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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第3章 変革

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090 絶望の日

———ただいま入った情報によりますと、全世界規模でダンジョンが暴走。多くの死傷者が出ている模様。すべての皆様は安全を第一に行動してください。政府・自治体はシェルターハウスを解放しております。お近くのシェルターハウスへ避難してください。繰り返します……———


「えらいことになったな。とりあえず避難しよう。」


 父さんは一家の主だけあるな。

 冷静に判断を下していく。

 って言っても足が震えているから、動揺してはいるようだ。


「大丈夫!!私とお兄ちゃんが居るから、絶対守る!!ね?」

「そうだな。まずは避難することを考えよう。」


 俺たちは、準備してあった災害防災セットを各自持ってから、家を出ることにした。

 カイリ達にも連絡を取りたかったけど、全くつながらなかった。

 おそらく携帯各社の回線がパンクしたんだろうな。


 この街のシェルターハウスは20か所。

 運が良ければ合流できるだろう。

 美鈴も連絡が取れないらしく、心配をしていた。


 家を出て数分、街の人たちも予定通りのシェルターハウスへ向かって移動を開始していた。

 道はごった返しており、ここでモンスターに襲われたらひとたまりもなさそうだ。


「父さん、道を変えよう。モンスターが出たら危険だ。」

「そうか。お前の判断の方が探索者としての経験があるからいいだろう。よし、道を少し外れよう。」


 俺たちが大通りを外れて移動していると、近場から戦闘音が聞こえてきた。

 誰かの悲鳴や、怒号も聞こえてくる。


「くそ!!なな姉ちゃん、これじゃきりないって!!」

「つべこべ言わず制圧するの!!ここを通したら大通りが大変なことになるわよ!!」


 声の主は谷浦一家だった。

 両親含め7名での避難中にモンスターと遭遇戦をしているようだ。

 俺は美鈴と顔を見合わせて、その場から走り出した。

 美鈴には父さんたちを任せた。

 最悪母さんのスキルで一時しのぎは出来るはずだ。


「これでも……喰らえ!!」


 俺は渾身の一振りでゴブリンを数体なぎ倒した。

 しかしまだまだ数が多い。


「先輩!!」

「ケントさん!!」

「話は後だ!!こいつらを蹴散らす!!」

「「はい!!」」


 最悪の事も考えて、谷浦の家族には俺の家族と合流してもらった。

 これで心配事は無くなった。

 全力で暴れるとしますか!!


