ、疲弊してる。物量で攻めて、もっと疲れさせるのよ)


成る程、俺が使える、物量の魔法といえば、水乱打(ウォーターラッシュ)しかない。


俺は急いで、水乱打(ウォーターラッシュ)を発動する。


「クッ………」


(今よ!!ルリス!!!)


「流闇!!!」


カヤムドは倒れた。

遣る瀬無いまま。




          ◇◇◇


スキルを所有していない、カヤムドがスキルを習得しない理由を語るには、彼の人生について知る必要がある。




オレは、負けたのか?

………結局、何もできなかったじゃねぇかよ。

唯一、強いことが取り柄だったのに。


オレは、生まれた頃から負けたことがなかった。

だが、完璧ではなかった。スキルをもっていなかったのだ。皆んなもっていたのに。

でも、オレは気にしなかった。スキルなんて、なくとも、最強に成れる、と思っていた。

だから、迷宮(ダンジョン)の存在価値が分からなかった。


でも、違った。スキルをもっている者と、そうでない者には、大きな壁があった。絶対に越えることのできない、壁が。


あれは、確か、魔王だった。

魔王はスキルがない、オレに興味を示し、本部に招待した。その魔王の魔力感知は目を見張る性能で、オレの魔力を感じただけで、オレにスキルがないと、分かったのだ。


何をするのかと思えば。

ソイツはオレにスキルがなかったから、オレには価値が無いと言い、オレの目の前で、両親を殺してみせた。その後、オレは奴に、故郷へと転移させられた。


あの時の感情は今でも、はっきりと覚えている。

ひたすらに冷たかった。オレを心配してくれた、勇者だけが救いだった。勇者は、魔王を必ず倒すって、約束してくれたけど、今はどうしているのだろう。


魔王は討たれたのか?

いや、それはないだろう、勝てる筈もない。奴が何故、魔王と呼ばれているか

一瞬にして、分かった。


誰かが変えなければならない、この不平等を。


          ◇◇◇



カヤムドが立ち上がった。さっきの一撃で鎧は砕けて、顔が見えている、黒髪に水色の瞳の男だ。


「まだ、立つのかよ?」


「そりゃあ、立つさ」


カヤムドは即座に構え、答えた。


「打ってみてくれ、効かないから」


「後悔するなよ……灯撃斬!!!」


閃光が発生し、凄まじい轟音が鳴り響いたが、俺は無傷。そう、逆転防御だ。魔力コストが高いので、頻繁には使えないが、今のは仕方ないだろう。

さて、お返しだ。


「流闇!!!」


闇はカヤムドに攻め寄る。


「グハッ………」


(この子供の名………ルリスという名は、あの時の………)


奴は今度こそ、意識を失った。

懐かしそうな表情を浮かべながら。


それで、その後、すぐにドルムグラ魔導国の王、アゼ=ドルムグラに呼び出された。

あれ、これ、もしかして、やらかしちゃった感じ?



「其方、よくやってくれた!!!カヤムドを誰も倒せず、困っていたのだ。褒美として、金貨100枚を与えよう」


マジか!!太っ腹が過ぎるぞ!?これじゃあ、クエストで小遣い稼ぎをしていた、俺はなんだったんだよ!?


王からの説明によれば、カヤムドは、すぐに目を覚まし、あの場から逃げ去ったらしいが、俺が与えた、致命傷で被害は格段に減るとのこと。


褒美をちゃっかり受け取り、俺はその場を後にした。



         ◇◇◇


総統リルテムは驚愕し、溢れる感情を制御できず、目の前にあった机を蹴り飛ばす。


「カヤムドが負けただと!?有り得ぬ!!」


リルテムは報告に来た雑兵へと、問う。


「まさか、死んだ訳ではあるまいな?」


「はい、ですが、連絡がとれず、居場所も分かりません」


「奴は優秀だ、これからも働いてもらう必要がある、今すぐに見つけ出せ!!」


「はい、すぐに捜索を開始します」


(奴を失えば、連合の戦力は著しく低下する、何としても取り戻さなければならん)


カヤムドがもっているものは”スキルへの執着”だ。



カヤムドは勝てる戦いしかしない。

勝ち目の薄い戦いはしないのだ。

あの時、カヤムドは魔王と戦わないことを選択したのは、本能で勝てないと、理解していたからだ。


だが、カヤムドは仮にも、強者。

その強者を倒した、ルリスは注目されることになる。

それにより、戦いに巻き込まれることにもなる。


これは、カヤムドの初めての敗北であり、ルリスが大物となるキッカケでもあるのだ。

魔王は2人存在します。両方結構すぐに登場します。

それと、次の話から新章に入ります。

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