(14)救援要請
「……ビビ様、それは、本当だか?」
震える声で問い返すタバサに無言で頷いてから、ヴィヴィアンは、暗い声で話を続けた。
「最低に嫌な話だけど、そう考えると、今日起きたことの、つじつまが合う。トンチキ壷に取り込まれた魂は、時間がたつと意識が消えてしまう。グリッド家のお母さんたちも、みんな消えてしまってた。でもアーチボルド・セミグリッドは、タバサに意志を伝えることができていた。タバサと同じように、トンチキ壺の核にされていたから、意識を保てていたんだと思う」
「じゃあ、あの日アーチボルド様が行方知れずになったのは…」
「ハンニバル・グリッドに、やられたんだと思う」
「オラだけでなくアーチボルド様まで……ハンニバル・グリッド、絶対に許さねえ…」
拳を握りしめて憤るタバサの肩に、ドクムギマキが数羽とまって、頬に寄り添った。
「ああ、鳥っ子たちも、くそ壺に子を獲られてたんだな…」
「ぢゅん…」
「俺らも、母ちゃんたちを奪われて、訳もわからずに囚われてたんだ。やり返さねえままだなんて、我慢ならねえ」
怒りの滲むノラゴの言葉に、卵になった番たち──ノラゴの母や祖母たちが、大テーブルの上で飛び跳ねた。
「ノラゴよ、わしらみんな、同じ気持ちじゃよ。それに、わしらの恩人の姫様を性懲りもなく狙うなどと、許せるはずもないわい」
ノラオに頭を撫でられながら、ノラゴは決意を新たにした。
「うん。あるじに手なんか出させるもんか。壺の野郎、ぜってーやっつけてやる」
ヴィヴィアンも拳を握りしめた。
「私もみんなを守る。安心して、おいしいご飯を食べて、楽しく働いて暮らすために、拳骨で戦う」
みんなの意志が一つになった。
「話を続けるね。二個目のトンチキ壷は、アーチボルド・セミグリッドの幻影でタバサを騙すために、『マルド商会』の父親を操って、ここに来させてた。それが失敗したと分かれば、また何かしてくると思うけど、それには魔力がたくさん必要になるから、きっと次の犠牲者が出る」
ノラヨが話を継いだ。
「マルド商会の息子たちが、犠牲にされそうですな」
「うん、一番危ないと思う」
「姫様、赤い姐御様に至急連絡すべきだと思いますぞ」
ヴィヴィアンは、通信用の小型魔具を帆布カバンから取り出して、スカーレットへのメッセージを入力した。
「命が危険、食堂にて待つ……送信」
「あるじ、それ、ものすごい誤解を生むんじゃ…」
ノラゴが言い終わる前に、真っ赤な髪の毛がヴィヴィアンの顔面を直撃した。
「ヴィヴィアン無事!? 敵はどこよ!」
「ぷはっ、スカーレット、私は無事で、敵は『マルド商会』にいる」




