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第9話 エルフの王国と白い天使

エルフも工房で武器や防具を作るけれども、ドワーフの方が武器や防具を造らせたら優秀であると答える人は多いと思う。

エルフの国にもドワーフの工房が在ってアリアーナも好んで通っている記憶がある。

実際にドワーフと会って話をしたら異世界ファンタジーを更に感じられそうでドキドキする。

ドワーフ職人のラガリアの工房に向かった。

工房は煉瓦造りで外観はふるめかしいが店内は綺麗で彼の自慢の作品が並ぶ。

「久しぶりね。ラガリア。」


工房のカウンターに座るドワーフに声を掛けた。

ラガリアはカウンターで座って手元で作業をしている。


「おお!アリアーナか。

久しぶりだな。」


「ええ、ちょっと里帰りして来たのよ。」

これがドワーフなのだと少し見入ってしまっている。

身長は低めだが、ガッチリとした体格で力も強そうだ。


「そうだったのか。

ゆっくり出来るのか?」


「ええ、それでお願いがあって来たのよ。」


「そうなのか。武器や防具でも造るのか?」


「ええ、そうよ。」

お金の心配は無い。

回収したドロップアイテムで防具や武器の素材にはならない物をギルドに買い取って貰ったら、良い感じのお金持ちになっている。

防具や武器の素材になりそうなアイテムを収納バッグから取り出すとカウンターの上に乗せた。

「これで今の武器のグレードアップと新しい防具を造って欲しいの。」


「おお!良い素材が満載だな。任せとけ!

期待して良いぞ!」

武器を預けて店を出た。

完成までには数日かかるそうなので、それまでこの街のいろいろな所を散策して楽しもう。

商店に並んでいる果物は森が多いお陰で多種多様な物が並んでいる。

道具屋にも寄ってみた、エルフは薬の知識も高い種族で、これも自然に囲まれている恩恵と言えそうだ。

いろいろ見終わって、一旦屋敷に戻る事にした。

屋敷にはまだ父親と兄達は戻っていなかったので、自分の部屋でゆっくりする事にした。

アリアーナの部屋に入ると彼女が出ていく前の状態が綺麗に保たれているのがわかる。

ベッドも机も床も綺麗にされている。

机に付属されている椅子に座って彼女が所有している机に並べられた本を一冊手に取った。

その本はこの世界の小説で恋愛物語である。

私はその本を読み耽ってしまった。

とてもピュアな女の子の恋心を描いた作品で世界が変わっても恋する女の子の想いは変わらないのだと心が熱くなるのを感じている。

その他の本も読んでいると外はすっかり暗くなり部屋の魔力灯が部屋を明るく照らし始める。


「アリアーナ。お父様が帰ってくる時間よ。

リビングに来なさい。」

ドアの向こうで母親が伝えに来てくれた。


「はい。行くね。」

部屋を出てリビングに降りると母親が夕食の準備を始めていた。

私も食事の準備を手伝っていると父親が帰って来た。

マクベリアス・カルディアン。

年齢は202歳、魔法が得意で若い頃は冒険者をしていた事もあるそうだ。

150歳を迎えた時、母と出会って結婚。

エルフの王国に戻って官僚に就いたらしい。

「アリアーナ。戻っていたのか。」


「はい。お父様もお元気そうで何よりです。」

その日は今までのアリアーナと家族との蟠りを解消しようと私は本人に代わって奮闘した。

父親と兄達とも食事が終わっても語り明かした。


夜も更けて真夜中に私は自分の部屋の窓から外に飛び出した。

最近取得したスキルの分体分離を使って部屋にはアリアーナの身体を置いていく。

分離分体は自分の魔力を使って分身体を作ることが出来る。

これによってアリアーナは私のイメージした通りに行動してくれる。

そして、ステルスインビジブルスキルが優れもので姿を消せる上に魔力探知にも引っかからない。

この二つのスキルをうまく活用して夜はその地方の様子を上空から見て回る時間を確保した。

上空から見るとエルフの国は大半を森林に囲まれている。

森の守り人とも言われているエルフらしい国と言える。

暫く飛んでいると森の外れに小さな町の灯りが見えると思ったら何軒かの家から火の手が上がっている。

魔力探知すると大きめの魔物らしき魔力を感じ取れる。

どうやら夜襲をかけられたようだ。

エルフ達は応戦しているようだが、魔物は大きくてよく見るとドラゴンに見える。

急いで近づくと、やはりドラゴンだ。


「エルフ達の矢が弾かれてるし、この村の戦士では倒せそうも無いわね。

ここはカッコよく登場して倒しちゃいますか?」

白い天使と言う認識を人々に植え付けたいと言う作戦にする予定。

ドラゴンに効果があるか分からないが、『ライトニングボルト』を放った。

ドラゴンに雷撃が命中したが、効果は今ひとつのようで動きは止まったが、倒れることはない。


そして、インビジブルを解除して白い翼を大きく広げて上空からカッコよく舞い降りる。

決まったぁ〜!

エルフ達は私の姿を見て唖然としている。


「エルフの民よ。下がりなさい。」

悠長な声で周りのエルフに聞こえるように叫んだ。


それを聞いてエルフ達は下がり始めた。

よし!これでドラゴンを倒せば白い天使として崇めてもらえるかも。

さあ、ドラゴンよ、私の活躍の糧になりなさい。


だが、腐食魔法は使えない。

あれは緊急事態の時以外は使わないようにしている。

腐食魔法は魔石も破壊してしまうからだ。


白い翼の羽を私の周りに展開するとドラゴンに向けて風魔法を付与して攻撃。

ドラゴンも応戦して火球を口から私に向けて放出して飛ばして来た。

だが、私には炎系の攻撃は無効化されてしまう。

全く無傷である。

羽は風魔法の切り裂く効果でドラゴンの厚い鱗を切り裂いていく。


そして、最後はこれでしょ『デスサイズポイズン』手に大きな死神の鎌を出現させて一刀両断ドラゴンを切り裂いて翼を羽ばたかせて切り抜ける。

ドラゴンは鮮血を吹き出してと言うより猛毒の効果で絶命した。

そして、光の粒となり消滅した。

魔石とドロップアイテムを素早く拾うと収納魔法で確保した。


「エルフの民よ。

もう安心です。

神への信仰を忘れる事なき様に。」

とカッコよく台詞を言うと翼を羽ばたきながら上空へ。

そして、インビジブルを発動して一瞬で視界から消えた。


よし!決まったはず。

カッコよくやれたよね。

明日からは白い魔物から白い天使と崇められるに違いない。

楽しみだ。

暫く、エルフ達の様子を見ていたが、私に不信感を抱いている様子はなく、混乱も見られない。


夜の間中、空を飛んでエルフの国を見て回った。

あちこちに小さな町が点在していて、広大な森林が広がっているだけだった。

ダンジョンでも発見出来れば良かったのだが、また今度捜索してみる事にして屋敷のアリアーナの部屋に戻って来た。

分体のアリアーナはよく寝ている。

私は分体と再び融合すると朝日の光が窓から見えた。

太陽は眩しく昨夜のドラゴンの騒動がどんな風にエルフ達に捉えられるのかドキドキしている。


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