 俺たちは倒しに倒した。

 ゴブリンと言えども数が集まれば脅威となる。

 結果倒した数は40匹オーバー。

 今までで、一番倒したんじゃないだろうか。

 周囲には魔石(極小)や腰布。こん棒などが落ちていた。

 俺たちは魔石(極小)を拾い集めて家族の元へ向かった。


「お兄ちゃん、こっちは大丈夫だよ。」

「ありがとう美鈴、母さん。」

「どうってことないわ。運よく私もレベルが上がったしね。」


 俺たちの警戒を掻い潜り、美鈴たちの元にたどり着いたモンスターもいたようだ。

 母さんと美鈴が協力して、討伐に成功。

 事なきを得たらしい。


「助かりました。私は栄次郎の父で総一郎といいます。家内と、父母。それと家内の妹です。」


 一家で頭を下げてお礼を言われた。

 どうやら、谷浦姉弟以外は戦闘職ではなく、今回の戦闘も助けることができなかったようだ。


「先輩助かったっす。一時はどうなるかと思いましたよ。」

「そうね。このままいけばじり貧だったわ。ありがとうございます。」


 谷浦と虹花さんにまでお礼を言われてしまった。

 仲間を助けるのは当たり前なんだけどな。


「立ち話もなんですから移動しましょう。またいつ襲われるとは限らないから。」


 父さんの指摘はもっともだった。

 俺たちは急ぎシェルターハウスへと移動した。


 道中で数回モンスターの群れと遭遇したが、運がいいのかゴブリンやスライムの群れだった。

 途中でSNSなども確認したが、オークや上位種が出た地域もあったらしい。

 都会に行けば行くほどその傾向が強いとの話も合った。




 そして、俺たちは絶望した。

 向かった先のシェルターハウスは……

 壊滅していた。

 言葉通り壊滅。

 狙ったかのように上位種がシェルターハウスを蹂躙していたのだ。

 争った跡も遠目から確認できたが、その甲斐もなく……


 顔を青ざめさせている家族を励ましながら、別のシェルターハウスを目指すことにした。

 さすがに家族に疲れが見えてきた。

 俺たちは探索者としてレベル上げをしてきたが、家族はそうじゃない。

 レベルも1か2程度で普段使いできるスキルのレベルが上がっているのが関の山だ。


「先輩どうします?」

「お兄ちゃん……」


 どうしたものか。

 このまま向かったとして、空振りだったらどうなるのか。

 たぶんその次に回るほどの余裕などないだろう。

 俺と虹花さんは顔を見合わせて一つの結論に達した。


「一度家に戻らないか?食料もまだあるだろうし、ライフラインが生きていればまだ何とかなる。幸いここには探索者が4人いる。ある程度なら何とかなると思う。どうだろうか?」


 家族は互いに顔を見合わせて、どうしていいか困惑していた。

 時間が過ぎればそれこそ身動きが取れなくなってくる。


「ケント。その方がいいと判断なんだな?」

「あぁ。出来れば態勢を立て直してから行動を起こしたい。情報が無いまま動いても空振りの時が怖いからね。」


 父さんは俺の言葉を聞いて意を決した。


「皆さん、うちへ来てください。まずは情報収集から始めましょう。正直このままここに居る方が危険です。」

「そうですね。わかりました。」


 意見がまとまったところで、俺たちは自宅へと戻ることにした。

 運がいいことに、帰宅中にはモンスターと鉢合わせすることは無く、そのまま戻ることができ来た。

 さらに運が良かった。

 ライフラインが生きていたのだ。

 おそらく主要な場所には、すでに自衛隊・警察・探索者などが配置されて防衛に回っているんだろう。

 おかげで今はまだ使うことができた。

 しかし、放送局はそうはいかず、国営放送のみが放送を続けていた。


 美鈴はインターネット上の情報を、虹花さんとともに集めていた。

 父さんたちはテレビの前で疲れを癒していた。

 総一郎さんがスキル【医師】を、奥さんがスキル【調薬】を保持していた為、軽い診察と、栄養剤的なモノを作ってくれた。

 谷浦のお爺さんとお婆さんが、疲労から体調を崩していた。


 しばらくすると、安心したのか睡魔が襲ってきたようだ。

 俺は母さんと一緒に床の間やリビング、空き部屋に布団やマット。座布団などあるものを敷いていった。

 少しでも疲れをとれるように、今できる最善を尽くしていった。


 食料については美鈴様様だった。

 美鈴のインベントリには20人が一週間は生きられるほどの食料が備蓄されていた。

 どうやら、倒しまくったおかげで食材がダブついてしまい、買取を拒否されてしまったらしい。

 つか、どんだけ倒したんだよ……


 ここから先は、俺たち4人で交代の警戒に当たることにした。

 俺と美鈴。虹花さんと谷浦で、4時間交代で見張りを行った。

 

 美鈴が集めた情報によると、首都圏はほぼ壊滅状態に陥ったようだ。

 政府はその前に機能移転をさせており、今は北海道にその拠点を移していた。

 やはり昨日の話は本当だったんだろうな。

 政府はこうなることすら知っていたんだと思う。

 だからこその災害用シェルターハウスの各地への整備。

 首都機能移転。

 各種主要施設の防衛。

 全てがうまく機能していた。


 翌日の国営放送でさらなる絶望を知る。

 全世界人口の半数以上の死亡を……

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