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災禍の令嬢ヴィヴィアンは、普通に無難に暮らしたい  作者: ねこたまりん
ヴィヴィアンの恋と革命
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(19)作戦開始

 スカーレットは、黒鞄から魔導通信機を取り出して、イルザ・サポゲニンにメッセージを送った。


「生死に関わる緊急事態につき応援求む。場所はヴィヴィアン邸の食堂」


 間髪を入れずに、漆黒のドレスを纏ったイルザ・サポゲニンが出現して、ヴィヴィアンをがっしりと抱きかかえた。


「ぐえっ」


「ヴィヴィアンちゃん! すぐに病院に運ぶわ! たとえ死んでたって蘇生するわよ!!」


 スカーレットがあわててイルザ・サポゲニンをとめた。


「イルザお姉様、死にかけてるのはヴィヴィアンではなくて、マルド商会の一家ですわ!」


「え、どういうこと?!」


 イルザ・サポゲニンはヴィヴィアンを抱えたまま動きを止めた。


「ハンニバル・グリッドが、またグリッド家に取り憑こうとして、ヴィヴィアンたちに仕掛けてきたんですの」


 イルザ・サポゲニンの細腕でお姫様抱っこされているヴィヴィアンも、情報を追加した。


「第二のトンチキ壺が、肉蠅(ニクバエ)付きでうちに攻め込んできたので、これから反撃の狼煙を連打するターンです」


 イルザ・サポゲニンは、スカーレットとヴィヴィアンの言葉をあっという間に咀嚼した。


「王都警察と病院の連携が必要みたいね。で、第二の薬壺は、いまどこにあるのかしら?」


 ヴィヴィアンを優しく床に立たせて顔色など確認しながら、イルザ・サポゲニンはキビキビと話を進めた。


「マルド商会長のところだそうですわ」


「マルド商会は、経営が破綻しかけてから、王都の西はずれに移転したはずだわね」


「イルザお姉様、商会のことを詳しくご存知ですの?」


「ええ。うちの病院にも食品を卸していたんだけど、タチの悪い不正をやらかしてくれたから手を切ったのよ。妙だとは思ってたけど、薬壺の呪いだというのなら納得だわ」


「イルザ様、急がないとマルド商会の息子たちが薬壺の餌食になりそうなんですの」


「グリッド一家に仕掛けるために、魔力を取り込もうっていうのね」


 イルザ・サポゲニンは、ドレスの胸の谷間から、黒薔薇の形の魔導通信機を取り出した。


「大臣、イルザ・サポゲニンよ。S級の禁呪容疑で、マルド商会長を取り押さえるけれど、情報は秘匿していただきたいの。コードネームは『ポリグリッドの薬壺』。解呪後に報告するわ」


 通信を終えると、イルザ・サポゲニンは自分の予定を伝えた。


「私は一度病院に戻って、グリッド家に事の次第を伝えて保護してから、夫と一緒にマルド商会へ向かうわ」


「私は話の分かる警察部隊に協力要請して、ヴィヴィアンの使い魔たちと一緒に向かいますわ」


「じゃ、現地で合流しましょう。ヴィヴィアンちゃん、くれぐれも気をつけるのよ」


「はい」


 ヴィヴィアンの頬をひと撫でしてから、イルザ・サポゲニンは病院へと転移した。



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