第23話 勇者ロディアスは美少女を助ける
ドアが開くと1人の男性とその後ろに数人人がいる気配がする。
「もう、ロディアスったら1人で倒しちゃうんだもん。
私達にも見せ場残してよね。」
「おう!すまない。
つい夢中で倒してしまった。」
「おいおい!夢中であのレベルの魔物倒せるかよ。
お前がバケモンだって言うの!」
「ほうほほほ、アリスもマイクもそう言うでない。
結果オーライじゃ。」
「バレスティー爺さんの魔法もロディアスが一緒だと使う時が無いな!」
4人のパーティが楽しく会話しながら出て来た。
そして、私達と対面する。
「何だお前達は!」
まあ、そう言う言い方になるわよね。
ダビドとその仲間達数十人と縛られた可愛い美少女一人ととてもイケメンで若い男が2人に魔法使いらしい女性が1人に初老の魔導士が一人。
お互い見合う形になった。
「ん?美少女を縛って連れ歩くとは、お前達は悪者だな!」
あ〜直接的に何でも口に出してしまうかっこいい人だ。
「うるさい!見られたからにはお前達には死んでもらう。」
こんな所で出会すなんてこの4人も気の毒に。
「ねぇ?ロディアス。
どうする?」
女性の魔法使いは至って落ち着いている。
「うん。囚われている女性を見捨てる事は出来ない。
勇者の名においてな!」
「!!」
こちら側の男達の空気感が変わった。
私には勇者と彼が発言したように聞こえたが。
「ま、まさか!勇者ロディアスか?」
ダビド以外の男達は一斉に逃げ出し始めた。
「おい!お前達!何処へ行く!」
慌てているのはダビドだ。
顔中汗だくになっている。
「そこの男!彼女を離せ!そうすれば命は取らん!」
私にもあの勇者と名乗ったロディアスの強さは伝わってくる。
勇者の持つ覇気とでも言おうか、ひしひしと身体が感じ取っている。
流石にダビドも少し後退りしている。
勇者とはどれ程の存在なのだろうか?
「離せと言った!」
ロディアスは一瞬でダビドの目の前に現れた。
私の神魔眼を持っても見えなかった。
「ひい!」
ダビドはその場に腰を抜かして倒れ込んだ。
そして、慌てて走り逃げていった。
驚いたあれ程の手練れが何もせず走って逃げるとは、勇者とは凄く強いのだろう。
「お嬢さん。大丈夫か?」
勇者ロディアスが私に近づいた。
「もう、ロディアス!早くロープを解いてあげなさいよ。」
確か、アリスと呼ばれていた女の子が私のロープを解いてくれた。
「皆さん。ありがとうございます。」
4人のパーティは勇者パーティと言うやつなんだろう。
それぞれ皆んな強そうだ。
「どうして縛られてたの?」
「酒場でガラリアント・ピトス世界の闇を支配する者の話をしたら捕まりました。」
この名前を聞いても勇者パーティの皆さんは顔色ひとつ変えません。
「バレスティー爺さん知ってるか?」
ロディアスとは違う若くてかっこいいお兄さんは槍の使い手で大きな槍を背中に背負っている。
「そうさな、聞いた事無いぞ。」
「わかった。そのガラ何とかと言うやつは心底の悪人なのだな!
俺たちでも調べておく。
とりあえずダンジョンを出よう。」
何の問題もなくダンジョンの外までやって来た。
ロディアスの覇気で魔物も姿を見せない。
「そう言えば、君の名前を聞いていなかったな。
俺は勇者ロディアス。」
とにかく真っ直ぐで元気がいい。
人を疑う事もしないような感じがする。
「あ、私はルーナ・アフロディーテです。」
私は勇者パーティに街まで送って貰うと宿屋の部屋に戻った。
勇者パーティも同じ宿屋に宿泊する事になった。
「ルーナ!ちょっと良いかしら?」
部屋のドアの向こうでアリスが大きな声で私を呼んでいる。
「はい。どうしたの?」
ドアを開けると満面の笑みのアリスが立っていた。
「皆んなでご飯食べるんだけど、ルーナも一緒に食べようよ!」
誘われたので喜んで食事をご一緒させて貰う事にした。
勇者とはどんな存在なのか、興味津々でいろいろ知りたい。
食事は宿屋の近くのレトラの飯屋と言う店に行く事になった。
店内はレトロな木造建築の建物でテーブル席に座った。
「ねえねえ!ルーナって何歳?」
私の席の隣にアリスは陣取って身を乗り出して私に興味津々で話しかけてくる。
「私は20歳よ。アリスは何歳なの?」
私も同世代の女の子と話せるのは嬉しい。
「20歳なんだ!若いね。
私は23歳だよ。
そして、勇者ロディアスは25歳、マイクは30歳、パレスティーは72歳だよ。」
全員の自己紹介までして貰った。
余程楽しいのだろう、アリスは注文したお酒を一気に飲み干して常に笑顔のままだ。
「アリスは飲み過ぎじゃ無い?」
「大丈夫よ。同世代の女の子と食事だから楽しいの!」
確かにパーティは男ばかりだから同世代の女の子と話せるのは嬉しいのだろう。
「ルーナは冒険者なのか?」
静かに食事をしていたロディアスが突然声をかけて来た。
「ええ、冒険者って言ってもまだ成り立てだけど。」
「そう言えば、ルーナの言っていた世界の闇を支配する者が気になるぞ!」
「それね。ガラリアント・ピトスって言うんだけど。
人の名前なのか、組織の名前なのか。
何もわからないのよ。」
その名を聞いても皆知らない様子だ。
勇者ロディアスにこの件で首を突っ込まれるのは少し面倒なことになりそうで回避したい気持ちもある。
「グリッドに聞いてみるか?」
マイクと言う槍使いの男性がロディアスに何かの提案をしている。
勇者達は世界でも顔は広いだろうから、調べる術は沢山持っている可能性はある。
「おお!グリッドか!明日にでも聞いてみるぞ。」
そのグリッドと言うのは、恐らく情報屋か何かだろう。
私も世界中に分体を飛ばしている。
調べさせる事は可能だ。
レレとルルが街中で話しを聞いている効果が出ると良いのだが。
その後も久々に女の子とも仲良く話せたし、人間だった頃を思い出す良い時間が過ごせた。
勇者達はとても人柄もよく楽しい人達だった。
部屋に戻ってゼロとレレとルルには暫くこの宿屋には接近しないように念話で伝えた。
勇者ロディアスは恐ろしいほどの直感力と気配察知、魔物などの気配も敏感に察知しそうだ。
悪魔族の3人が近づけば、必ず気が付いて騒ぎになる。
私の事ももしかすると何となく察知している可能性を否定できない。
コンコン!
ドアがノックされた。
ドアを開けると、ロディアス一人が立っている。
「ルーナ。ちょっと話できるか?」
「ええ、どうぞ。」
神妙な面持ちでロディアスは私の部屋に入ってきた。
「ルーナ。君は人間では無いな。何者なんだ?」
やはり察知していたか。
勇者はやはり侮れない。
「まあ、気が付いている事も予想していたから驚かないわ。
私は人間では無いわ。」
と言う事で、白い天使様の姿をロディアスに見せた。
「それで、君は人間の害をなす存在なのか?」
勇者としては捨て置かないわよね。
私と勇者ロディアスの間に険悪な空気が流れている。




