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【完結】スキルクリエイター 〜レベルを犠牲にスキルを創る。でも、レベルが低くて使えないってどう言う事ぉ〜〜⁉〜  作者: 華音 楓
第2章 万年Gランク確定→頑張ってFランク。

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083 プロメテウスの火

「ケントさん、今のって一ノ瀬さんですか?」


 カイリがみんなを連れて来たと同時に、一ノ瀬さんは病室を後にした。


「あぁ、カイリも会ったことあったんだっけ?」

「はい、前に一度。確か、探索者のストーカーがいて助けてもらいました。」

「そっか…」


 あの一件もみんなの中ではすでに改ざんされているのか。

 つまり、シンを知るのは俺だけだってことか…

 何とも言えない後味の悪さがあるな。


「先輩大丈夫ですか?突然だったんでびっくりしましたよ。」

「そうね。ケントさんあまり無茶はしないでくださいね。あなたはこのパーティーのリーダーなんですから。」


 谷浦に心配されることになろうとはな…

 虹花さんには苦労かけてしまったかもしれないな。


 すると、谷浦が小声で俺に耳打ちしてきた。


「先輩……。あの時消滅させたのって……『シン』って子ですよね?」

「谷浦⁉」

「はい、その通りです。なぜか、俺は覚えています。おそらく、スキルの関係かもしれません。」


 『クリエイター』系のスキルか?!

 そうかこれは自称神の権能の一部を与えられたものだ。

 だから、このスキルホルダーはある意味摂理から独立しているのかもしれないな。


「谷浦、絶対にこの件について口を開くな。お前まで拘束される可能性がある。」

「マジっすか!?まぁ、この一件で考えればそうかもしれないっすね。」

「巻き込んで悪かった。」

「何2人で話し込んでるんですか~?」


 俺たちが小声で話していると、アスカが不思議そうな顔で覗き込んできた。


「いや、特にな。そうだ、あのあとってどうなったんだ。『探索者型イレギュラー』の装備品とか散らばってただろ?」

「はい、あれは回収して今自衛隊に確認作業してもらってます。持ち主……おそらくは死亡されているでそうが、わかれば返却する予定だそうです。」

「そうか、見つかるといいな。」

「そうですね。」


 病室にしんみりした空気が漂っていた。


 俺はきっとこの先も、この子たちに迷惑をかけるんだろうな。

 今回の件も含めて、俺と谷浦は普通の探索者としてやっていけるのか疑問になる。


 『クリエイター』系のスキル。

 『七つの大罪』系のスキル。

 『七つの美徳』系のスキル。


 分かっているだけでも物騒すぎる。

 これは可能性にしかすぎないが、おそらく『神話』系のスキルまたは称号が存在していそうだった。

 【強欲】が口にした【プロメテウス】という名前はギリシャ神話の【人に火を与えた神】だ。

 俺たちに与えられた【スキル】がこの【火】にあたるとしたら……

 人間は【火】を得たられたことで【文明の進化】させてきた。

 今回は【スキル】を与えることで【生物の進化】をさせるつもりだとしたら。

 あと、出て来た名前は【セフィロト】……

 生命の樹……

 ユダヤ教のカバラでは『宇宙万物を解析する為の象徴図表』とされている。

 まさか、これも……


 いや、やめよう。

 これ以上考えても仕方がない。

 俺は一般人で、学者じゃない。

 いくら考えても憶測の域を出ることはないだろうから。


「おや、もう大丈夫そうですね。」


 カラカラカラとカートを押している看護師とともに医官と思われる男性がやってきた。


「はい、ご迷惑おかけしました。」

「礼には及びません。それに、ここに運ばれる人の中では軽傷ってより、無傷ですからね。」


 医官の男性は、そう言いながら苦笑いをしていた。

 看護師から体温計を渡され、体温測定を行った。

 逆の腕では血圧を測っている。


「うん、大丈夫そうですね。自宅へ帰っていただいて結構ですよ。」

「ありがとうございます。」

「いえ、ではお大事に。」


 医官の男性は次の病室へと向かっていった。


「じゃあ、帰りますか先輩。」

「だな。」


 谷浦の言葉を受けて、俺たちは医療施設を後にした。


「ケントさん、おなかすきました!!」


 アスカがいきなり大きな声でおなかすいたアピールを始めた。

 その声につられて、カイリとカレンも声を上げて、3人でおなかすいたの合唱を始めたのだ。

 思わす、俺は笑い出してしまった。

 きっと俺の表情が暗いのを気にしていたんだと思う。

 だからあえてそうしたのだろう。


「そうだ、虹花さん。今回の探索の結果はどうなりました。」

「はい、第6層だけで一人頭15,000円強でした。第五層までの分を合わせても約2万円ですね。」


 あれ?意外と多いの?少ないの?微妙な金額だな。

 でも、日給2万って考えたら多いのか?


「ケントさん、これにはまだ『イレギュラー』討伐の報奨金が含まれていません。こちらについては後日になるそうです。金額も現在未定です。」

「虹花さん、毎回管理ありがとうございます。」


 うん、2万稼いだなら少しはいいかな。


「じゃあ、街に戻ったら何か食べに行こう。」

「「「ごちになります!!」」」


 え?まじで?!


「先輩…ごちです!!」

「ケントさん……ドンマイです。」


 5人ともにこやかに歩き出していく。

 まぁ、心配かけたしな。


 シンの事。

 スキルの事。

 これからの事。

 いろいろ考えないといけないけど、今は生き残ったことを素直に喜ぼう。




 そして俺たちは、これから起こるであろう悲劇をまだ知らなかった……

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