ヴィヴィアンは今後の話をした
ヴィヴィアンは、みんなに食後の謎茶を出した。
「これからのことについて、少し話すね。埋葬虫のみんなは使い魔っていうことにするけど、番さんたちと一緒に養生しながら、ここでのんびり暮らしてくれればいいと思ってる」
親父虫たちは、それぞれの番の卵を大切そうに手のひらのくぼみに乗せて、ヴィヴィアンの話を聞いていた。
「感謝ですじゃ。我らクロシデムシ族一同、すぐにも本調子を取り戻して、姫様の僕として働きますぞ」
「ありがとう。安全第一でお願いする。そういえば、昔のこととかは思い出せた?」
「はいですじゃ。自分のことも、番のことも、可愛い子らのことも」
皆を代表して答えるノラオは、ヒトガタに変わったオヤジ虫の中では一番背が高く、青鈍色の髪の毛が色白の額にふわりとかかり、整った顔立ちを引き立てている。
その息子のノラジ、息子の息子のノラサブ、さらにその息子のノラヨも、同じ青鈍色の髪だけれども、面立ちは違っていて、背も順に低くなっていた。
「それからタバサは、うちの戦闘系侍女として、積極防衛の立場で任にあたってほしい。疑わしきはぶっ飛ばす。やられる前にかっ飛ばす」
「んお? なんでもぶっ飛ばすけども、何が襲って来るんだ、雇い主様」
「主に空き巣と産業スパイと誘拐魔。その他諸々」
「いろいろ来るだな。諸々は、どんな奴だべか」
「覗き魔とか、最近だと婚約詐欺とか」
タバサは、腰に差していた鋼鉄の布団叩きを抜き取り、ぐっと握りしめた。
「女の敵だな。心置きなく、これでぶっ飛ばす」
「うん。魔術の鍵で、悪い奴はうちの中に入れないようにしてあるんだけど、それでもいろいろあるから。あと、外出するとき、一緒に来てくれるとうれしい」
「分かっただ。あとの仕事は家事だべか?」
「うん。あ、でも週に二日は必ず休んで。基本、夜勤はなし。ざっとこんな感じでよろしく」
タバサは力強く頷いた。
「あるじ、いろいろ狙われてるんだな。外に行くときは、俺もついていくぞ」
タバサとの話を聞いて心配になったらしいノラゴが、護衛を申し出た。
「ありがとう。無理のない範囲でお願いするね」
「まかしとけ」
「わしらもやりますぞ。姫様に悪いムシなど決して寄せ付けませぬ」
「シフトを組んで、抜かりなくお護りしようぞ」
「パトロール係と、特殊掃除係、番のお世話係で、手分けじゃな」
親父虫…というには若返ってしまったクロシデムシ一門も、やる気のようだ。番の卵たちも意気軒昂なようで、手のひらの上でぴょんぴょん跳ねている。
「ありがとう。だけどみんな、ちゃんと体力が戻るまでは、絶対無理しちゃダメだよ。いっぱい食べて、しっかり休んで。タバサもね」
ヴィヴィアンは、謎茶のおかわりをみんなの器に注いでから、鍋にオヤツを注文した。
「謎肉ジャーキー」
新たなメニューに、肉好きの面々が沸き立った。
「あるじ、これ美味え!」
ヴィヴィアンは、魚が好きらしいタバサのために、もう一品追加した。
「天然魔鮭の燻製」
「ふおおおおお、魔境の珍味!」
「夜のオヤツができたところで、今夜から住む部屋を決めようか」




