表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
災禍の令嬢ヴィヴィアンは、普通に無難に暮らしたい  作者: ねこたまりん
ヴィヴィアンの婚約
60/89

ヴィヴィアンは長い一日を終えた

「おやすみなさいまし、雇い主様」


「おやすみ。またあした」


 タバサは出来たてのピンク壺と夜食を持って、屋敷模型の自室に触れ、転移した。


「あら便利ね、これ」


「家族と部屋が増えたから、作ってみた」


「食堂やエントランスは、部屋と双方向で行き来できると良いかもね」


「だね。明日みんなが起きたら、やってみる」


「それにしても、あんたの婚約詐欺騒ぎが、こんなことになるとはね…」


 スカーレットは、昨日からの怒涛の出来事を振り返って、深々とため息をついた。


「たった一日で、家族が十人増えるとは、私も予想だにしなかった」


「十人…ああ、埋葬虫の番ちゃんたちも、いたわね」


「うん。元気に育ってくれると嬉しい」


「大丈夫よ、きっと……ハンニバル・グリッドについては、早めにイルザお姉様たちにも相談しないとね」


「あれは、あちこちで悪い病気の元になってるかもしれないから、なんとかしてぶっ飛ばそう」


「そうね。明日も忙しくなりそうだわね…」


「私は、家でピンク壺を作ってるから、何かあれば呼んでほしい」


「分かったわ。無理せずにね。外出するときは、必ず連絡して……あと、しばらくは家の中でも、できるだけ一人にならないで」


 スカーレットは、ヴィヴィアンの周囲に気遣わしげな目を向けながら、注意事項を付け加えた。


「明日も、何かありそう?」


「たぶん。私の先読みは、直前にならないと、はっきりしないから、なんとも言えないんだけど」


「でも、スカーレットが何かあるっていう時は、必ず何かある。いい事かもしれないし、悪い事かもしれないけど、きちんと気をつける」


「お願いね」


「あ、そうだ。イルザ様にあったら、古代ポリグリッド公国がどこにあったのか、聞いてほしい」


「タバサのいた国のこと?」


「うん。もしかしたら、そこに行かなくちゃいけなくなるかもしれないから」


「おおごとになりそうね……分かったわ。じゃ、帰るわね」


「おやすみ、スカーレット。今日もありがとう」


「おやすみ、ヴィヴィアン」



 スカーレットの転移を見送ってから、ヴィヴィアンは食堂の片付けを済ませて、居間に移動した。


 居間の壁に貼り付けられた、特大カレンダーには、一日ごとに、四種類の丸いしるしがついている。


 虹色の丸は、仕事を頑張った日。


 黄色い丸は、とても楽しいことのあった日。


 赤い丸は、何らかの事件に遭遇した日。


 黒い丸は……覚えていられないほど酷い何かが起きた日。


「昨日のしるしをつけ忘れてた。一月二十日、闇の日……婚約詐欺事件…赤丸」


 スカーレットへの相談が遅れて、こっぴどく叱られたことは、記憶に新しい。


「警察部隊の人に『普通の人』って言ってもらった…黄色」


 災禍だの惑乱だのと言われないことは、ヴィヴィアンにとっては、とても嬉しいことだった。


「病院で蛇鞭を作った…虹色」


 しゃべる鞭を創生できたことは、ヴィヴィアンの固有魔法が成長した証でもあった。


「ユアン・グリッドをぶっ飛ばした…黒丸」


 ぶっ飛ばした記憶が飛んでいることに、ヴィヴィアンは気づいていたけれども、思い出すつもりはなかった。


 その記憶がいつか必要になったら、スカーレットか、ユアン・グリッド本人に聞いてみようと、ヴィヴィアンは思った。




「そして今日は、一月二十一日、光の日……」


 ヴィヴィアンは、まず虹色の丸を四枚貼り付けた。


「ギル・グリッドとタバサを壺から呼び戻して、布団叩きとピンク壺を作った。お仕事、頑張った」


 それから、黄色い丸を十枚、花のような形に貼り付けた。


「一緒に暮らす家族がいっぱいできた…あと、何かあったかな」


 セイモア・グリッドとの「対話」のことを思い出したけれど、ヴィヴィアンとしてはほとんど働きを見せられなかったので、しるしに相当しないと判断した。


「これでおしまいかな。やった、今日は赤丸と黒丸がなかった!」


 ヴィヴィアンは居間の明かりを消して、寝室に飛んだ。



「おやすみなさい」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