第22話 捕えられた美少女ルーナ
男達に連れて行かれたのは何処かの建物の地下と言っても私に目隠しなど意味がない。
真理眼でしっかり何処なのか全て見ていた。
それはそうと部屋の中にある椅子に座らされて後ろ手に縛られたまま、椅子にも身体と足を縛られて固定されて。
まるで誘拐されたヒロインのようだ。
アニメやドラマならヒロインの危機にヒーロー的な男子が助けに来るのだが、この場合それは無いだろう。
目隠しが取られると10人以上は男達が私の前に立っている。
「お前は何者だ?」
確かにこんな可愛らしい女の子が闇の世界を牛耳る大ボスの名前を知っている事自体不自然だ。
「それはこっちのセリフよ。こんな善良で可愛らしい女の子を縛るなんてどうかしてるわ。」
ちゃんと悲壮感を出した顔を出してみた。
危機迫る美少女の運命は。
「普通の女が彼の方の名前を知ってる訳ないだろう。」
「そうかしら、街で聞かれたらからちょっと興味があって私も聞いてみただけなんだけど。」
レレとルルが街中で目立つように聞きまくっているはず。
「確かに女2人が彼の方の事を調べてるみたいだな。」
この部屋にいるリーダーらしき男が私の目の前までやって来るとしゃがみ込んで私の顔を覗き込んでニヤニヤしている。
「私は何も知らないわよ。
もう良いかしら?」
「ひひひ、そうは行かないな。
良い女だからな。
ちょっと楽しませてくれよ。」
確かに良い女である所は否定しない。
むしろ良い女とは控えめな表現だ。
凄く良い女に訂正していただく必要すら感じる。
そして、素晴らしいスタイルでミニスカートを履いて素足、そして理想的なバストが男性達を更に誘っているかのように興奮させるのだろう。
なんて事でしょう。
か弱いルーナは男達の餌食になろうとしている。
「そう言えば、私思い出したことがあるわ。」
「ん?何だ?」
リーダーらしい男は私の身体を触り始めたので話題を振ってみる事にした。
「白い天使様が今噂になってるけど。
私見たの。
白い天使様が鉱石の採掘をしているダンジョンに入って行くのを。」
「白い天使だと。」
「ええ、とても綺麗な翼を見たわ。」
私の話にこの部屋の人間達が慌て始めた。
白い天使様に拠点を壊滅された事は知れ渡っている事実だろうから、白い天使様に関する情報は喉から手が出るほど欲しいはず。
「何処のダンジョンだ?」
「案内してあげても良いわよ。」
リーダーらしき男が私を見て怪しんでいる。
他の仲間と耳打ちをして何かを話している。
まあ、何を話しているのかは特に気にならない。
それよりももっと面白い展開に発展する事をワクワクして待っている。
「良いだろう。案内してもらおうか。」
私が思った通りに事が進み過ぎている気もするが、男達をダンジョンまで案内してきた。
特に抵抗している様子を出しているわけでは無いが、私は変わらず後ろ手に縛られている。
「ここよ。」
私が攻略した採掘ダンジョン。
このダンジョンは私の個人的な使用物になっている。
中で発生する魔物は私が分体で作ったデス・リッチが産み出している。
しかし、ここにいる男達だけで白い天使様を調査するのだろうか?
大した魔力を持っている者も居ない。
だが、またしても私の察知能力を掻い潜り強力な魔力を持った者が突然目の前に現れた。
「この女か?白い天使を見たと言うのは。」
「はい。ダビド様。」
私をここに連れてきた男達の様子を見れば突然現れたこの男のヤバさが伝わってくる。
魔力の強さも気になるが鋭い目つきと威圧感が相当な修羅場を潜ってきた強者の雰囲気を出している。
「ちょっと良いかしら?こんなにひ弱な女の子をいつまで縛ってるのかしら?
手が痛いんだけど。」
「女の割に度胸はあるんだな。
だが、そんな事より白い天使を見たらしいな。
このダンジョンに入ったのか?」
こちらとしては簡単に私の正体を晒すわけには行かない。
この場の全員を瞬時に殺してしまう事も可能かも知れないが、私の察知能力を持ってしても見つけられない奴がいる可能性がある。
ここは大人しく成り行きに身を任せてみる。
「ええ、私は入るのを見ただけよ。」
「ほう、入るのを見たのか。
では、我らも入るとしよう。」
このダビドと言う男は何を考えているのか、表情からも声の質からも読み取るのが難しい。
男達はダビドを先頭にしてダンジョンに入っていく。
「おっと、お前も来い。」
ダビドは私の身体を縛っているロープの長く伸びている部分を手に持って犬の散歩でもするかのように私を連れて歩いていく。
「あのう?もし魔物が出て来ても縛られてたら身を守れませんが、あなたが私を守ってくれるのかしら?」
「さあな、上手く死なないように頑張るんだな。」
まあ、そうよね。
そんな事わかってたわ。
女の子を守る騎士には見えないもの。
さて、この先の展開を何も考えてなかったなぁ。
白い天使様を出すのは可能だけど、話としてはベタ過ぎるし、かと言ってダンジョンの中を歩き回っても何も起こらないだろうし。
「ねぇ?何処まで行くの?」
ダンジョンの中をひたすら歩き続けると言うだけの時間になっている。
楽しい会話がある訳でも無く、私は退屈の極みである。
「ねぇ?その白い天使ってこのダンジョンのダンジョンボスって事はないかしら?」
私の声は届いていないようだ。
まあ、それならそれで良いのだが、魔物を退治しながら深層に向かっている。
何は魔物が手に負えなくて戻るか、それとも最下層まで行って私の可愛いデス・リッチと対面するか楽しみだ。
私は縛られているので何も出来ない。
考えようによっては何もしなくても良いとも言える。
「おい!本当にこのダンジョンに入ったのか?」
私の言う事には耳を傾けないくせにダビドは鋭い眼光で私の事を疑っている。
「だから、深層のボスじゃないのといったのに。
確かにこのダンジョンに入ったわよ。」
何だかんだと言いながらダビドはかなり強く、結局魔物を討伐しながら深層のボス部屋までやって来た。
予定通りといえばそうだが、思ったより魔物が簡単に倒され過ぎた。
ボス部屋のドアに手を掛けるとドアは固く閉じて開かない。
「ん?どうなっている?」
あ!これはもしかして誰か先客がこの部屋に入ったのだ。
誰かが入って閉めてしまうとボスを倒すまで開かない。
そして、私の中でデス・リッチが倒された事を感じ取った。
若干の心の痛みを感じる。
こうも易々とボス部屋を攻略されるとは、時間が経てば復活するが、複雑な想いだ。
ダビド達は必死にドアを開けようと奮闘しているが、諦めたその時。
ギィギィ!と音がしてドアが開くと中から1人の男性が出て来た。




