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第40話 闇の組織の最期

リリとミカルドスはある程度の間合いを取って睨み合っている。

ミカルドスは魔王の剣によって精神も支配されてしまっていた。

彼の意思というよりは世界の破壊を望んでいた魔王の意思が剣から伝わり、その思念が今回の闇の組織を生み出していたと言っていいだろう。

最初に仕掛けたのはリリの氷魔法『アイススピア』がミカルドスを狙い撃つ。

無数の氷の槍を剣で粉砕していく。

「アマリリスよ。私は悲しいぞ。

お前が主人と慕う者がお前に与えた力はこの程度のものなのか?」

確かに攻撃自体は全て剣で粉砕されている。

しかし、ミカルドスは気が付いていない。

魔王の剣はダメージを受けている。

リリは咄嗟にミカルドスが持っている剣が全ての元凶であり、倒すべき相手である事を。


そして、剣はいつの間にか氷で覆われている。

「こんな氷では私の剣は砕けぬ。」

剣を覆っていた氷は一瞬で粉砕された。


それにしても魔王の剣は強大な魔力を発している。

あの剣が欲しいと私の心に中で願望が渦巻き始めた。


リリは攻撃パターンを変更し始めた。

アイススピアを放つのをやめると周りの空気を凍てつかせる。

『絶滅の零度』

空気が凍てつきダイヤモンドダストのように水分が結晶化していく。

アイススピアの攻撃で部屋の気温は下がり氷魔法の効果も上がり始めている。


魔王の剣は炎をあげて周囲の凍てついた空気を払拭しようと燃えたぎる。


2人の近接戦闘が開始された。

ミカルドスは神速で移動するとリリに向かって燃えたぎる剣を振り下ろす。

リリも攻撃を交わしつつ氷魔法で冷気を飛ばして応戦。

客観的に見るとリリは防戦一方で受け身になっている。

炎を纏った剣の熱量が高く、氷の効果が弱体化しているように見える。

そして、炎の剣がリリを捉えて胸を切り裂いた。

リリは鮮血を吹き出して倒れ込む。


「うわぁ!!!、切られた〜ぁぁぁ!うわぁぁぁぁぁ!」

リリは旧に泣き始めた。

それもかなり豪快に子供のような声をあげている。

その様子に少しミカルドスも驚いたようで動きが一瞬止まったが、体制を整えると剣をリリに向けて振り下らそうとした、その時、リリの側で爆発的な魔力が発生すると。

「あらあら、ご主人を虐めるなんていけない大人ね。」

現れたのは全身蒼白の身体を持つ上級聖獣シヴァリアで妖艶な女性の姿をしている。


「ん?何だ?」

突然現れた蒼白のシヴァリアに驚いてミカルドスは後ろに下がって間合いをとった。

召喚とは違う感覚を感じる。

シヴァリアはリリの心の冷淡な感情が具現化された魔力の結晶のようなものだ。


現れたシヴァリアは間髪入れる事なくミカルドスに氷結魔法を繰り出す。

氷の刃や絶対零度の氷霧など多彩な氷魔法を放つがミカルドスの右手にある魔王の剣はそれを上回る炎で対抗してくる。


リリはまだ悪魔族として再生されて間も無いために魔力が安定していない。

シヴァリアの召喚で大量の魔力を使い果たしてしまった。

程なくリリは意識を失って倒れ込むとシヴァリアも消えてなくなった。

その隙を見逃す事なくミカルドスは神速で移動すると倒れているリリに剣を振り翳して切り付けた。

「あらあら、リリには少し早過ぎたかしら。」

私は切られる前に倒れているリリを瞬間移動で部屋の隅に移動させた。


「お前がアマリリスの言うご主人様か?」


「そうよ。リリは私の大事な子供なの。

それはそうと魔王の剣とは驚いたわ。

そして、魔王の正体は剣だったとはね。」

私にははっきりと見えている。

剣がミカルドスの身体に魔力を流している。

恐らく剣が本体で人間や魔族と呼ばれる者を支配して魔王となって居たのだろう。


「その通りだ。この男は私の魔力に惹かれてここに辿り着いただけの傀儡だ。

以前の肉体は大きな魔力を扱える身体だったが、この男は器が小さい。

故に私の魔力を扱えるだけの者を待っていたのだ。」

なるほど、剣から意識を送ってミカルドスをコントロールしているのだ。

魔王の剣が言うようにミカルドスでは大き過ぎる魔力を扱える身体では無いのが感じ取れる。

あまり負荷をかけ過ぎると魔力暴走を起こしてしまいかねない。


「残念だわ。魔王の剣と知って興味があったけど。

剣自身が魔王だとすると、ちょっと事情が変わってくるわね。」

リリを床に寝かせて私とミカルドスは向かい合うように立っている。


「元から剣に魂があったわけでは無い。

人間によって殺される瞬間に剣に魂を移したのだ。

もう千年以上も前の話だがな。

途方もない程の時間をかけて魔力を高めて傀儡となる存在を待ち続け、やっと永年の恨みを晴らせる魔王となったが勇者ロディアスによって倒された。

この傀儡ではお前には勝てそうもない。

消滅させるなり、好きにするが良い。」

私の強さが判るとは魔王を名乗るだけの事はある。


「人間に殺されたと言ってたけど、元々は魔物だったのかしら?」


「魔物では無い。

歴とした人間だ。

そもそも人間は我らの事を魔族と呼ぶが、セブール族と言う呼び名がある。

人間から魔力を生まれながら強く持つ種族が誕生したのが私達だ。

魔力が強過ぎるが故に身体の中で結晶化して核を持つようになった。

そもそもは魔力を制御するための自然の摂理なのだ。

人間とは少し違った容姿になり自分とは違う者を疎む人間達によって迫害を受けてこの地に逃れて来たのが数千年前。

密かに細々と暮らしていたのだ。

だが、人間達は我らの平穏な暮らしを許さなかった。

家族も仲間も多く殺された。

そして、私自身も。」

語る話が本当の事であるのか否かは分からない。

もし本当の話だとすると同情の余地はあると感じた。


「私にはよく分からない話ね。

話が本当だとしても、あなたの行動は許される事では無いわよ。」


数日後、私は竜人族の国に戻って英雄学園の教壇に立っている。

今回の事件を機に各国は闇の組織の施設や活動に対して一斉摘発を開始した。

それにより各国で活動していた闇の組織に関わる者達が囚われて罰せられる事となった。

この世界から完全に闇の組織であるガラリアント・ピトスはミカルドスの影響力を失って完全に壊滅した。

そして、人道的な観点からも世界中で奴隷制度を廃止動きが早まり、人身売買を禁止する条例に各国ともに署名して世界規模での監視体制が確立された。

これ程、迅速に世界規模で意見が纏まった裏には白い天使の助言があったとも噂された。

是非全話読んでみてください。

感想やいいねなど頂けると書く励みになりますので、よろしくお願いします。

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