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第8話 エルフの国に遊びに行きます。

とても気になっているアリアーナの故郷であるエルフの王国シャーデリネ王国に向かう為、準備をしている。

国境は存在するが、エルフであれば検問もすんなりと通っていく事は可能で特にパスポート的なものは存在しない。

サマラン王国の街道をひたすら東に進んで行くとエルフの王国シャーデリネ王国の入り口にあたるシャウットの森がある。

その森を抜けると王都フレデリアに到着する。

この世界での移動は基本的に馬車を使う。

今回の旅も5日も馬車に揺られてやって来た。

転生前に車や飛行機や電車を使っていたので、のんびりとゆっくり移動するこの世界での時間の過ごし方をある意味楽しんでいると言って良い。

長旅の場合は冒険者として護衛も兼ねて馬車に乗せてもらう事が多い。

街道などには盗賊も出没する。

今回は遭遇しなくて良かった。


王都フレデリアにはアリアーナの実家がある。

アリアーナはエルフの旧家の生まれで兄が2人いる。

一番末の娘なのだ。

エルフは元々長寿で250歳くらいは生きる。

両親は200歳を超えていて、アリアーナは53歳だ。

人間ならおばさんくらいの年代だが、エルフではまだ若者の部類になる。


私は初めて王都フレデリアに来たが、アリアーナの記憶から懐かしさを感じている。

実家は街の中で大きな屋敷を構えている。

使用人を何人も抱えてエルフの中でも裕福な家系だ。


「これはお嬢様お久しゅうございます。」

門を開けて敷地に入ると玄関で掃除をしている使用人のステファンがいた。

「ステファンさん。ご苦労様です。」

年齢は200歳くらいだと言う話で詳しくは皆知らない。

私達の家族の面倒をアリアーナが産まれる以前から献身的にやってくれている。

「旦那様はお出かけですが、奥様はいらっしゃいますよ。」

丁度良かった。

アリアーナは父親にいろいろ言われるのが苦痛だと感じている。

玄関に入るとリビングに向かった。

「あら、アリアーナ。お帰り。」

母親は読書をしていた。


「お母様。ただいま。」

こうしてアリアーナの実家に来て母親と対面すると自分が魔物である事を忘れてしまいそうだ。

「知らせてくれれば、お父様にお知らせしたのに。」


「ちょっと近くまで来たから寄っただけだから。」


「お父様は心配してたのよ。」

アリアーナの父親と冒険者になる事で喧嘩をして家を飛び出した。

その解決を目指す意味でもアリアーナの実家に戻って来た。

親子の蟠りは解消した方がいい。

アリアーナの未来を背負った私に出来るせめてもの恩返しと言えよう。

「夜に話をするわ。

エサート兄様とクレベート兄様は元気?」

2人の兄はエルフの高官をしている。

父も王宮で司政官をしている。

娘には身分の高い男性との結婚を望んでいて、アリアーナはそれが嫌で仕方がなかった。

「お父様もエサートもクレベートも夜には帰ってくるわよ。」


「良かった。

それまでちょっと出かけてくるね。」


私は町にあるエルフの戦士養成施設に顔を出してみる事にした。

アリアーナの記憶の中でもこの戦士養成施設での思い出が強烈に強く残っている。

王宮の側に隣接しているのが、エルフの戦士を育成するための施設で将来は冒険者や王宮騎士を目指す者が通う。

施設の入り口から入ると、武道場の扉を開ける。

中では沢山の戦士の卵達が稽古に励んでいた。

「おお!アリアーナじゃないか。」


「先生。お久しぶりです。」

アリアーナはこの施設の卒業生で成績も優秀、王国騎士になるものだと誰もが思っていたようだ。

しかし、アリアーナは広い世界が見たくて冒険者になった。

結果的に死んでしまったが、今私の擬態で訪問している。


「どうしたんだ?」


「はい。ちょっと近くまで来たから寄ってみました。」


「そうか、ちょっと生徒達に先輩の話を聞かせてやってくれないか?」


「え?私なんて話すような事無いですよ。」

思わぬ展開に発展しそうになっている。

私は断っているが、先生は目を輝かせてやらせる気満々になっている。


そして、私の意図とに反して生徒達が集められた。

私は苦笑いと愛想笑いをするしか無い。


「皆んな聞け!お前達の先輩が訪問してくれた。」

生徒の皆さん達は誰だ?と言う興味津々な顔で私を見ている。

「ハハハ…、私はアリアーナ・カルディアンと言います。

今は冒険者で世界中を巡ってます。」


「よし!訓練再開だ!」

生徒達は弓の訓練に入った。

アリアーナは弓を得意としている。

教えられることもあるだろう。


種族 エルフ

名持ち アリアーナ・カルディアン

性別 女

年齢 53歳

レベル61

体力 871 魔力 1271 物理攻撃 265 魔法攻撃力 432 物理防御 389 魔法防御 423 速度 332 運 80

スキル

瞬足 弓の達人 補助魔法強化

風魔法レベル5

ウインドカッター ウインドトルネード

自然再生 魔法耐性レベル4 毒耐性 連射 剣技レベル4

鑑定レベル3 周辺探知レベル5

称号

森の狩人 エルフの美声


以前よりアリアーナのレベルはかなり高くなっている。

弓の先生としては申し分ないステータスだろう。


「アリアーナ先輩。

先輩は弓が得意ですか?」

1人の女の子が私に駆け寄って来た。


「そうね。

貸してみて。」

彼女が使っている弓と矢を借りた。

訓練の的に当てるための立ち位置に立つと弓に矢をセットして構える。

的までは50メートルとそんなに遠くはない。

グッと弓を絞って矢を放つと的のど真ん中に命中した。


「わぁ!」

沢山の生徒達が私の弓を射るのを固唾を飲んで見ていたようだ。

歓声が上がる。


「流石だな!腕を上げたんじゃないか?」

先生も驚いている。


「先生。

ここからですよ。」

私は生徒に何本か弓を借りると、今先程射抜いた的に再び弓を構えて弓を連射した。

矢はど真ん中に刺さっている矢を射抜いて真ん中から裂け、更に次の矢が矢の真ん中を裂き、更に次の矢が矢を射抜いて真ん中を裂いて射抜いた。

その様子に誰も声を出せなくなっている。

先生も唖然として立っていた。


「す、凄過ぎる!」

矢を貸してくれた女の子は飛び上がってビックリしている。

先生も驚いて苦笑いだ。

その後も生徒達に弓をレクチャーして楽しい時間を過ごした。


訓練所を後にした私は街の中を見て回った。

アリアーナにとって久しぶりの里帰りで彼女の記憶を辿る散策となった。

そして、このままエルフのアリアーナとして生きていけるのであれば、それも悪く無いとも思い始めている。

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