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第18話 白い天使様は人身売買を許さない

ドワーフの夜の街を散策していると目に付くのは酒場で飲み明かす冒険者達の姿だ。

冒険者はお酒が好きな者も多いがドワーフは好んでお酒をよく飲む。

酒場に入ると飲んでいるのは男達が殆どで女性は全然居ない。

「おススメのお酒ちょうだい。」

カウンターに座ると店主が私の事を少し驚いた顔で見ている。

「お嬢ちゃん。こんな時間に酒場に来るなんて危ないぞ。

女の子は早く帰んな。」

お酒は提供されずに手で追い払うような仕草を見せる。


「どうしてよ。美味しいお酒が飲みたいの!」


「知らないのか?ここ最近若い女性が攫われる事件が多発してるんだ。

夜は特に気をつけたほうがいい。

早く帰んな。」

ちょっと面白い事になりそうな予感。

これは恐らく人身売買よね。

若い女性を攫って奴隷として売ってるに違いない。

この国では奴隷制度は無いから他の国ね。

「わかったわ。もう!帰るから。」

私は酒場を出てなるべく暗い夜道で人が少ないところを通って歩いて行く。

何故かって、それは人攫いに会いたいから。

そして、私の周りに覆面をした男性達が数人取り囲んだ。

付けられて居たのは知って居たけど、どうせなら捕まってアジトまで行くのが一番早い。

「何?」

私は態とらしく驚いたふりをする。

そして、男性達に羽交締めにされて何かの薬品の付いた布で口と鼻を塞がれて気を失ったふりをした。

ドラマや映画でみる女性が攫われる事件の再現なのだ。

男性達は気を失ったフリをしている私を抱えて何処かに連れて行く。

数分間歩いたり止まったりしながら何処かの倉庫にはいっていく。

入るとドアが開けられて私は壁の鎖に繋がれて身動きが出来ない状態にさせられた。

おお、これが攫われたと言う事なのだと感心している。

部屋を男達が出て行き、周りの状況を確認すると私と同じように何人もの若くて可愛いらしい女性ばかり壁の鎖に繋がれている。


「ねぇ?大丈夫?」

一番近い女性の衣服は乱れて何をされたのか容易に想像がつく状態で目は開けているが、生気は失った目をしている。

「うぅぅ。」

私の声に気がつくと泣き出してしまった。

なんてひどい事をするんだ。

よくみると壁中に女性が服装は乱れて、中には全裸の女性もいる。

これは黙っては居られない。

「皆さん。大丈夫ですよ。助けに来ました。

直ぐにここから出ましょう。」

とは言ったもののまともに動けない女性も居そうだ。

男性達を皆殺しにしても良いが、ここは恐らく本拠地では無い。

一旦この場所で女性達の人格を破壊して売りに出しているのだろう。


暫くすると、ドアが開いて誰か入って来た。

「上物だって!拝見するか。」

部屋の外の灯りが眩しくて顔まで判別できないが、数人の体格がいい男性が私の方に歩いてくる。


「おいおい!こいつは面白い事になったぞ。

確かに上玉に違いない。」

この声には聞き覚えがある。

エルフの街でゼロと決闘した男性冒険者だ。


「また貴方なの?こんな事してタダで済むと思わない事ね。」


「ほう。その格好で偉そうな口を叩くとは大したもんだ。

しかし、捕まってしまうとは哀れな女だな。

お前はここで男の為に働く奴隷として躾けられて売られるんだよ。」

私の顎を掴むと持ち上げると顔を近づけて気持ち悪い笑みを浮かべて勝ち誇っている。


「明日からしっかり躾けてもらえ。」

男達は部屋を出て行こうとしている。

なるほど、これはどうしたものか。

私がコイツらを倒して捕まえるのも有りだけど、折角なら天使様が救うストーリーも捨てがたい。

決めた!

ルーナを擬態にして本体の私を分離、ステルスインビジブルで姿を消して天井を破壊。

「な、なんだ!」

当然、男たちは驚いている。

女の子達が怪我をしないように瓦礫は外に飛ばす。

そして、恰も外から入って来たように飛んで上から姿を現す。

天使が舞い降りる。

「なんだお前は!」

男達は私を見て剣を抜いて威嚇している。


「お前達は許せない。」

見える限りの男達を鋼糸で捕らえた。

「ギャァ〜!」

そして、電撃を流して失神させた。

女性達の自由を奪っている手の鎖を破壊して全員を回復して見て回る。

「うぅ…、あなたは…。」


「もう大丈夫よ。もう直ぐここに警備隊が来るから。」

予め念話でゼロに連絡を取って私がいる場所まで警備隊を連れてくるように指示しておいた。


翼を広げて上空に飛び立つと姿を消してルーナの擬態に本体を戻した。

「みんな大丈夫?」

倒れている女性に歩み寄り全裸の女性には落ちている布をかけた。

何人も辛い思いをして来たのだろう。

私の声に涙を流して泣いている。

こんな酷いことが出来るなんて、人間が一番酷い魔物なのかも知れないと思った。

暫くすると外が騒がしくなり、警備隊が雪崩のように部屋に入ってくると男達を連行していく。

救護班らしい人達が女性を救助し始めた。

「あなたは大丈夫ですか?」

1人の男性救護班の1人が私に声をかけて来た。

「ええ、私は大丈夫です。

それより立てないくらい衰弱している人を優先してあげて。」

何人もの女性が運び出されて馬車に乗せられると病院に向かって走り出した。


「ちょっと良いかな?

我々も奴隷商人達を追って居たのだが、ここで何があったんだ?」

ここはやはり、私の偉業を大宣伝するチャンスですよね。

「白い天使様が空から現れて助けてくれたんです。」

他の女の子達からも同じように話が出るだろう。

これでドワーフ王国でも私は人気者確定だな。

だけど、人身売買とは驚いた。

異世界ものではよくある展開だが、実際に遭遇すると心が痛い。

彼女達の体の傷は癒せても心の傷までは癒せない。

この場所も氷山の一角に過ぎないとすると、私に出来る事はまだまだあるはず。

警備隊が男達を連行していくがまだ部屋に倒れている1人に歩み寄って話しかける。

「本拠地は何処なの?」

私は無意識に男を踏みつけている。

怒りで行動が抑えられない。

「知らねぇよ」

そう答えると思っていた。

指の一歩くらい切り落としても誰も気が付かないだろう。

「ぐぎゃぁ〜。」

「ねぇ、何処にあるの?」

私が指を切り落とした事に男は恐怖に顔を歪めている。

苦しみもがきながら男は場所を私に教えた。

初めから素直に言えば痛い思いをしなくて済んだのにバカな男だ。

さて、場所は判明したし、ドワーフ王国に来て最初の大きなお仕事になりそうだ。


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